過敏性腸症候群の症状緩和に効果のある治療薬とは?

2017/12/28

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

辛い腹痛や下痢を引き起こす「過敏性腸症候群」。この過敏性腸症候群を改善するために、効果のある治療薬とはどのような薬なのでしょうか?以降で詳しく解説していきます。

過敏性腸症候群とは?

過敏性腸症候群は、精神的ストレスを受けることで便秘、下痢、腹部膨満感など、痛みや不快感を伴う排泄異常が生じ、それを繰り返す病気です。通勤中や会議前などに突然痛みや下痢などの異常が発生することが多く、その時間帯が限られているのが特徴です。

なかなか便が出ず、出ても固い便が少量だけの便秘型、軟便や水様便が続く下痢型、便秘と下痢を繰り返す混合型、この3種類に特定できない分類不能型の4種類に過敏性腸症候群は分類されます。

過敏性腸症候群では、検査を繰り返しても器質的な異常が発見できないことがほとんどです。このため整腸剤や下剤など便秘や下痢の症状を和らげる対症療法しかできず、結果として病状が改善せず長期間苦しまれる方も少なくありません。

過敏性腸症候群の原因について

過敏性腸症候群の原因は、現時点でははっきりとわかっていません。ただし最近の研究では、何らかのストレスが加わることで、ストレス関連ホルモンが脳下垂体から放出され、その刺激により腸の働きが乱れ、下痢や便秘といった過敏性腸症候群の症状が出ると考えられています。

またこのような腹部症状を繰り返すと、症状そのものへの不安や「仕事中に症状が出たらどうしよう」という不安が新しいストレスとなってしまい、症状を悪化させることもあります。また、腸が刺激に対して知覚過敏になることで、ほんの少しの痛みや動きでも脳のストレス反応を引き出してしまい、症状が起こってしまうこともあります。

過敏性腸症候群では心身に受けたストレスにより、脳でストレス関連ホルモンを分泌する動きが繰り返されることで、症状が増幅、悪化してしまうことがよくあります。これをIBSスパイラルと呼んでいます。

過敏性腸症候群の主な治療法と治療薬について

治療では、刺激物を避け、できるだけ同じ時間帯に食事を摂るなど食習慣の改善、十分な睡眠や適度な運動などの生活習慣の改善、ストレスを認識した上で解消・発散する方法を探るストレスマネジメント、腹部症状を改善する薬物療法をバランス良く組み合わせて行います。

薬物療法においては、便の固さをほどよくし便通を整えるゲル形成薬、胃腸の調子を整え特に下痢を抑える消化管運動調律薬、便秘を伴わない下痢型に用いられる5-HT-3受容体拮抗薬、腸管に作用し腸内の水分量を増やし腸管運動を活発にする、便秘型に用いられるGC-C受容体作動薬、整腸作用のある乳酸菌製剤、腸の運動を抑え腹痛を伴う下痢に効果のある鎮けい剤や、諸症状に合わせた漢方薬などが用いられます。

薬剤は医師の指示に従って使うことが大切

過敏性腸症候群は心身ともにデリケートな人がなりやすく、なおかつすぐには治らない病気です。そのため、病状だけでなく体質や生活習慣も含めて医師が総合的な判断を行い、必要な薬と服用量を決定し、さらに病状の変化に合わせて投薬量や内容を適宜改めていく、という長期的な治療が必要になるのです。

例えば、「数日服用してみたけれど下痢が治らないから」といった理由で市販の止瀉薬を追加すると、病状の変化の判断も難しくなりますし、場合によっては薬の副作用や相互作用により別の異常が出現してしまうかもしれません。いずれにしても過敏性腸症候群の治療においては障害以外のなにものでもないのです。

過敏性腸症候群は時間はかかりますが、改善する病気です。早く治すためにも、医師の指示通りに薬を服用しましょう。

おわりに:医師の指示通りの服薬と、生活習慣の改善を!

過敏性腸症候群を治療するには、薬物療法だけでなく生活習慣の改善など、多面的なアプローチが必要になります。また、薬物治療の効果を判断するには、医師の指示通り服用することが非常に重要なので、自己判断で服薬をやめたり、追加で薬を飲んだりすることは避けましょう。

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