横紋筋融解症の治療とリハビリについて

2017/12/21

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

横紋筋融解症とは、心臓の筋肉である横紋筋が壊死し、その成分が血液中に流出してしまうことです。この記事では、横紋筋融解症の症状や治療について解説しています。また、リハビリの注意点にも触れているので、参考にしてください。

横紋筋が溶けてしまう原因

横紋筋には、体を形成する骨格とともに腕や脚などの動きをつくりだす骨格筋と、心臓を形成する心筋とがあります。横紋筋融解症とは、この横紋筋が融解または壊死してしまい、筋細胞の成分が血液中に流出してしまうことです。

原因には外傷性のものと非外傷性のものがあります。外傷性の原因としては、短距離走やマラソンなどの激しい運動をすることで、筋肉に血液が供給されない状態になることなどが挙げられます。非外傷性の原因としては、お酒の飲みすぎ、ウイルスや細菌による感染症、低カリウム血症、低リン血症、薬剤の使用などが挙げられます。

どのような症状が起こるか?

横紋筋が壊れることで筋肉に炎症が起こり、痛みやしびれ、全身の倦怠感などの症状が現れるほか、筋力の低下も招きます。これらの初期症状は風邪や運動時の筋肉痛とあまり変わりがありませんが、横紋筋融解症では筋肉から流出したミオグロビンという赤色の物質が尿に混じるために、赤褐色の尿が出る症状が特徴的に見られます。
このミオグロビンは、大量に流出すると尿細管にダメージを及ぼしてしまいます。そのため症状が急速に進行すると急性腎不全を引き起こしたり、さらには多臓器不全を併発して死に至ってしまうこともあります。

どのように治療が行われるか

横紋筋融解症は、急性腎不全や多臓器不全といった死に至る合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見と早期治療が非常に重要です。
採血や採尿によって横紋筋融解症と診断された場合は、水分補給、点滴などの内科的治療を中心にして治療が行われます。薬剤の使用が原因となっている場合には、原因薬剤の使用をただちに中止します。
重症度によって、大量の点滴が必要となったり、明らかな腎障害が認められる場合は、血液透析が導入される場合もあります。

リハビリの目的と注意点

症状によっては筋力の低下や麻痺症状のために日常生活動作に支障が出てしまい、普段の生活に介助が必要になる場合も出てきます。
そのためリハビリが行われますが、リハビリ中に筋細胞が回復しようとしている段階で筋肉に負荷が加わってしまうと、筋肉内のエネルギーが不足するケースがあるため注意が必要です。リハビリは、症状の程度に合わせて、負荷量を十分に考慮して行う必要があります。
また患者は重症化への不安に加えて、こうした日常生活動作に対するストレスも抱えることが想定されるため、精神的なケアも大切です。

おわりに:重症化すると危険な場合も。赤褐色の尿が出たらすぐ病院へ

横紋筋融解症は、初期段階では風邪の症状や筋肉痛と見分けがつきにくい場合もあるかもしれません。しかし重症化すると急性腎不全、多臓器不全を引き起こし、死に至ることもある重篤な疾患です。尿が赤褐色になるなど、横紋筋融解症と疑われる症状が出た場合にはすぐに病院を受診してください。

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