膵臓とは ― 膵臓の位置や働き、不調になるとみられる症状を解説!

2018/11/18

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

人間の臓器の中でも「膵臓」は、位置や機能があまりよく知られていない臓器のひとつです。そこで今回は膵臓の位置や担う役割、膵臓が不調に陥ったときに出る症状などを解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

膵臓はどこにある?

「膵臓(すいぞう)」は、胃の後ろ、脊椎の前にあり、成人で長さ約15~20cm、幅3cm、厚さ2cm、重さ60~100gほどの、淡い黄色をした臓器です。細長く、自分からみて右側が太く左側が細い形状で、右側のふくらんだ部分は膵頭部といい、十二指腸に囲まれています。

左側の細くなっている部分は膵尾部といい、脾臓(ひぞう)に接しています。中央部分は膵体部といい、重要な大血管に接しています。膵管という細長い管が、膵臓を貫いて網の目のように走り、膵液を主膵管という1本の管に集め、十二指腸乳頭で肝臓から総胆管を通って運ばれてくる胆汁と合流して十二指腸に注いでいます。

膵臓の働きは?

膵臓には、食物の消化を助ける膵液をつくり十二指腸に送りだす「外分泌機能」と、血糖値の調節などをするホルモンをつくり血液中に送りだす「内分泌機能」があります。

膵液は1日約800~1000mlが分泌されており、その量は必要により調節され1500mlほどが分泌される場合もあります。膵液は炭水化物、タンパク質、脂質といった三大栄養素を分解する多数の消化酵素を含み、糖をブドウ糖、果糖に、タンパクをアミノ酸に、脂肪を脂肪酸とグリセリンに分解し、同時に弱アルカリ性であることから、胃酸で酸性になっている食べ物を中和し消化酵素の働きを助ける作用をもちます。

また内分泌細胞でつくられるホルモンには、ブドウ糖を活動エネルギーに変えたり蓄えたりして血糖値を下げるインスリン、蓄えたグリコーゲンをブドウ糖に戻したり脂肪をエネルギー源として分解し血糖値を上げるグルカゴン、さまざまなホルモンの分泌や消化管機能を抑制するソマトスタチンなどがあり、細胞から直接血管の中に分泌されて全身に運ばれます。

膵臓の働きが悪くなるとどうなる?

何らかの原因で膵臓の働きが弱くなると、「急性膵炎」を発症する可能性があります。急性膵炎は、膵液中の消化酵素が活性化して膵臓自体が消化されてしまう病気で、上腹部の激しい痛みのほか、吐き気や熱が出ることもあります。

原因の約4割は長期の過剰な飲酒で大人の男性に多く発症しますが、アルコールが膵炎を引き起こす仕組みはまだよくわかっていません。胆石やストレスによるものや、原因不明の場合もあります。

また、膵臓が炎症を繰り返すと膵臓の細胞が壊されて硬くなってしまい、「慢性膵炎」という膵臓の働きが失われていく病気になってしまいます。上腹部に痛みが続くほか、下痢を起こしたり腸にガスが溜まることもあります。進行すると膵臓に結石ができたり、糖尿病を引き起こす恐れもあります。やはり原因の半数以上は過剰な飲酒で、それ以外は胆石によるか原因不明となっています。

おわりに:重要な役割を担う膵臓。炎症が起こらないよう摂生を

膵臓は、胃と脊椎の間にある横長の臓器です。食物の消化を助ける膵液をつくり十二指腸に送りだし、血糖値の調節などをするホルモンをつくり血液中に送りだすなど、重要な働きをもちますが、長期の過剰飲酒などで炎症を起こすと急性膵炎に、それが繰り返されると慢性膵炎となって機能不全に陥り、糖尿病を引き起こす場合もあります。こうした事態に陥らないよう、日々の健康管理に注意しましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

膵臓(14) 急性膵炎(16) 慢性膵炎(15)