クローン病の治療の目的とは!?どんな治療方法があるの?

2017/9/25 記事改定日: 2018/10/5
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

主に10代から30代の若い人に発症するクローン病。小腸や大腸だけでなく、口から肛門までの消化管のさまざまな場所に炎症や潰瘍を生じさせる病気です。
この記事では、クローン病の治療の目的と、治療方法の詳細を解説していきます。

クローン病の症状と原因

症状

代表的な自覚症状は、腹痛、下痢、血便ですが、これらの症状は一般的な病気でも現れるため、クローン病を症状だけで診断することは困難です。
この他、発熱や体重の減少、倦怠感が現れることもあり、肛門周囲膿瘍や痔ろうなどの肛門の病気や腸の病気を併発しやすいことも特徴です。消化管の病気以外にも、関節炎や眼症を合併することがあります。

原因

まだはっきりと原因は解明されていませんが、遺伝的な要因と環境要因の2つが複合的に関わり、免疫システムに異常が起こることが原因と考えられています。

クローン病の治療の目的とは!?

クローン病の発症メカニズムは明確には解明されていません。このため、根本的な治療法はなく、治療の目的は「症状を抑えて、日常生活への支障を予防する」ことになります。

クローン病は症状が治まる「寛解」と、症状が再び現れる「再燃」を繰り返します。このため、治療はいかにして寛解状態を長く維持し、再燃を抑えるか、ということが最大の目的になるのです。
中には、長らく症状がないからといって自己判断で治療を中止する人もいますが、治療を続けないと再燃につながることになりますので、必ず医師の指示通りの治療を続けるようにしましょう。

クローン病の内科的治療

内科的治療法としては、栄養(食事)療法と薬剤による治療が行なわれます。
主に薬物療法で効果がなかった人や副作用のあった人、軽症から中等症と診断された人を対象に栄養療法が行なわれます。

栄養療法では栄養剤が投与されますが、その方法には2つあります。
「経腸栄養法」は、栄養剤を鼻から通したチューブで投与するか、口から摂りいれる方法で、寛解の維持に有効な方法であることがわかっています。また、入院が必要な「完全静脈栄養法」は、静脈にカテーテルを通し、高濃度の栄養剤を投与します。

一方、薬剤を利用する方法では、免疫異常を修正するための薬剤や、炎症を抑える薬が投与されます。
主に使用されるのは、5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)や副腎皮質ステロイド薬です。これらの薬で効果が現れない場合は、TNF-α受容体拮抗薬が使用されます。

食事療法

クローン病は腹痛や下痢、血便などの症状が現れている時期と、症状が落ち着いている時期によってそれぞれに合った食事療法を行う必要があります。

まず、症状がある時期には腸管の安静を維持するために絶食にし、腸管に負担がかかる脂質やタンパク質の含有量が非常に少ない、または含まれていない栄養剤を用いた経腸栄養が行われます。腸管が高度に狭窄している場合や腸管の広い範囲に渡って炎症が生じている場合には、さらに腸管の安静を保つために中心静脈栄養による治療が行われます。
また、症状が落ち着いている時期には、通常に食事を摂っても問題ありませんが、できるたけ低脂肪で食物繊維などの過剰摂取を避けるようにしましょう。

クローン病の外科的治療(手術)

腸閉塞や大量出血、腸管に穴が開く穿孔、膿瘍が起こった場合には、手術が必要になります。しかし最近は、手術を行ったときの再発のリスクを減らすため、できるだけ手術を避け、内科的な治療を優先することが増えてきました。

なるべく自分の腸管を温存できるように、狭窄した腸管を広げる狭窄形成術を行いながら、切除する範囲をできるだけ小さくすることを目標に手術が行われます。
これは、腸管の切除範囲が大きくなりすぎてしまうと術後に小腸が短くなってしまい、食事だけで栄養をまかなうことができなくなることでQOL(quality of life:生活の質)が著しく低下することが予想されるためです。

治療中の注意点は?

消化器官に炎症を起こす病気ですから、食事においては暴飲暴食や刺激物を避けるようにし、できるだけ腸をいたわり、安静を保つようにしましょう。
絶対に摂ってはいけないといわれるような成分はありませんが、動物性の脂肪がリスクを高めることがわかっているため、なるべく避けるようにしてください。

また、飲酒と喫煙はひかえましょう。とくに喫煙は、クローン病の発症や再燃(一度治まった症状が再び悪化すること)に大きく関係していると考えられているので、喫煙習慣がある人は禁煙するようにしてください。

再燃を予防するためには、胃腸をいたわる意味においてもストレスをためないようにすることが大切です。また、5-アミノサリチル酸製剤(5-ASA)を基本としながら、さらにアザチオプリンや6-メルカプトプリンを併せて服用することで、寛解の維持に効果があることがわかっています。症状が治まった後も医師の指示通り治療を続けましょう。

おわりに:クローン病は寛解と再燃を繰り返す病気。医師の指導のもと寛解を維持できるようにしよう

多少落ち着いているように感じても、なにかの原因で再燃してしまうリスクがつきまとうのがクローン病です。医師の指導のもと、寛解を維持できるように気長に治療を続けましょう。

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