記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/1
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腎臓の状態を調べるときはどのような検査を行うのでしょうか?また、尿検査で異常が見つかった場合はどのような検査を受ける必要があるのでしょうか?腎臓の検査について解説していきます。
腎臓の検査で、最初に受けることになるのは尿検査と血液検査です。
尿検査とは、尿中に蛋白質や血液が漏れ出していないかの有無を調べるもので、異常が見つかった場合は尿蛋白または潜血がプラス(+)と表記されます。
ただし、発熱や運動時にも尿中の蛋白質や潜血が見られることがあるため、1度検査で異常が見つかっても、2~3度検査をし直して再度確認する必要があります。
健康な状態では、腎臓の糸球体で血液中の蛋白質はろ過された後、尿細管で再び吸収されて血液中に戻るため、尿中に排出される蛋白質の量は少なくなります。また赤血球も同様に、健康な状態であれば尿中に排出される量はごく僅かとなります。
そのため、糸球体や尿細管に異常があり定性検査で陽性(+)となった場合は、実際にどの程度の量が漏れ出しているのか確認するために、尿蛋白の定量検査などを行う必要があります。
一般的には健康診断で検査が行われますが、専用の測定キットを用いて家庭で調べることも可能です。
血液検査は定期健診などで広く行われる検査ですが、腎臓の働きを調べる上で重要となるのが血清クレアチニン値となります。
クレアチニンとは、アミノ酸の一種であるクレアチンが筋肉内でエネルギーを放出する際に産生される代謝産物のことで、健康な状態であれば腎臓にある糸球体で血液中のクレアチニンはろ過された後、尿細管での再吸収はほとんど行われずに尿中に排出されます。
しかし腎臓機能が低下している場合は、尿中に排出されるクレアチニン量の減少に伴い血液中に留まる量が多くなるため、クレアチニン値が高くなってしまうのです。
クレアチニン値の基準値は、男性の場合は0.6~1.1mg/dl、女性の場合は0.4~0.7mg/dl、8.0mg/dl以上となる場合は透析導入の検討が必要となります。
尿検査や血液検査で異常値が出た場合、より詳しく調べるために以下のような検査が行われることがあります。
24時間の尿量、尿中クレアチニン値、血清クレアチニン値から算出する検査です。ただし腎臓機能が低下している場合は、尿細管から分泌される僅かなクレアチニンに左右されて、GFR(糸球体ろ過量)よりも高値となることがあります。
正常値は、男性の場合は90~120ml/分、女性の場合は80~110ml/分とされています。
腎臓の組織を採取した後顕微鏡で直接観察を行い、糸球体や尿細管、血管の状態を調べる検査です。
ベッドで検査をする場合は、局部麻酔を投与した後、腎臓の位置を超音波検査で確認しながら、腎臓組織の一部を採取するために背中から針を刺します。
腎生検は、診断の確定や今後の病態の進行予測などを行う際に、非常に重要な役割を果たします。
腎臓の形、大きさ、合併症(腫瘍や結石など)の有無を調べるために、超音波検査や腹部CTなどを行います。
腎臓の状態を調べるためにはまず、尿中の蛋白質や潜血の有無を調べる尿検査と、血清クレアチニン値を調べる血液検査を行います。そしてそれらの検査で異常が見つかった場合は、クレアチニン・クリアランス、腎生検、画像診断などのさらに詳しい検査を行う必要があります。
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