記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/11/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
膵臓の病気「慢性膵炎」とはどんな病気でしょうか。発症するとどんな症状が起こるのか、具体的にお伝えしていくので、ご自身の症状と照らし合わせてチェックしてみてください。
慢性膵炎とは、消化酵素を分泌する膵臓の外分泌腺細胞に長期間にわたって炎症が持続することによって、膵臓の正常な細胞が壊れ、膵臓が線維組織に置き換わる病気です。繊維に置き換わる、すなわち膵臓が線維化することによって膵臓が硬くなってしまい、膵臓本来の機能が衰えていきます。一般的には40~50歳代で発症することが多い病気です。
慢性膵炎の症状は以下のようなものがあります。
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慢性膵炎の原因は、男性では飲酒が最も多く、そのほとんどはアルコールが原因とされており、原因の約3分の2を占めています。もちろん、飲酒だけではなく体質や環境的な因子も関係していると考えられます。
女性では原因不明の特発性が多くみられ、原因の半分を占めています。その他には胆石によるものや副甲状腺機能亢進による高カルシウム血症、原因不明のものもあります。また、極めて稀ではありますが消化酵素の遺伝子異常により発症する膵炎もあります。
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慢性膵炎は日常生活を見直すことで予防することができます。
慢性膵炎は前述したように、そのほとんどの原因がアルコールによるものです。そのため飲酒の習慣を見直すことが重要です。
一般的にビール大瓶3本(日本酒なら約3合、ワインならボトル1 本、焼酎なら2合)程度のアルコールをほぼ毎日飲み続けると、10~15年で慢性膵炎を発症する可能性が高くなります。他にも週に3日以上、1回1合以上のアルコールを飲んでいたという人が、慢性膵炎患者の76%を占めているという研究結果もあります。そのため、飲酒の量や飲酒のペースを見直すことが慢性膵炎の予防につながります。
また、喫煙も慢性膵炎の因子となりますので、禁煙をすることが予防へとつながります。そして脂肪分の多い食生活も膵炎の原因となります。特に食後に腹部の痛みを感じる人は食生活を見直すことが必要です。1回ごとの食事量を減らして、4~5回に分けて食事を摂るようにしましょう。揚げ物や炒め物、ケーキといった脂肪分の多い食事を避け、低脂肪職中心の生活にすると膵臓の負担を軽くすることができます。
日本人の平均脂肪摂取量は1日あたり55~60gとされていますが、慢性膵炎の予防を意識する場合には1日あたりの脂肪摂取量を40~60gとすると良いでしょう。カロリーの制限はないため、脂肪の多い食事を減らしつつカロリーを補えるような食生活を送ることができれば、慢性膵炎の予防へつながります。
ただし、糖尿病など他にも病気を抱えている場合にはその病気に応じた食生活とすることが望ましいため、主治医と相談をしたうえで食事を見直すことをおすすめします。
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膵臓の炎症が長期にわたって持続することによって起こる慢性膵炎。アルコールが原因として最も多く、他にも原因不明の場合もあります。
慢性膵炎となると腹部の痛みや体重減少、食欲低下といった症状が見られるほか、膵臓の機能が低下することで糖尿病を合併する可能性もあります。飲酒量の見直し、禁煙は慢性膵炎の予防として最も効果的です。他にも栄養バランスを整えて脂肪の少ない食事を摂ることも慢性膵炎の予防につながるため、ぜひ意識して行ってみてはいかがでしょうか。
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