ステントってどんな材質でできているの?MRIや飛行機はNG?

2019/1/6

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

心臓病の治療などで動脈に挿入されることのある「ステント」。このステントは、どんな材質でできているのでしょうか?ステントを埋め込んだ後、MRI検査を受けても問題ないのか、飛行機には乗れるのかなど、気になる情報にお答えしていきます。

ステントってどんな素材でできているの?

ステントとは内腔を保持するための小さい器具の総称をいい、心臓、頸、腎、下肢などの動脈が狭くなった部分を拡張する目的、悪性腫瘍で食道、気管、消化管が狭くなった場合にそこを広げるという目的で使用します。

ステントの素材はステンレススチールや、自己拡張型ステントではニチノール合金という形状記憶の金属が使用されており、これらの金属をつけたままMRI検査を行うことも可能です。

なぜステントの素材が金属であるかというと、ステント術は折り畳んだ状態から広がる弾性(自己拡張型)あるいは塑性変形性(バルーン拡張型)に加えて、経時的に起こる血管外膜の 収縮に拮抗する放射支持力(剛性)が必要とされるのですが、この条件を達しているのが金属となるのです。また、ステントの治療はX線造影しながら行われるためX線造影性が要求されるのですが、これを満たしているのもまた金属であるからなのです。

ステントの寿命ってどのくらい?

ステントは一般的に腐食しない金属でできており、その安全性もとても高いことからステントの寿命は現在のところありません。また、ステント術は1994年に保険適応となっており、日本で心臓血管の治療の主流ともなり多くの治療がなされています。ステント術が主流となってから約20年ほど経った今でもステントの腐食などといった報告は出てきていません。

さらに近年では生体吸収性冠動脈ステントといい手術用縫合糸に使われる生体吸収性ポリマーで作られた溶けるステントも開発されており、一定期間を経過すると分解されて体内に吸収されてなくなるステントもあります。
この生体吸収性冠動脈ステントは、金属のステントがむき出しとなる通常のステント術と比べて再狭窄のリスクを減らすことができるというメリットがあります。

ステントを挿入したら、MRI検査は受けちゃだめ?

ステントは医療用ステンレスという特殊な金属を使用していることから、ステント挿入後にMRIの検査を受けることに問題はありません。しかし、ステント移動の可能性を最小限に抑えるために、ステントが完全に内皮化するまではMRI検査を受けないようにすることが推奨され、実際に病院でもMRI検査を受けることを断られる場合があります。
一般的にはステント留置後最低8週間は、MRI検査を受けないようにすることが推奨されています。

ステント挿入後、飛行機に乗っても大丈夫?

ステント挿入後は術後に出血など特に問題がなければ、ステント留置後より2日以上経てば飛行機に乗ることは可能です。しかし、ステントの治療をしなければならないということは動脈硬化になっている可能性が非常に高く、動脈硬化のある人が狭い座席に長期間座っていることで血流が悪くなり、下肢に血栓ができてしまうエコノミー症候群となるリスクがあるため、その点には十分注意する必要があるでしょう。

また、ステント留置より2日以上経っていたとしても合併症や元の疾患の悪化など何らかの症状が出現している場合には飛行機に乗ることはできません。

おわりに:安全性の高いステント術。MRIや飛行機も基本的には問題なし!

医療用の金属でできているステント。弾性や支持力があり治療の際に使用するX線に耐えることができるという観点から現在は金属以外のステントは出てきていません。ステント治療が日本で保険適応となって20年ほど経過しましたが未だにステントの腐食などの報告が挙がっておらず、生涯にわたって使用できる金属と考えられています。
ステント留置後はある程度時間を置く必要はあるもののMRIの検査を受けることもでき、飛行機に乗ることも可能です。ほかにも不安なことがあれば、主治医に尋ねてみましょう。

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