記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
乾燥が気になる冬場は、しっかり肌を保湿してくれる化粧水や乳液を選びたいものです。ただ、ドラッグストア、デパート、通販サイトなどではさまざまな商品が並んでいて、「結局どれがいいの?」となってしまいますよね。そこで今回は、保湿力の高い化粧水や乳液の選び方のポイントをお伝えしていきます。
肌の乾燥が気になるという方は、化粧水や乳液を選ぶ際、パッケージの裏面などに記載されている保湿成分に注目しましょう。基本的に、下記の成分には保湿効果が期待できるといわれています。
もともと肌に存在している油分の一種。肌は「表皮」「真皮」「皮下組織」の三層構造になっているのですが、セラミドは表皮の角質層という部分に存在し、細胞と細胞の隙間を埋め、肌から水分が蒸発して乾燥するのを防ぐ役割を担っています。
抜群の保水力をもつ高分子です。セラミド同様もともと肌に存在していますが、年齢とともに減少していきます。
石油を高純度に精製して作られたペースト状の油分です。皮膚の上にバリアを形成し、刺激から肌を守ったり、水分の蒸発を防いだりする効果があるとされます。
皮膚のバリア機能の3因子、「天然保湿成分(NMF)」の主要成分です。角質層の水分を保つ役割があり、このアミノ酸が主要成分となるNMFが少なければ少ないほど、乾燥が起こりやすくなるといわれています。
皮膚のバリア機能の3因子のひとつである皮脂には、スクワレンという成分が含まれています。このスクワレンはそのままだと酸化しやすく肌への刺激となるため、化粧品にはスクワレンを還元したスクワランという成分が配合されています。べたつきが少ないのが特徴の液状オイルで、高い保湿力をもちます。
保湿成分の代表格ともいえる存在で、さまざまな化粧水に配合されています。
先ほどご紹介した成分の中でも、乾燥が気になるという方に特におすすめなのが「セラミド」入りの乳液です。例えばヒアルロン酸配合の化粧水や乳液は、塗っても必ず保湿効果が得られるとは限りません。これは、ヒアルロン酸がもともと分子が大きく、ナノレベルまで小さくしたヒアルロン酸でない限り、角質層に成分が届くかは期待できないためです。
一方、セラミドはスキンケアによって補給できる成分といわれています。ただ、角質層に浸透しにくい成分ではあるので、化粧水よりも油分の多い乳液のほうが補給効果が期待できます。
なお、セラミドには「ヒト型セラミド(バイオセラミド)」「擬似セラミド」「植物性セラミド(グルコシルセラミド)」「ミルクセラミド」などの種類がありますが、おすすめなのはヒト型セラミド(バイオセラミド)です。酵母から生成されたものが多く、もともと肌に備わっているセラミドと同じ化学構造をしているため、保湿力に優れたうえに刺激も少ないからです。
また、セラミドの含有量も注目したいポイントではありますが、多くの化粧品には含有量は記載されていません。そこでひとつの目安として、テクスチャーのタイプに注目してみてください。セラミドは脂溶性なので、水に溶けにくく、油に溶けやすいという特徴をもちます。つまり、水っぽいテクスチャーのものはセラミドの配合量が少ない可能性があるので、クリーム状あるいはとろっとしたテクスチャーのものを選ぶのがおすすめです。
化粧水や乳液はどれでも同じというわけではなく、配合された成分やテクスチャーの性質によって、期待できる保湿効果が大きく異なります。肌の乾燥でお悩みの方は、ご紹介したポイントを参考に、化粧水や乳液などのアイテム選びを進めてみてください。
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