記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/4
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
健康診断結果で腎臓の状態を確認するためには、どの数値を見ればいいのでしょうか?また、さらに詳しい検査を受けたいときには、どのような検査を受ければいいのでしょうか?腎臓の検査について解説していきます。
腎臓は約120~160gほどの重さの臓器で、お腹の後ろ側に背骨を挟んだ位置に左右一つずつ存在します。
1つの腎臓は、数本の毛細血管が球状に絡まった糸球体というろ過装置と、糸球体からつながっている尿細管という管から成る「ネフロン」が約100万個集まってできており、尿細管はさらに集合管から腎盂へとつながっています。
腎臓には、血液をきれいにするために、体内の余分な老廃物や水分を体外に排出する「ろ過」の機能があります。
まず、腎臓に血液が流れ込んで糸球体を通過するときに、老廃物を含む液体が糸球体の壁によってこし出される「原尿」が行われます。その後、尿細管や集合管を原尿が通過するときに、体に必要な成分や水分は再度吸収されて、不要な物質は尿細管で排出されます。そしてこれらの過程を経て、老廃物と余分な水分のみを尿として体外に排出されるのです。
また、尿の濃さや量はネフロンの働きによって調節されており、体内のイオンバランスや酸性度を正常に保つ働きも担っています。
尿検査では、以下のような尿中に含まれる様々な成分を調べます。
以上のような尿蛋白や尿潜血の検査で陽性となった場合は、顕微鏡を用いてより詳しく成分を調べる「尿沈渣」が行われます。
さらに、以下の数値を調べることで、腎臓の状態をより詳しく調べることができます。
クレアチニンとは、アミノ酸の一種であるクレアチンが筋肉内でエネルギーを放出する際に産生される代謝産物のことで、通常の状態であれば、血液中のクレアチニンは腎臓の糸球体にろ過されるため、尿細管での再吸収はほとんど行われずに尿中に排出されます。
また、クレアチニンは尿以外で体外に排出することができないため、血液中のクレアチニン値が高値になると腎臓機能が低下して、尿の産生が出来なくなってしまいます。
クレアチニン値の基準値は、男性の場合は0.6~1.1mg/dl、女性の場合は0.4~0.7mg/dlとされています。患者さんの症状によって異なりますが、目安として8.0mg/dl以上の数値を示す場合は、透析導入を検討する必要があるとされています。
最近では、eGFR(推算糸球体ろ過量)と呼ばれる、クレアチニン値・年齢・性別の3つの要素をかけあわせて算出する方法が広く用いられるようになりました。
eGFRは、腎臓の糸球体が老廃物をろ過する能力を示す値のことで、健康な状態の腎臓では1分間に90ml以上の血液をろ過しています。
eGFRが90ml/分/1.73㎡以上を示す場合は、腎臓機能が健康に保たれているということになります。
尿素窒素とは、血液中の尿素に含まれる窒素成分のことで、タンパク質が使用された後に残る老廃物のことを示します。
正常値は約8~20mg/dlほどで、腎臓の糸球体でろ過された後に尿中に排出されますが、腎機能が低下してろ過が通常通り行えなくなると血液中に蓄積されていき、血液中の尿素窒素が高値を示すようになります。
尿素窒素値が高くなる原因として、タンパク質の過剰摂取、消化管からの出血、脱水、発熱、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍などがあり、逆にタンパク質の摂取量が不足したり肝不全を起こすと、数値が低くなるとされています。
腎臓の尿検査では蛋白尿や尿潜血の有無を調べ、更に詳しい検査が必要な場合はクレアチニン、eGFR、尿素窒素などの検査が行われます。
尿蛋白や尿潜血で陽性と診断された場合は、腎臓専門医のいる施設を受診して詳しい検査を受けましょう。
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