記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/14
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
赤ちゃんや子どものアトピー性皮膚炎はかわいそうですよね。
かゆいからといってかいてしまうと、治りが遅くなるばかりか、感染症にかかってしまうこともあります。でも、すぐに治らないこともあるのがアトピーですよね。症状が治まってもすぐに再発してしまいます。
この記事ではそんな再発の予防方法を紹介していきます。
湿疹とアトピー性皮膚炎という言葉はよく耳にしますが、厳密にはそれぞれどう違うか知らない人も多いかと思います。
まずは、湿疹とアトピー性皮膚炎の違いを知っておきましょう。
湿疹は、発疹が出る皮膚の状態を総称しているものです。
湿疹の中で最も一般的なのがアトピー性皮膚炎です。激しいかゆみが出て、かいてしまうと炎症を起こします。
年齢問わず発症するものですが、特に赤ちゃんに多いものです。
アトピー性皮膚炎は慢性皮膚疾患です。
「アトピー性」とは皮膚炎、喘息および花粉症を発症する遺伝的傾向のことを意味し、「皮膚炎」は皮膚が炎症を起こしてかゆくなることを意味します。
アトピー性皮膚炎は乳児期にはじまり、幼児期に成長しても続いていきます。状態が悪化する急性増悪期と呼ぶ時期があり、その過程を経て皮膚は治癒します。
アトピー性皮膚炎の徴候がない期間(寛解期)がある場合もあります。寛解期は数週間、数ヵ月、さらには数年続くことがあります。
成長するに従って治る人もいれば、成人になっても治らない人もいます。成人になってから発症した人の場合は、あまり深刻に考える必要はありません。
家族にアトピー性皮膚炎や湿疹を患っている人がいる場合、子どももアトピー性皮膚炎になる可能性はより高くなります。
アトピー性皮膚炎の正確な原因は未だ不明ですが、伝染性でなく、他人から感染することもありません。
症状は、乾燥した皮膚からのかゆみが始まり、その発疹が赤く腫れ、かいて傷つけるほど悪化します。痛みが出たり、透明な液がにじみ出たりしながら、発疹は拡大していきます。肘の内側、膝の裏、頬、臀部に出るのが一般的です。
病院での治療方法として、一般的にはかゆみや炎症をおさえるためにコルチコステロイドクリームまたは軟膏が処方されます。
治療中、かゆみがあっても、皮膚を掻いたりこすったりして傷つけないようにし注意が必要です。引っ掻き傷から細菌が入り、感染を引き起こす可能性があります。かゆみを防止するには肌に潤いを与えることが効果的です。
湿疹やアトピー性皮膚炎は再発しやすく治癒が難しい場合もありますが、予防することは可能です。以下を参考にして予防しながら改善していきましょう。
肌を刺激する可能性のあるものには、家庭用洗剤、アフターシェーブローション、石鹸、ガソリン、松ヤニなどがあります。湿疹を発症する部分との接触を避けるようにしてください。
石鹸の成分と湿気が皮膚刺激を起こす可能性があるため、湿疹がある場合は低刺激で無香料の石鹸を使用し、洗った後は、しっかりと乾かすようにしてください。
水に触れる場合、ビニールまたはプラスチック手袋を着用してください。ほかの刺激性のものに触れる場合も、手袋を着用するよう、日頃から注意してください。
その際、汗を吸収するため、中に綿の手袋を着けて、長時間使用する場合は、時々取り外して乾かしてください。
また、冬に外出するときも(綿や綿混紡の)手袋を着用してください。空気が冷たく、湿度が低いことで肌が乾燥し、湿疹が悪化する可能性があります。
羊毛や合成繊維は肌を刺激するため、綿製の衣類を着るようにしてください。
低刺激で無香料の石鹸、またはごく少量の石鹸を使用してください。お湯の温度は温めに保ちましょう。
また、皮膚の表層は水を吸収すると乾きにくくなるため、短時間浴槽に浸ることは肌の保湿につながります。15〜20分間は浸かるといいでしょう。
お風呂の後は、柔らかいタオルで肌をやさしく拭きます。よく乾かした後、皮膚に保湿剤を塗ってください。
保湿用クリームは、肌を柔軟に保ち、皮膚の亀裂を防いでくれます。添加物が少ないタイプがよく、芳香剤や余分な成分を含むものは避けてください。
ワセリンが原料でグリース状のものがお薦めです(クリームには、より多くの防腐剤が含まれています)。
保湿剤を定期的に使用することで、冬の乾燥肌を防ぐことができます。
汗をかいて体温が上がると、皮膚が刺激されてかゆくなります。あまり汗をかかないようにしてください。
ストレスが多いと湿疹が発症する可能性があります。ストレスを対処する方法を見つけてみてください。毎日の習慣となっていることを少しだけ変えてみることもストレスを減らすのにつながります。
湿疹やアトピー性皮膚炎を発症した部位は簡単に再発します。特別な注意が必要なため治癒後も、丁寧なスキンケアを心がけるようにしましょう。 しっかりと予防し、丁寧にケアしていくことがアトピー完治への近道です。