記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士 呼吸器内科専門医
山本 康博 先生
水痘(すいとう)ワクチンは、水疱瘡(みずぼうそう)を引き起こす帯状疱疹ウィルスを予防するワクチン。このワクチンはもともと任意接種でしたが、2014年10月に接種が義務付けられています。ここでは水疱瘡にかかるリスクがある人や、ワクチンを接種したほうがいい人などをまとめます。
水疱瘡は子どもがよくかかる感染症です。水疱瘡はほとんどの場合症状が軽く、合併症はめったに起こりません。また、子どもは水疱瘡になったあと、水疱瘡に対する免疫を体内に生成するため、水疱瘡にかかるのは一度だけであることが多いです。
ただし、成人になってから水疱瘡にかかった場合、症状が重くなる可能性があります。また、以下の人は水疱瘡からくる重度の合併症にかかるリスクが高いと言われています。
・HIVなどの病気、化学療法などの治療によって免疫が弱っている人
・妊娠中の女性
妊娠中の女性が水疱瘡になった場合、お腹の赤ちゃんに深刻な影響を与える可能性があります。たとえば、先天性水痘症症候群にかかった子が生まれたり、赤ちゃん自身が水疱瘡にかかった状態で生まれたり(先天性風疹症候群)することがあります。
水痘ワクチンは定期接種になったため、1歳から3歳までの子どもは接種することが多いです。そのほか、以下のような人に接種が推奨されています。
・水疱瘡に対して免疫がない医師・看護師
・免疫が弱くなっている人と密接に接触してしまった人
なぜこのような人に予防接種が推奨されるかというと、病院には水疱瘡に感染している人が治療のために通院したり、水疱瘡を発症している人を診察する可能性があるなど、直接接触する可能性が高いためです。予防接種を受けておくと感染のリスクを下げることができるため、水痘ワクチンを接種しておいたほうが安心です。なお、現在予防接種に使用されている水痘ワクチンは、バリバックスとバリルリックスの2つです。
水痘ワクチンは生ワクチンです。生ワクチンには弱い毒性を持つウィルスが含まれており、ウィルスが免疫システムを刺激することで、水疱瘡を予防する抗体を体内に生成します。
水痘ワクチンは通常、腕の上部に注射されます。投与は2回に分けて行われ、1回目は生後12~15カ月までの間に、2回目は1回目の接種から3カ月以上空けてから接種します。
1度予防接種を受けた子どものうち、10人中9人が水疱瘡に対する免疫抗体を生成します。2回目の予防接種を受けたあと、この抗体はさらに強くなります。
いかがでしたか?水痘ワクチンは定期接種になったため、1~3歳の間に接種すると思います。水疱瘡は症状が軽い場合が多いとはいえ、だるさや発熱、頭痛などが出るため、不快な症状であることに変わりありません。その時期を迎えた子どもはもちろん、水疱瘡にかかっている人と接触する可能性がある人は、できるだけ水痘ワクチンを接種するようにしましょう。