クローン病になったら食事制限は必要?もう外食はしちゃダメなの?

2018/11/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

口内や食道、胃腸などの消化器官に潰瘍ができる「クローン病」。国から難病指定を受けているこの病気になると、日々の食事にさまざまな注意点が出てきます。
今回は、クローン病になった場合の食生活について、日ごろから気を付けるべきポイントと外食の可否を解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

クローン病になると、食事で気をつけなければいけないのはどうして?

クローン病は、食事に含まれる脂質や腸内細菌の関係で悪化する、と考えられています。
つまり、クローン病患者が脂質過多、または腸内環境を悪化させるような食事を摂ると、慢性的な腹痛・下痢・発熱・嘔吐などの症状が悪化する可能性がある、ということです。

クローン病による症状は辛いもので、悪化すると日常生活を送ることも困難になります。このためクローン病患者には、日ごろから以下のポイントを押さえた食生活を送ることが、強く求められるのです。

クローン病患者が守るべき、食事のポイント

  • 1日の摂取カロリーは体重1kg×35~40kcalと、高めに設定すること
  • 症状悪化の可能性を少しでも下げるため、低脂肪(1日30g以下)の食事を徹底すること
  • 腸で消化しにくい食物繊維の摂取量を減らし、低残渣(ていざんさ)を心がけること
  • 胃腸を刺激して荒れさせる原因となる、スパイスや唐辛子などの刺激物は避けること
  • 食べてみて腹痛、膨満感、下痢が起こる食材は身体にあわないので避ける

クローン病になったら、どんな食事を摂ればいいの?

クローン病になったら、脂肪の少ない主食を中心に、食事からしっかりとカロリーを摂る必要があります。

以下に、クローン病患者が積極的に摂るべき食事内容の例と、脂質が多く症状を悪化させる可能性が高い注意すべき食品をご紹介します。

クローン病患者におすすめの食事内容

基本的には、低脂質で高カロリーなごはん・おかゆ・うどんなどの主食を中心に、白身や赤身の魚・鶏のささ身や胸肉(皮なし)などを食べるようにしましょう。
体の調子が良いときには、フランスパン・食パン・パスタなど脂質を含む主食と、青魚やうなぎ・鶏のもも肉(皮なし)・牛や豚の赤身肉とレバーを食べてもOKです。

クローン病患者が避けるべき、脂質の多い食品
  • 肉類なら、牛や豚のバラ肉やロース肉
  • 魚類なら、うなぎ、ブリ、サバ、サンマ
  • 乳製品なら、バター、生クリーム、クリームチーズ
  • 調味料なら、マヨネーズ、ドレッシング
  • その他の食品では、インスタントラーメンやスナック菓子

なお、消化器症状から下痢や食欲不振を起こしやすいクローン病患者には、水分と塩分の他、ビタミンやカルシウムなどのミネラル類も不足しがちです。
水分は常温の飲み物をこまめに摂るようにし、塩分は1日あたり10~12g程度を目安に塩飴などを利用して、しっかり摂るようにしてください。
そして、ビタミン・カルシウム類は青魚や赤身魚に多く含まれているので、体調と相談しながら、積極的に食べるようにしましょう。

しかし、食事の度に上記のようなルールを考えてばかりいると、食事の楽しみも半減します。そうなると、クローン病の患者本人にとっても家族にとっても食事が辛いものとなり、食欲が減退する理由にもなりかねませんよね。

1日3回の食事を、クローン病のために毎回完璧に制限する必要はありません。楽しみながら食事ができるように体調を鑑み、適度に好きなものを食べて息抜きをして、2~3日のスパンでみたときに脂質を摂りすぎないようにすれば十分です。

堅苦しく考えすぎず、微調整しながら自分にあった食事内容を探っていきましょう。

たまには外食したいけど…大丈夫?

体調が悪く、下痢や腹痛の症状が出ているときの外食は、絶対に控えるべきです。
しかし体調が良く、クローン病に配慮したお店やメニュー選びができるのであれば、多少の外食をしても問題ないでしょう。

以下に、クローン病患者が外食時に気を付けるべきポイントをまとめていますので、参考にしてください。

クローン病患者が外食するときに、気をつけるべきこと

  • 体調管理のため、できるだけメニューに栄養成分表示があるお店を選ぶ
  • メニューは、全体的に油の少ない和食系が低リスク
  • メニューの内、油の多い魚や肉の脂身・皮部分、揚げ物の衣などは残す
  • マヨネーズやソース、ドレッシングは使わないか、ノンオイルのものを選ぶ
  • その他、自分の体に合わないとわかっているメニュー・食品は食べないようにする

なお、外食が楽しくてつい食べすぎてしまった場合は、その後の食事で調整しましょう。

おわりに:クローン病の治療に食事制限は必要不可欠。でも多少の外食はOK

食生活や腸内環境によって悪化する可能性が高いクローン病になったなら、日ごろから食事制限をする必要性は出てきます。しかし1日3食、毎回厳格に制限しなくても、2~3日のスパンで体調を崩さない程度にルールが守れていれば良い、とされます。多少の外食もメニューに気を付ければ可能ですので、医師と自分の体と相談しながら食事内容を考えていきましょう。

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