記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/6 記事改定日: 2020/5/25
記事改定回数:1回
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MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血尿とは血液の混じった尿が出ることです。目に見えなくても尿に血が混じる場合もあります。血尿の頻度は年齢を重ねるごとに増えますし、男性よりも女性に多いのが特徴です。今回は血尿の原因や検査方法などをまとめました。軽視せず、症状が出た場合はすみやかに検査などを受けましょう。
血尿とは、尿に血が混じっている状態のことです。血尿は、さらに「肉眼的血尿」と「顕微鏡的血尿」に分けることができます。
健康診断の尿検査などで「少し尿潜血に陽性が出ていますね、でもこれくらいなら大丈夫ですよ」と言われることがあります。
血尿は男性よりも女性に多く、膀胱炎や血尿を体験したことがある女性も少なくないので、少々血尿が出ても気にしない女性もいるでしょう。
しかし、血尿は尿を作っている腎臓や尿路の病気のサインでもあります。とくに目で見て分かる「肉眼的血尿」は大きな病気のサインの可能性があります。
顕微鏡的血尿は、腎炎など重篤な病気が背景にあることもあります。ですが、患者本人は排泄した尿を見ても血液が混ざっていることに気づくことはないため、発見が遅れることも少なくありません。
顕微鏡的血尿の有無を判断するのは、健康診断や病院などで尿検査をするしかありません。半年~1年に一度は健康診断などで尿検査を行い、万が一陽性が出たときはできるだけ早めに精密検査を受けるようにしましょう。
血尿の原因は、以下で挙げるようにさまざまなものがあり、年齢とともに血尿が出るリスクも増えます。
一般的には、顕微鏡的血尿は腎臓で血液から尿を作る器官である「糸球体」のトラブルが原因で起きる場合が多く、尿路結石や膀胱がんでは顕微鏡的血尿が出ることが多いといわれています。
膀胱炎では膿尿と血尿が出ることもありますし、腎臓の血管の形態異常による血尿もまれに見られることがあります。
ただし、症状の出方には個人差があるので、自分で判断はできません。血尿が出たときは必ず病院で検査してもらいましょう。
血尿にともない、排尿痛や頻尿などの症状も出る場合があります。血尿に伴う排尿痛が出た場合は、前立腺炎や膀胱炎、尿道炎などの尿路感染症が疑われますし、血尿に加えて背面痛がある場合は尿路結石が疑われます。
一方、血尿が出ているのに排尿時痛などの症状が無い場合があります。一般的に、このような血尿は「無症候性血尿」と呼ばれています。無症候性血尿は膀胱がんなどの重大な病気の可能性があるため、痛みを伴う血尿よりも一層の注意が必要です。
膀胱の出口に近い場所に膀胱がんのような病変が起きると、血尿と共に排尿時の痛みや頻尿、尿のにごり、残尿感といった膀胱炎の症状が出ます。
痛みを伴わない血尿が出た場合も膀胱がんの可能性が疑われます。
前述したように、血尿は大きな病気のサインの可能性があるので、痛みの有無に限らず必ず病院で検査してもらいましょう。
内視鏡を用い、肉眼でがんの発生場所や範囲、形状などを確認します。
がん細胞が尿に出てないかどうかを顕微鏡で見て、判断する検査をします。陽性の場合、膀胱がんや腎盂・尿管がんがある可能性が高いとされています。
体の表面に超音波の出る器具を当て、臓器によって反射した超音波の様子を観察する検査をします。隆起タイプのがんは超音波検査でも診断できます。
転移などの疑いが出た場合、X線を用いて体の内部を描き出すCT検査や、磁気を用いて画像にするMRI検査を実施します。ラジオアイソトープを用いて骨転移を調べる「骨シンチグラフィ」を行うこともあります。
膀胱がんの重症度は経尿道的膀胱腫瘍切除術「TURBT」で判定します。全身麻酔か腰椎麻酔を施し、患部を内視鏡で細胞組織を採取します。採取した細胞組織を顕微鏡でチェックし、がんの種類や筋層まで浸潤しているかどうかなどを見ます。
がんは早期発見できれば治療も可能ですし、治療期間も短くてすみます。痛みがまったくなくても、血尿が出た場合は、すぐに病院を受診しましょう。もちろん血尿のすべてが膀胱がんという訳ではありません。ほかの病気の可能性も考えられるので、泌尿器科や腎臓内科といった専門医に相談してください。
近年、腎臓や膀胱のがんは、人間ドックで発見されることが増えていますが、血尿がきっかけで見つかることもあります。女性のほうが、男性よりも血尿が出ることが多いので、女性のなかには血尿を軽く考えている人もいるでしょうが、早期発見・早期治療のためにも、血尿が出た場合はすみやかに病院で診察を受けましょう。また、日頃からおしっこの色を観察し、定期的に尿検査を受けるようにしてください。
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