記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/28 記事改定日: 2020/8/21
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
大腸の粘膜に炎症が起き、びらんや潰瘍ができる潰瘍性大腸炎という病気があります。重症化すると腸に穴が開いてしまうこともある恐ろしい病気です。ストレスとの関連性があるといわれていますが、どんな原因が考えられるのでしょう。今回は潰瘍性大腸炎という病気について、代表的な症状や原因、内科的・外科的治療法を解説します。
大腸の最も内側粘膜に炎症が起こり、そこからただれや潰瘍ができてしまう炎症性腸疾患の一種が「潰瘍性大腸炎」という病気です。
大腸のどこに炎症ができるかにより、「直腸炎型」「左側結腸炎型」「全大腸炎型」「右側結腸炎型」の4種類に分けられています。
かつては欧米に多い病気でしたが、近年では日本人の患者数も急激に増えていて、2013年時点で日本国内に約17万人の罹患者がいると報告されています。
潰瘍性大腸炎によって引き起こされる代表的な症状は、以下の通りです。
潰瘍性大腸炎は、重症化すると潰瘍から穴が開いて便が体内に漏れ出したり、大腸がんの原因となることもあります。このため、潰瘍性大腸炎は早急に治療が必要な病気と認識しておきましょう。
潰瘍性大腸炎と同じく腸が慢性的な炎症状態になり、下痢などの症状を起こす代表的な病気として、クローン病も広く知られています。
しかし、潰瘍性大腸炎とクローン病は、以下の点において大きく異なっています。
潰瘍性大腸炎が発症する原因は、今のところはっきりとはわかっていません。
現時点では、以下のような複数の要因が重なることで発症するのではと推測されています。
また、長期的に大きなストレスを受け続けることも、環境因子の1つとして潰瘍性大腸炎の発症・悪化に影響していると考えられています。
このことから、ストレスだけが直接原因で潰瘍性大腸炎を発症する可能性は低いものの、ストレスは潰瘍性大腸炎の悪化に関連している、といえるでしょう。
潰瘍性大腸炎の治療方法は、「内科的治療」と「外科的治療」の2つに大別されます。
腸の炎症や、免疫異常を抑える作用のある薬を内服薬・点滴などで投与します。
潰瘍性大腸炎の治療は薬物療法が主体となり、腸の炎症を抑える効果のある5-アミノサリチル酸製剤、炎症と免疫の働きを抑えるステロイドが用いられます。しかし、これらの薬を用いても十分な効果が得られない場合は、免疫の働きを強力に抑える免疫抑制剤や生物学的製剤などが用いられることもあります。
また、5-アミノサリチル酸やステロイドは軽症~中等症の場合は飲み薬が使用されますが、重症な場合は点滴治療が必要になったり、大腸に直接薬を注入しなければならないこともあります。
炎症を起こしている大腸を全部摘出し、同時に人工肛門や大腸の代わりとなる便を溜めておく袋を形成する手術をして、治療する方法です。
潰瘍性大腸炎の外科的治療では、基本的に大腸の全摘術が行われるため、術中・術後の体への負担が大きくなります。
このため、基本的にはまず内科的治療が行われ、以下のような事情から外科的治療を取らざるを得なくなった場合のみ、手術が行われます。
潰瘍性大腸炎は、治療で症状が落ち着くケースは多いものの再発もしやすく、完全に症状がなくなって完治に至る可能性は低い病気です。
一旦は内科的治療で症状が落ち着いても、再発したときに手術が必要になることもあります。
必要な治療法や再発する確率、再発後の治療の選択肢などは、医師に確認しましょう。
潰瘍性大腸炎の明確な発症メカニズムは解明されていないため、現在のところ確実に発症や悪化を予防する方法はありません。
しかし、潰瘍性大腸炎は免疫の働きの異常や欧米化した食事の影響によって発症するとの説もあります。そのため、予防するには次のような対策が有用とされています。
潰瘍性大腸炎は、何らかのきっかけで腸内側の粘膜に炎症ができてびらん・潰瘍が発生し、大腸が慢性的な炎症状態になる病気です。発症原因ははっきりとはわかっていませんが、現時点では家族間の原因因子の遺伝や食生活・ストレスなどの環境的要因、免疫異常など複数の原因が絡み合って発症すると考えられています。基本的には投薬で治療しますが、症状によっては大腸の全摘術が必要になるので、異常を感じたらすぐ病院に行ってください。
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