記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血液中の水分や不要物、老廃物が腎臓の働きによって生成される液状の排泄物が尿です。この尿に何らかの原因で血液が混じったものを血尿と呼び、体に異常があることを知らせています。
血尿が出る原因や対処法、予防法について詳しく見ていきましょう。
通常、腎臓はろ過装置のような働きをし、体内に必要なものを残し、不要なものを排出しています。腎臓で作られた尿は尿管を通って膀胱に溜まり、やがて尿道を通り排泄されます。
何も問題がなければ尿中に赤血球が見られることはほとんどなく、顕微鏡で尿を確認した際に赤血球が5個以下であれば正常の範囲です。
しかし20個以上の赤血球が確認できる場合には、顕微的血尿と呼び、目で見て色の変化はわからないものの、尿を作る腎臓や尿の通り道、がんなどの重要な病気のサインである可能性があります。
また、このような病気が原因ではなく、疲れや食生活が原因で血尿を引き起こすこともあります。
過労などによって抵抗力が落ちると、膀胱が細菌に感染しやすくなり、炎症を起こして血尿になることがあります。とくに、男性と比べて女性は尿道が短いため、膀胱に細菌が侵入しやすいです。さらに冷えなどによる血流の低下や、長時間トイレを我慢することも、細菌感染を引き起こす要因になります。
肉などの動物性脂肪を摂り過ぎたり、アルコールを摂り過ぎたりすると、結石ができやすくなります。小さな結石なら問題ありませんが、結石が大きくなると尿の通り道を傷つけ、血尿を引き起こします。
健康診断などによって、およそ10%の人に顕微的血尿が見つかります。痛みなどの症状がなく、肉眼で確認できる血尿が出ていなくても、一度医療機関を受診してください。
女性の場合、生理中だと尿に腟からの出血が混じって血尿になることもあるため、このようなときは事前に伝えておきましょう。大人であれば泌尿器科を受診し、子供の場合は小児科を受診してください。
受診時には採尿を行い、血尿の程度や、細菌など他に含まれているものを再検査します。そして痛みなどの症状の有無や既往歴の問診を行ったあと、超音波で腎臓、膀胱、前立腺を調べていきます。また必要に応じてCT検査や血液検査、場合によっては膀胱の中を直接カメラで見ていく膀胱鏡検査を行います。
疲れによる血尿の予防は、日常生活を見直すことが大切です。
尿が酸性になったり、尿中のカルシウム濃度が高くなったりすると結石ができやすいので、鶏卵や牛肉などの動物性たんぱく質や塩分の摂り過ぎに注意しましょう。
一方、酢や柑橘類などのクエン酸を多く含むものは、尿中のカルシウム濃度を下げる働きがあるので積極的に摂りましょう。アルコールを摂るときにはなるべく水分と一緒に飲み、尿を濃くしないように気を付けてください。
膀胱が細菌に感染しないために必要なことは、トイレを我慢しないことと水分補給です。尿を我慢していると膀胱内で細菌が繁殖しやすくなるので、こまめにトイレへ行きましょう。
水分補給を心がけると尿量が増え、排尿ともに細菌が排出しやすくなります。また、排尿や排便後の拭き方は、前から後ろに拭くようにしましょう。おりものシートやナプキンを使っている場合は、3時間を目安に取り換えて、清潔を保ちましょう。
精神的ストレスや睡眠不足、過労などによって抵抗力が落ちると、細菌に感染しやすくなります。規則正しい生活を心がけ、自分に合ったストレス解消法を見つけましょう。
目で見てわかる血尿だけでなく、顕微鏡検査でないとわからない血尿も、体が何かしらの危険信号を出している状態だといえます。
腎臓に負担がかからないように生活を見直して、血尿の予防に努めてください。また、自己判断だけでは大きな病気を見逃してしまう可能性があります。異変に気づいたらすぐに医療機関を受診して、医師の指示に従いましょう。
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