体の痛みのほかに微熱やだるさも。強直性脊椎炎ってどんな病気?

2018/9/12

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

強直性脊椎炎は炎症性のリウマチ疾患です。「リウマチ疾患」ではありますが、関節リウマチとは症状の出方が違ってきます。
この記事では、強直性脊椎炎の症状や治療法について解説していくので、基礎知識として覚えておきましょう。

強直性脊椎炎とは

強直性脊椎炎とは、主に脊椎や骨盤に起こる、原因不明の炎症性のリウマチ疾患です。手足の小さい関節から発症するケースの多い関節リウマチとは特徴が異なります。

症状の特徴と経過

初期は目立った症状がない
初期の状態では目立った徴候が現れず、症状の強弱も激しいため、周囲の人から怠けていると誤解されることも少なくないとされています。
自覚症状が現れる

若年者の場合は、腰痛、仙腸関節痛、殿部痛(坐骨神経痛)、胸部痛(助間神経痛)、場合によっては股・膝・足関節などの痛みや腫れの症状が現れて、発症します。
痛みは急に起こることもあればゆるやかに現れることもあり、安静にしていても痛みが軽くなることはなく、動いている方が痛みが楽になる「炎症性腰背部痛」が特徴です。

さらに進行
病態が進行すると、脊椎全体の動きが悪くなることで体が前傾気味となり、体を反らす、上を見あげる、うがいをするなどの動作が難しくなります。
重症
症状が重症化した患者の1~2割程度は、初期の状態から10~20年後には脊椎が動かなくなり、日常生活や就労に影響が及ぶこともありますが、患者の多くは、多少の支障があっても日常生活を送ることができるといわれています。
また重症化に伴い、目の病気(虹彩炎)、腸の病気(クローン病、潰瘍性大腸炎)、皮膚の病気(乾癬、掌蹠膿疱症)を合併するケースもあります。

その他の症状

腰背部痛以外には、体のだるさ、疲れやすさ、体重減少、微熱、高熱などの全身症状が現れることがあります。
また、以下の症状も強直性脊椎炎の代表的な症状です。

付着部炎
靭帯が骨に付着している部分である、踵、大腿骨の大転子(太ももの上部外側の骨のでっぱり)、脊椎の棘突起(背中の中央を縦に走っている骨のでっぱり)、肋骨、鎖骨、座骨結節(座る時に当たる部分)、などに起こる痛みを付着部炎と言います。
ぶどう膜炎(虹彩炎)
強直性脊椎炎患者の約30%は、前部ぶどう膜炎(虹彩炎)を合併し、眼の痛み、充血、飛蚊症などの症状が起こるようになります。発症は、急性、片側性、再発性である場合が多く、早い段階で眼科的治療を始めれば、大半の人は予後を良好に保つことができるといわれています。
骨粗鬆症
強直性脊椎炎を長期間患っていると、骨粗鬆症が起こることがあります。
脊椎を骨折すると手足の麻痺や呼吸障害が起こる恐れがあるため、転倒時などの骨折には気をつける必要があります。

強直性脊椎炎を発症するにはどうして?

強直性脊椎炎は特に40歳以下の男性に多く見られる病気で(男女比は約3:1)、男性と比較すると女性の場合は発症が遅く、軽症のケースが多いとされています。
発症や悪化には分娩、怪我、手術などが関係していると考えられていますが、未だはっきりとした発症の原因は解明されていません。

しかし、HLA(ヒト白血球抗原)のB27型の陽性率が高いことや、10数%の確率で家族内発生が見られることから、なんらかの遺伝的素因があることがわかっており、それに加えて後天的な要因(細菌感染など)による免疫異常が起こることで発症に至るのではないかと考えられています。

どうやって強直性脊椎炎を治療するの?

未だはっきりとした原因が判明していないため、根本治療は困難です。そのため、治療は対症療法としての薬物療法とリハビリが中心になります。

薬物療法

消炎鎮痛剤や抗リウマチ薬などが使用されますが、いずれの薬も長期間の服用が必要です。症状、年齢、社会的背景などを考慮し、医師の判断のもと必要最低限の量が処方されます。

リハビリ

温熱療法やマッサージを継続的に受けることで、症状が改善される場合があります。
また、症状の軽減や機能の回復を目指すためには、自ら積極的な運動を行ったり、社会的活動に参加することも大切です。
ただし、体を動かすことが困難なほどの痛みがある場合や発熱時には安静にしてください。
コルセットは効果がみられないケースもあるため、医師の指示がない場合は使用は控えた方が良いでしょう。コルセットを使いたい場合は、医師に相談してから使うようにしましょう。

人工関節全置換手術

股関節や膝関節の痛みが強く、動かすことが困難になり、歩行や日常生活に著しく支障をきたしている場合は、人工関節全置換手術を行うことで歩行や社会復帰が可能になるとされています。

予後

一般的には、10~20代で発症した後、20~30歳代で病勢のピークを迎え、40歳代で徐々に症状が治まっていくという経過をたどることが多いとされています。

病態が進行すると、疼痛に代わって脊椎や関節の拘縮や強直が起こるようになり、実年期・老年期になると激しい痛みは軽減し、こわばりや倦怠感などが主な症状となりますが、高齢になるまでに全脊椎が強直する患者の割合は約1/3ほどとされており、全ての患者が痛みのある部位に硬直が起こるわけではありません。

また、強直性脊椎炎が直接の原因となり死に至ることはなく、生命予後は比較的良好だとされています。

おわりに:病態が進行する前に早期発見・治療に努めましょう

強直性脊椎炎とは主に脊椎や骨盤の炎症が見られる、原因不明のリウマチ疾患です。初期の状態では目立った徴候が現れませんが、病態が進行するにつれて様々な症状が現れます。現在では根本治療の方法が確立されていないため、薬とリハビリで症状の緩和と進行の抑制が治療の中心となります。
医師の話し合いながら、ライフスタイルにあわせた治療方法を見つけていきましょう。

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