記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
年齢を重ねてくると、体のいろいろなところに老化現象を実感するようになっていきます。皮膚に強い乾燥やかゆみを感じるようになる「老人性乾皮症(ろうじんせいかんぴしょう)」も、加齢とともに現れる老化現象の一種です。
今回は老人性乾皮症と、その症状の緩和に有効な方法についてご紹介していきます。
老人性乾皮症は、加齢に伴って脇腹・腰・太もも・すね・肩・腕など広範囲の皮膚が乾燥して粉をふいたような状態になり、かゆくなる症状のことです。年齢を重ねるとともに、以下のような原因が複合的に発生することで発症します。
どの程度のかゆみ・赤み症状が現れるかは個人差がありますが、高齢者のうち95%が老人性乾皮症を発症し、そのうち約半数にはかゆみの症状もあると報告されています。性ホルモンの分泌量の変化が発症時期に関係することから、発症しやすい時期には男女差(男性は60代、女性は40~50代)があります。
老人性乾皮症の症状は湿度によっても左右されやすく、特に空気が乾燥する秋から冬にかけては、症状に悩まされる人が増えるのも特徴のひとつです。
老人性乾皮症の治療では、肌を保湿してかゆみ・赤みを抑えます。具体的には、化粧水や乳液・クリームや保湿用の外用薬を乾燥している部分に塗る、皮脂を流す入浴の習慣を改める、生活習慣に気を付けるといったことを行います。
以下に、老人性乾皮症を治療し予防するための保湿・入浴・生活習慣のポイントをご紹介します。
老人性乾皮症の治療では、乾燥やかゆみのある部分に塗りこむための塗り薬と、体の内側からひどいかゆみを抑えるための内服薬が使われます。以下に、老人性乾皮症の治療薬として皮膚科の病院で使用・処方されるものをご紹介します。
治療にどの薬を使用するか、また塗り薬と内服薬を併用するかどうかは、医師の診断で変わります。まずは皮膚科の医師に状態を診てもらい、適切な治療薬を選んでもらいましょう。
老人性乾皮症に効果的な市販薬として、以下の2種類があります。
皮膚のカサカサや軽度のかゆみ・赤み症状だけなら、上記のような市販薬で様子をみてもよいと思います。ただし、正しく症状を把握して原因を突き止め、症状にあった治療・ケア方法を知るためには、専門家である皮膚科医の診断が欠かせません。市販薬を使っても症状が改善しないときは、早めに皮膚科を受診しましょう。
老人性乾皮症は、加齢に伴って肌の皮脂や保湿成分の分泌量が低下することで、肌が乾燥してかゆみ・赤み出てくる症状です。治療には、肌に不足した水分や油分を補うための塗り薬と、肌に起きた炎症とかゆみを抑えるための内服薬が処方されるのが一般的です。市販薬でも尿素など保湿成分を含む塗り薬を使えば、一定の治療効果が期待できるでしょう。ただし、症状が改善しないときは早めに皮膚科を受診しましょう。