記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
成人スティル病とはどんな病気なのでしょうか?あまり聞きなれない病名ですが、どのような症状が出て、また再発する可能性はあるのでしょうか?以降で解説していきます。
成人発症スティル病(成人発症スチル病)とは、子供の病気であるスティル病(全身型若年性特発性関節炎)によく似た症状が、大人(通常16歳以上)に現れる疾患のことです。膠原病の一種ですが、リウマチ因子や抗核抗体などの自己抗体は陰性とされており、自己炎症性疾患といえます。
成人発症スティル病の患者は10万人あたり2人ほどの割合で存在するとされ、男性よりも女性に多く見られるとされています。一般的には、20~40歳代の若年層に発症することが多いですが、70歳以上に発症する場合もあります。
原因は未だはっきりとはわかっていませんが、遺伝素因や環境因子(ウイルス・細菌の感染など)に関係して発症すると考えられています。
そのほか、成人スティル病患者の約半数に肝臓や脾臓の腫れが見られます。また、胸膜炎、心膜炎、間質性肺炎、肝障害、リンパ節腫脹、咽頭痛、白血球増加、炎症反応陽性、フェリチン値の著しい増加などが起こることがありますが、リウマチ因子や抗核抗体は陰性となります。
まれに播種性血管内凝固症候群(DIC)や血球貪食症候群などの重症な合併症に発展することがあります。
成人スティル病は症状が治まる時期があっても、再発することもあるため、注意が必要な病です。特に、成人スティル病の3つの病型のうちの多周期性全身型は、治療薬の減量に伴い再発する確率が高いとされています。
また、ステロイドの長期服用に伴い起こる骨粗鬆症や感染、糖尿病などの副作用にも注意する必要があります。骨粗鬆症がある場合は転倒した時に骨折しやすくなっているため転ばないように気をつけたり、感染対策として手洗いうがいを行う、ステロイドの用法・用量を守るなどの対策を行いましょう。
成人スティル病の治療では炎症を抑えることを目的とした治療を中心に行います。
通常は、寛解するための治療として、副腎皮質ステロイドを使用する方法が一般的です。
まずは初期内服量プレドニン30~60mgを、炎症の程度や体重を考慮して量を調整して使用します。炎症を抑える効果が芳しくない場合は、副腎皮質ステロイドの大量点滴療法(ステロイドパルス療法)や免疫抑制薬の併用療法が行われます。
副腎皮質ステロイドの使用により十分な効果が得られた場合は、初期量から減量をはじめるのですが、減量が早すぎた場合は再熱(病気の活動が再開すること)する恐れがあるため、減量に対しては慎重に行う必要があります。
また、副腎皮質ステロイドの使用でも芳しい効果が得られなかったり、再熱した場合には、抗リウマチ生物学的製剤(主にアクテムラ)を使用することがあり(保険適用外)、副腎皮質ステロイドの減量が難しい場合には減量を助けるために、免疫抑制薬や抗リウマチ生物学的製剤を併用することがあります。
細菌やウイルスなどの感染症の罹患によって、成人スティル病が発症または悪化することもあるため、感染症予防の対策を日頃から行う必要があります。
外出後の手洗いうがい、体調管理、栄養バランスのとれた食生活などを心がけましょう。また、インフルエンザワクチン接種も受けるようにしましょう(アレルギーの場合を除く)。
成人発症スティル病とは、子供に発症する病気であるスチル病に類似した症状が大人(通常16歳以上)に現れる疾患のことで、全身症状、関節痛、皮疹などの症状が主に起こります。成人スティル病は症状が一度治まっても、再発する恐れのある病気のため、注意して経過を観察していきましょう。
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