記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/14
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
がんは全身のさまざまな部位に発症する病気であり、食道にも発症する可能性があります。ただ、食道がんはがんの中でも悪性度が強いので、早期発見・早期治療が重要です。
今回は食道がんの症状や検査を中心に解説するので、この記事をご自身やご家族の健康のために役立ててください。
食道がんは、初期段階だとほとんど症状が見られません。そのため、本人が気づかない間にがんが進行してしまう可能性があります。がんが進行すると、やがて以下のような症状が現れます。もし心当たりがありましたら、早めに消化器内科などを受診してください。
このうち特に注意したい症状が、「胸の違和感」です。胸の違和感は比較的早い段階に見られるので、この段階で受診できれば早期発見につながりやすいです。ただし、食道がんが進行したとしても、上記のような自覚症状が現れない場合もあるので注意してください。
食道はリンパ節が発達している臓器なので、食道がんになると早い段階でリンパ節転移が起きてしまいます。実際、「早期がん(粘膜層や粘膜下層にとどまっているがん)」であっても、リンパ節転移が起こる可能性があります。
リンパ節転移が起きると、肺や肝臓、骨といった他の部位に転移が起こりやすくなります。その結果、治療が難しくなったり、再発のリスクが高くなったりしてしまいます。
このことは「食道がんの病期別生存率」からも分かっており、Ⅰ期の5年相対生存率は86.3%ですが、Ⅱ期は56.1%、Ⅲ期は29.3%、Ⅳ期は12.4%となっています。そのため、食道がんによる生存率を高くするためにも、「早期発見が重要」といわれているのです。
食道がんになりやすい人の傾向としては、以下が挙げられます。
統計的に食道がんの罹患率を見てみると、男性は10万人あたり31.0人、女性は10万人あたり5.6人となっており、男性の方が罹患率は高いということがわかっています。また、年齢別に見ると、50歳代から罹患者数が増えはじめて、70歳代でピークを迎えています。該当する方は性別に関係なく注意が必要ですが、特に「50歳以降の男性」は注意しましょう。
食道がんの主な原因には、喫煙や飲酒、熱いものの飲食などがあります。特に、喫煙と飲酒は食道がんと強い関係があるため、飲酒や喫煙の習慣がある方は注意が必要です。
そして、最も注意すべきなのは飲酒と喫煙の両方の習慣がある人です。この場合は「食道がんの発症リスクがさらに高くなる」と指摘されています。そのため、食道がんの発症リスクを下げるためには、飲酒量を減らし、喫煙を控えることが重要になってきます。
食道がんの検査には、大きく「食道がんの有無を調べる検査」と「食道がんの進行度を調べる検査」の2種類があります。以下ではそれぞれについて詳しく紹介したいと思います。
食道がんの有無を調べる検査には、上部内視鏡検査や上部消化管造影検査(レントゲン検査)などがあります。まずはそれぞれの特徴について確認してみましょう。
このうち内視鏡検査は無症状や初期の食道がんも発見できるため、早期発見には有用な検査となっています。ただし、現状の厚生労働省が定める検診の中には「食道がん検診」がないので、任意で食道がんの検査を受ける必要があります。もし食道がんの早期発見を希望している場合は、健康診断や人間ドックなどで内視鏡検査を受けるといいでしょう。
食道がんの進行度を調べる検査には、CT検査、MRI検査、PET検査、超音波検査などがあります。それぞれの検査の特徴は、以下の通りになっています。
これらは、食道がんの治療方針を決める上でとても重要な検査です。特に、CT検査は食道がんの進行度を評価するために有用なので、基本的にCT検査は行われます。そして、必要に応じてその他の検査も組み合わせつつ、食道がんの進行度を診断していきます。
食道がんは初期の自覚症状があまり生じないにも関わらず、早い段階からリンパ節転移などが起こりやすいという特徴があります。そのため、食道がんを早期発見するためにも、定期的に上部内視鏡検査を受けておくことが重要です。特に、日ごろから喫煙や飲酒をしている方は食道がんの発症リスクが高いので、定期的に検査を受けることをオススメします。
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