記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/12/18 記事改定日: 2018/10/10
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
ストレスによって下痢や腹痛などの症状が現れる「過敏性腸症候群」を改善するには、原因となるストレスに対処するだけでなく、普段の食生活を改善することも大切と考えられています。
今回はその食事療法のポイントをお伝えしていきます。
過敏性腸症候群は、精神的なストレスがかかることでお腹の調子が悪くなり、腹痛や下痢、便秘などを起こしてしまう病気です。まだはっきりとした原因はわかっていませんが、ストレスを受けた時に脳からストレスホルモンが分泌されて、それが腸の刺激となりお腹の不快な症状となってあらわれると考えられています。
症状には個人差があり、いろいろな症状があらわれます。男性では下痢傾向が多く、女性では便秘傾向になることが多いようです。この病気が元で命を落とすことはありませんが、毎日の生活の中で常にお腹の心配をして過ごさなくてはならず、そういった意味での苦痛が強い病気です。一度症状が出てしまうと、また同じことが起こったらどうしようと考えてしまうことがストレスとなり、さらに病状を悪化させてしまうという特徴があります。自分で感情表現をすることが苦手な人がなりやすいようで、口に出して不満を言えない分身体に症状があらわれます。
過敏性腸症候群は、便の性状や症状によっていくつかのタイプに分類されます。代表的なものは便秘型IBS・下痢型IBS・ガス型IBSであり、それぞれの特徴は以下の通りです。
過敏性腸症候群になった場合には、食事に気をつけることが非常に重要になってきます。食事の内容は症状によってかわってきますが、どんな症状を持っている人でも避けたほうがいい食品があります。
まず、脂っぽい食事は消化するのに時間がかかり、それが胃腸の負担を増やしますので避けた方が良いです。また、アルコール類や香辛料、カフェイン、炭酸飲料なども刺激が強く、過剰にとると、食事の消化、吸収を悪くしてしまいます。
そして、消化器への負担は食べるものの温度が影響することもあるのです。熱すぎるものや冷た過ぎるものは避けて、適温のものを食べるようにしましょう。
早食いは胃腸の負担になり、食物の消化が十分に行われないままに大腸へ入って行ってしまいます。その結果、大腸での消化が追いつかないと、お腹の不快感や痛み、下痢を起こしやすくなります。食べるときには、しっかりと噛んでゆっくり食べることも重要です。
過敏性腸症候群は、大腸の機能が正常に機能しなくなることが原因で起こります。大腸の働きは主に食物の消化、吸収です。そのため、食事の内容や食べ方に気をつけることで大腸の負担を減らすことができれば、それが過敏性腸症候群の症状を抑えることにつながります。
過敏性腸症候群は明確な治療法が確立しているわけではなく、個々の症状に合わせた対症療法を行っていくしかありません。
そのため、自分にとって何がストレスかを自覚して、ストレスの解消ができるように取り組んでいくことも非常に重要です。しかし、精神的な問題は解決するまでに時間がかかるので、メンタルケアを行いながら食生活の改善をし、病状が良くなるように努めることが大切です。
過敏性腸症候群の人は、胃腸に負担をかけない食事を心がける必要があります。
脂肪分や塩分、糖分、刺激物の多い食事は消化に時間がかかり、胃や腸の粘膜に刺激を与えることになるので控えめの食事がよいでしょう。
また、下痢型の場合には食物繊維を多く摂りすぎると下痢症状が悪化することがありますが、便秘型の人は食物繊維を多く摂ると便秘の解消につながります。
このように、過敏性腸症候群を発症している場合には、それぞれの症状に合わせて食事を工夫してみましょう。
食物の消化や吸収を担う大腸の機能を改善させるには、普段から脂っぽいものは避ける、過度の飲酒は控えるなど大腸の負担を減らすことが重要です。食生活の改善をするだけでもかなり症状が改善するケースも少なくないので、ぜひ今日から実践してみてください。
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