過敏性腸症候群(IBS)と機能性ディスペプシア(FD)の違いは?

2018/10/29

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

過敏性腸症候群(IBS)と機能性ディスペプシア(FD)は、いずれも検査で特に異常が見つからないのにも関わらず、消化器症状が出てしまう病気です。では、両者にはどういった違いがあるのでしょうか。以降で解説していきます。

過敏性腸症候群(IBS)は、機能性ディスペプシア(FD)とどう違うの?

過敏性腸症候群(IBS)と機能性ディスペプシア(FD)は、いずれも「機能性消化管障害」(FGIDs:Functional gastrointestinal disorders)に属する病気です。機能性消化管障害とは、器質的な病変が認められないにもかかわらず、消化器症状が慢性的に続く疾患群を意味します。

ではこの2つはどこが違うのかというと、症状の部位や特徴が異なります
まず過敏性腸症候群は主に下腹部の症状が出る疾患で、下痢や便秘といった排便異常やそれに伴う腹痛、ガス溜まりが特徴です。下痢や腹痛が突如起こる「下痢型」、便秘を主症状とする「便秘型」、下痢と便秘の症状が交互に現れる「混合型」、いずれにも該当しない「分類不能型」の4種類に分けられます。

過敏性腸症候群の明確な原因は不明ですが、その多くは精神的なストレスによって発症しているのではと考えられています。ストレスを受け続けた結果、大腸や小腸が知覚過敏または機能低下に陥り、消化器症状をきたす、というメカニズムです。

なお、過敏性腸症候群の発症者の多くは20~40代の比較的若い世代です。国内では10~15%程度の人が発症しているともされており、男女比でいうとやや女性の発症者が多い傾向にあります。

機能性ディスペプシア(FD)の症状は?

一方の機能性ディスペプシア(FD)は、主に下記のような胃の不調を特徴とします。

  • みぞおち付近の痛み
  • 胃のむかつき
  • 胃もたれ
  • 胸焼け
  • 胃の膨満感、それによる食欲不振
  • 食後の胃の痛み

この機能性ディスペプシアの原因としてはさまざまなものが考えられ、主に胃の運動機能障害(食べ物が送られても胃の上部がうまく広がらない、食べ物を十二指腸にうまく送ることができないなど)、胃の知覚過敏、胃酸の分泌、精神的ストレス、ピロリ菌の感染などが挙げられます。なお、これらの原因が1つではなく複数合わさった結果、症状が出るようになる場合もあります。

過敏性腸症候群と機能性ディスペプシアが併発することも

過敏性腸症候群と機能性ディスペプシアを併発するケースは少なくなく、いずれかの疾患の患者のうち、両者を併発している人は全体の30%近くいるともいわれています。この場合、胃痛や胃もたれなどの症状に苦しみながらも、便秘や下痢などの排便症状に悩まされることになります。

おわりに:いずれもQOL低下につながる病気。症状でお悩みなら専門外来へ

過敏性腸症候群と機能性ディスペプシアは、似ているようでも別の病態です。いずれも潰瘍などの器質的な病変は認められないものの、消化器症状は持続し、「通勤電車に乗っている最中、突然便意をもよおす」「胃痛で食事がろくに食べられない」などQOL(生活の質)の低下にもつながっていきます。いずれの疾患でも、症状でお悩みの方は一度専門外来を受診し、治療をすすめていきましょう。

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