記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/12/26
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
私たちの生命維持に不可欠な心臓の働きに、深刻なダメージを与える病気の1つとして「心筋梗塞」を聞いたことがある人は、多いのではないでしょうか。
今回は心筋梗塞という病気について、代表的な症状や発症の前兆として現れる症状、発症が疑われる場合に受けるべき検査などを解説していきます。
心臓に新鮮な血液とともに栄養を送る冠動脈という大きな血管が、血や老廃物でできた塊・血栓で詰まり、心臓の一部が壊死してしまうのが心筋梗塞です。
発生のメカニズムとしては、まず心臓の表面を覆うように配置されている冠動脈の一部が加齢や血中の脂肪・コレステロールが増えることで硬く、狭くなる動脈硬化が起こります。すると血管の内、血液が通り抜けられる通路が狭くなってしまい、虚血(きょけつ)状態と呼ばれる心臓を動かすのに十分な血液が足りない状態に陥ります。
さらに動脈硬化がすすみ、血や老廃物で血管が完全に詰まって血流が途絶えると、血が届かない心臓組織の一部で壊死が始まります。これが心筋梗塞です。
なお血管が詰まり、虚血状態になるまでを「狭心症」、虚血と血管の梗塞から心筋の壊死が始まった状態を「心筋梗塞」と区別しますが、まとめて虚血性心疾患とも呼びます。
急性の心筋梗塞を発症すると、胸を中心に左側の肩や腕、みぞおち、のどや顎・奥歯などの広い範囲に、締め付けられるような痛みが30分以上続きます。
心筋梗塞による痛みは激痛で、なんともいえない不快感や冷や汗を伴うことが多いです。
また、重症の場合は吐き気や呼吸困難、意識の障害・消失まで伴うといわれています。
急性心筋梗塞を起こす人のうち、約半数は特有の「前兆」を感じているといわれます。
心筋梗塞の前兆として現れる症状としては、以下のようなものが挙げられます。
一見すると、胸の痛みと圧迫感以外は心筋梗塞と無関係なように見えますよね。
しかし上記のような症状が、階段の上り下りや歩行などの軽い運動時に繰り返し発生し、数分~10分程度で焼失する場合には、心筋梗塞の前兆の可能性があるのです。
心筋梗塞は、発症してしまうと命にかかわるリスクも高い病気であるため、このような前兆を感じたら「軽い不調」と軽視しないで、すぐに循環器科で検査を受けてくださいね。
患者本人が感じている症状から、心筋梗塞を発症している可能性が高い場合は、心電図・血液検査・冠動脈造影検査の3つの検査を行います。
発作時にのみ現れる特有の心電図異常を確認するため、踏み台昇降などの軽い運動をしてあえて心臓に負荷をかける「負荷心電図」という方法で検査します。
心筋梗塞で心筋細胞が破壊されると、発作から4~5時間後には血中にクレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)など特有の酵素が、検出されるようになります。
この性質を利用するため、心筋梗塞の発作後数時間の血液を検査します。
直径1mm程度の長いストローのような医療器具・カテーテルを使って、血管内に造影剤という特殊な薬剤を流し込み、冠動脈の状態を確認します。
なお、カテーテルは手足の太い動脈から挿入して心臓の血管まで到達させてから、造影剤を流し込んで検査するのが一般的です。
心筋梗塞は、心臓を動かすための血液を送る冠動脈が動脈硬化や血栓で詰まって心臓の一部に血液が届かなくなり、壊死することで起こります。発症時には、冷や汗を伴うほどの圧迫感と不快感を伴う胸の痛みと、腕・肩・顎・歯の痛み、吐き気や呼吸困難などの症状が現れます。また人によっては、このような痛みが前兆として現れるケースも報告されています。心筋梗塞が疑われる症状が出たら、命にかかわる状況に陥る前に循環器科の病院で検査を受けてください。
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