血尿以外にも気をつけたい、尿の色でわかる体調のサインとは?

2018/12/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

毎日何気なく行っている排尿、色をちゃんとチェックせずに流してしまっていませんか?血が混じった「血尿」以外にも、尿の色によって早期に異常を発見できる場合があります。この記事を参考に、ぜひご自身の尿の色をチェックしてみてください。

血尿が出るとどんな色になるの?

尿は、その色に何らかの体調不良のサインが現れていることがあります。健康な人の尿は、ほぼ透明から薄い黄色をしています。ただし、水分をたくさん飲んだ後はさらに薄い色になり、運動後や力仕事などで汗をかいた後などは、濃い色になります。また、ビタミン剤やビタミンの含まれたドリンク剤などを飲んだあとには、やや濃い目の色になるでしょう。尿の色に影響する薬もあります。

尿の異常として代表的なものに血尿があります。血尿はその名の通り尿に血が混ざっている状態で、目で見て色が違うとわかる肉眼的血尿と、顕微鏡で確認して血液の成分が混ざっていることが明らかになる顕微鏡的血尿(尿潜血陽性)があります。

肉眼的血尿の色は、薄いピンクからオレンジのようなものから黒褐色まで幅広く、尿に混ざっている血の量によって変わります。肉眼的血尿の原因は、泌尿器疾患によるものが多く、膀胱炎尿路結石、膀胱がんや、腎臓に炎症が起こる腎炎や腎がんなどがあります。

一方の顕微鏡的血尿は、血液中の赤血球が壊れて溶け出していたり(ヘモグロビン尿)、筋肉が壊れてミオグロビンという成分が溶け出していたり(ミオグロビン尿)すると陽性となります。自覚症状はなくても、健康診断や人間ドックを受診した際に指摘されることがあります。

血尿かも、と思ったらどうすればいい?

血尿かもと思ったときには、早めに泌尿器科を受診しましょう。特に、目でみてわかる肉眼的血尿は、重大な病気が起こっている可能性があります。また、顕微鏡的血尿も何らかの症状が静かに進行していることもあります。たとえ急いで治療をする必要はなくても、定期的に受診したり検査をしたりするなど何らかのフォローが必要となるかもしれません。それに早期に発見することで、大がかりな治療をしなくてもすむ可能性もあるのです。

泌尿器科では、まずは尿検査や超音波検査を行います。尿検査は、簡単に行えて痛みもありませんが、さまざまな情報が得られる大切な検査です。一般的な尿検査では、尿内の血液や糖、タンパクの有無をチェックします。さらに詳しい尿沈渣検査では、尿をさらに分離して、赤血球や白血球、細菌などを顕微鏡で観察します。また、超音波検査も痛みがなく、すぐに実施ができる検査です。内臓の形を見たり、結石がないかなどを映像でみることができます。

泌尿器を詳しく調べる検査としては膀胱鏡と電子スコープを用いたものがあります。膀胱鏡は、尿道から内視鏡を挿入して、膀胱の内側を観察する検査です。女性に比べると男性では尿道が長いため局所麻酔を行って実施します。ほかには採血をしたり、CT、MRIなどでお腹全体を撮影したりすることもあります。CTはレントゲンと同様にX線を用いる検査で、MRIは磁気を用いる検査です。いずれも痛みはありません。

血尿以外にも気をつけたい尿の色をチェック!

尿の異常は血尿が代表的ですが、肉眼で次のような色の場合は要注意です。

無色透明
薄い黄色ではなく透明になってしまうという状態です。糖尿病で尿量が異常に多くなったときにみられます。
褐色
肝臓の代謝でできた色素が尿に出ると褐色になります。肝臓の病気がないか注意が必要です。
白く濁る
多くの場合は膀胱炎のような感染症が疑われます。
緑~青色
緑膿菌(りょくのうきん)の感染や、薬物の色素が尿に出ることでみられることがあります。

おわりに:血尿はもちろん、尿に何か異常を感じたときは早めに病院へ行こう

尿は一般的には薄い黄色ですが、健康状態によっては様々な色になります。その代表的なものが血が混ざる血尿です。血尿は見てわかる肉眼的血尿のほか、顕微鏡で確認して判明する顕微鏡的血尿があります。血尿の原因は膀胱炎や結石のほか、腎臓がんなど重大な疾患であることもあります。尿は健康の目安として毎日チェックできるものです。いつもとは違う色や、尿の回数、量などに違和感があるときは、早めに泌尿器科を受診しましょう。

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