記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
病気になると痛みが生じることが多いですが、ここで取り上げる病気はいずれも、特に痛みが強いと言われているものです。ここでは痛みが強い病気として、痛風、子宮内膜症、胃潰瘍、線維筋痛症、手術後の痛みを取り上げます(なお、特定の順位に基づいて紹介している訳ではありません)。
痛風は最も痛みを伴う関節炎のひとつで、足の親指の付け根などの関節に腫れや痛みが生じるものです。親指の付け根にこの症状が出ると、親指に触れたり、動かすことすらつらくなってしまいます。
「痛風」と聞くと、贅沢な食事をイメージするかもしれません。でも、現在ではこうした食事が痛風の原因であるというのは言いすぎです。確かに、肉を食べることが多い人や、大量のお酒を飲む人のほうが痛風にかかりやすいものの、誰でも(完全なベジタリアンでさえも)痛風にかかるリスクはあるのです。
いったん痛風にかかると関節が痛み始め、だんだん腫れて赤みを帯びて熱くなり、痛みもひどくなります。この痛みは1~10日間ほど続く可能性があります。また、痛風の症状が繰り返し出ると、関節にひどいダメージを与えて障害が残ってしまうこともあります。このため、痛風の再発を防止するための薬を服用して治療することが勧められています。
子宮内膜症とは、本来、子宮の中にだけあるはずの子宮内膜が、子宮の外にもできて成長してしまう病気です。子宮内膜症の女性の中には、症状がまったく現れない人もいますが、骨盤の痛みや月経痛、あるいはセックス中やセックス後に痛みを感じる人もいます。
子宮内膜症に対する根本的な治療法はないものの、ピル(ホルモン剤)などで痛みを和らげ、症状の進行を遅らせることは出来ます。また、一般には閉経すれば止まります。
胃潰瘍とは、胃の内部の炎症などによって粘膜下層が欠損する状態です。胃潰瘍になると、食間や早朝に、腹部に鈍い痛みを感じるようになります。この痛みは、刺激物や暴飲暴食を避けたり制酸剤と呼ばれる薬を服用すると和らぎます。
胃潰瘍は放置すると胃に穴を空けてしまい、非常にひどい痛みを伴う状態になります。胃に穴が空いてしまった場合、直ちに手術を受ける必要があります。
首の後ろや肩、腰、臀部、頸骨、ひじ、ひざなど、全身に痛みが広がる症状です。この痛みは朝に悪化することが多く、特に頻繁に動かしている筋肉のあたりに痛みが現れることが多いです。
線維筋痛症が発症する原因はわかっておらず、治療法も確立されていないので、長く付き合っていく必要がある症状です。しかし鎮痛剤を服用したり、運動したりすることで痛みを和らげることができます。
どんな手術を受けたかによって痛みの程度は異なるものの、手術後に痛みが出ることは比較的よくあることです。ただ、痛みが長引いたり、耐え続けるのが難しい痛みが続くようでしたら、鎮痛剤の服用をお勧めします。
痛みを抑えることで、早期回復につながったり、痛みが長引くことを防ぐことができます。
いずれの症状も激しい痛みを伴うのはもちろん、その期間も比較的長期にわたるものが多いです。胃潰瘍のように、治療法が確立しているものもあれば、繊維筋痛症のように現時点では対症療法にとどまっているものもあります。いずれにしても、気になる症状が出たときは医師の診察を受け、適切なアドバイスを受けましょう。