アミラーゼの数値が高いのは膵臓の病気が原因?他の病気の可能性は?

2018/12/2

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

アミラーゼとは、消化酵素の一種です。食べ物を分解するために分泌される成分の一種ですが、アミラーゼの血中濃度を測定することで疾患の診断ができるというのは本当なのでしょうか?また、膵臓の疾患か他の臓器の疾患かなどを調べる方法はあるのでしょうか?

アミラーゼとは

アミラーゼとは、でんぷんを分解してブドウ糖にする消化酵素です。唾液腺から分泌される唾液アミラーゼはプチアリンとも呼ばれ、中学の生物でも習う有名な酵素ですが、その他にもアミラーゼは膵臓や耳下腺からも分泌され、でんぷんの代謝に重要な役割を果たしています。

アミラーゼは血液に混じって全身を巡った後、腎臓で濾過され尿に排泄されます。血中や尿中に排出されるアミラーゼが増加した場合、膵臓や唾液腺の細胞に異常が生じて過剰分泌が起こっていると考えられます。特に、膵臓に炎症があったり膵管の流れが悪くなったりしたときに高い値を示すので、血中・尿中のアミラーゼ検査は膵炎や膵臓の腫瘍マーカーとして有効です。

アミラーゼの数値が高いのは膵臓の不調のサイン?

アミラーゼは上記の臓器の中でも、膵臓から最も多く分泌されるため、アミラーゼが血中・尿中で高値を示す場合、膵臓の細胞が何らかの原因で破壊されて漏れ出たと考えられます。これを逸脱と呼びます。これにより、膵炎の診断に血中アミラーゼ濃度の測定が利用されることもあります。

急性膵炎では、血中のアミラーゼをはじめとする膵酵素が基準値の10数倍の数値となり、さらに激しい腹痛を伴います。発症から1〜2日でアミラーゼの値が最高値の10数倍となり、その後は急速に低下して1週間程度でほぼ通常値に落ち着きます。アミラーゼの値だけで確定診断となることはなく、激しい腹痛の有無、他の血中の膵酵素の判定や腹部超音波、腹部CTなどの検査を併用して確定診断とします。

慢性膵炎では、腹痛は軽度ですが長く続きます。また、アミラーゼの値は基準値の2〜3倍の値を示します。膵臓がんの場合も2〜3倍程度の上昇が一般的ですが、膵臓がんに急性膵炎を合併した場合、急性膵炎の上昇値となり、10数倍の高値を示します。

血中・尿中アミラーゼ濃度の上昇は、急性および慢性膵炎・膵臓がんだけで見られる現象ではありません。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)でも上昇しますし、唾液腺の疾患によって上昇する場合があります。しかし、耳下腺や唾液腺に含まれるアミラーゼは「S型」と呼ばれるアミラーゼであり、膵臓に含まれるアミラーゼは「P型」と呼ばれるアミラーゼです。

「P型」と「S型」はアイソザイム検査という検査によって区別することができます。おたふくかぜは耳下腺にウイルスが感染して発症するため、耳下腺の腫れと痛みが主な症状ですが、このアミラーゼの「S型」が基準値の2〜3倍の値になっていることでも見分けることができます。

アミラーゼの「S型」と「P型」とは?

アミラーゼのS型は唾液腺や耳下腺に含まれる消化酵素であり、口から入った食物を咀嚼する際に食物と混ぜ合わされることで、でんぷんを分解する働きがあります。また、S型は唾液腺や耳下腺以外の臓器にも多少存在するため、肺がんや卵巣がん、口の周りをなにかにぶつけた、胃カメラをした翌日などの場合にも血中S型アミラーゼ濃度が高くなることがあります。

P型は、胃を通過した食物が十二指腸に送られた際、十二指腸に分泌される膵液に含まれる消化酵素で、食物と混ぜ合わされながら糖分を分解し、小腸での消化・吸収を助けます。初めにご紹介したように、膵臓の組織が壊れるような膵炎や膵がんなどを発症すると血中濃度が高くなります。

アミラーゼが高値であることがわかっても、原因が膵臓の疾患によるものなのか唾液腺や耳下腺の疾患によるものなのかが血液検査以外の症状などによって特定できない場合は、アイソザイム検査によってS型・P型を鑑別します。さらにエコーやCTなどで画像診断による精密検査を行い、確定診断を行います。

健康診断でアミラーゼの数値が高いといわれたら

膵臓は胃の裏側にあり、炎症などの疾患を発症しても自覚症状に乏しい臓器です。よって、がんや慢性膵炎など、自覚症状が特にわかりにくい疾患の場合は早期発見が難しいため、検査で異常値が出た場合は早めに精密検査を行うことが大切です。特に、膵炎や膵がんは近年発症率が高まっているため、背中の痛みや黄疸・体重減少などのわずかな異常を見逃さないようにしましょう。

健康診断でアミラーゼが高値と言われた場合、何回か検査してたまたま高値だっただけではないことを確認すると同時に、S型・P型の区別なしの血中アミラーゼ濃度以外の膵臓に関する検査を行う必要があります。膵臓に関する検査でも異常が見られた場合、S型・P型アミラーゼの区別を含めた精密検査を行いましょう。

日常生活では、アルコール類を控えたり、暴飲暴食を避けたりすることが大切です。特に、高脂肪食の食事を多く摂取し続けていると膵臓に大きな負担がかかります。脂質の多い食事は控え、普段からさっぱりと低脂質な食事を心がけましょう。

おわりに:血中アミラーゼ濃度は膵疾患の指標になりうる

血中アミラーゼ濃度が高い場合、それすなわち膵疾患と100%断言することはできません。しかし、血中アミラーゼ濃度が10数倍などと高い場合、膵炎である可能性は高いといえます。

血中アミラーゼ濃度が基準値の数倍〜10数倍という非常に高値を示していながらも、唾液腺や耳下腺の目立った症状が見られない場合、膵炎や膵がんなどの可能性を考慮して精密検査を行い、適切な治療を受けましょう。

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