心筋梗塞の治療にはどんな方法がある?食事療法の注意点は?

2017/11/29 記事改定日: 2018/11/19
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

心筋梗塞は虚血性心疾患と呼ばれる深刻な病気です。命の危険があるため、緊急に治療が必要になります。
この記事では心筋梗塞の治療方法を項目別に分けて紹介していきます。食事療法の注意点についても解説しているので、毎日のメニュー作りに役立ててください。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

心筋梗塞の症状とは?体にどんな変化が起こるの?

虚血性心疾患には心筋梗塞と狭心症がありますが、どちらも心臓を取り囲む冠動脈の血液が十分に流れなくなることが原因で胸の圧迫感や息切れを起こす病気です。

心筋梗塞の場合は血栓によって冠動脈が完全に塞がってしまい、血液が流れていない状態になっています。突然、胸に強い痛みを感じるのが主症状であり、胸の前面が締め付けられたり、圧迫されているように感じます。症状が進行すると痛みは胸だけにおさまらず、背中や肩、腕、あご、頭にまで広がることもあるようです。

糖尿病の人や高齢者は胸の痛みに気づきにくい傾向があり、症状の出方も個人差があるため、症状が重いか軽いかで状態の良し悪しを判断できないので注意が必要です。。

心筋梗塞には、どんな治療法があるの?

薬物治療

細く狭くなった冠動脈の血流をよくするために、抗血小板療法と抗凝固療法を行います。冠動脈を拡張させる薬や、血圧、血糖を下げる薬を使うこともあります。ただし、薬物治療で回復できるのは軽度の狭心症であり、心筋梗塞のほとんどはカテーテル治療かバイパス手術が必要になるといわれています。

冠動脈カテーテル治療

局所麻酔によって痛みを取り、手首の付け根や肘、太ももの付け根などから2mmほどの細さのカテーテルと呼ばれる管を入れて冠動脈まで到達させます。動脈の内側には神経は通っておらず、管を進めること自体にはさほど痛みはありません。

血管が詰まっていたり、細くなっている部分がみつかったら、狭窄部で風船をふくらませるようにして血栓を抜いたり、血管を広げたりして血液が流れるようにします。体への負担を最小限に抑えながら、短時間で治療が終わるのが利点であり、必要があれば再度治療を行うこともできます。

冠動脈バイパス手術

狭くなっていたり、血栓ができて血流のない冠動脈に迂回路をつくって血管をバイパスさせる手術のことです。

バイパス用の血管(グラフト)として自分の他の部分の血管を用いることもあります。カテーテル治療が難しかったり、狭窄がひどかったり、血栓によって詰まっている血管が3本以上ある場合によく用いられる手術です。

細い血管にも対応でき、一度の手術で血流が完全に回復するのが利点ですが、開胸手術ですので体への負担が大きくなります。

心筋梗塞の食事療法

心筋梗塞の主な原因は冠動脈の動脈硬化です。動脈硬化は、肥満や高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が原因となって血管内膜が傷つき、そこに脂質などが蓄積してプラークを形成する病気です。このため、冠動脈の血流が途絶えたり極端に少なくなることで心筋壊死を引き起こすのです。
心筋梗塞を発症した場合は、これらの生活習慣病を改善するための食事を心がけることが必要です。具体的には以下の点に注意して正しい食生活を送るようにしましょう。

適正カロリーを厳守する

肥満を防ぐためにも適正カロリーは厳守しましょう。適正カロリーは「標準体重(kg)×20~30(kcal)」で計算できます。

脂質や糖質を多く摂りすぎない

脂質や糖質は過剰に摂取すると高脂血症や糖尿病につながります。理想的には、脂質は一日のエネルギーの20~25%、糖質を含む炭水化物は50~60%程度に抑え、良質なたんぱく質やビタミン、ミネラルを多く摂るようにしましょう。

コレステロールを排出する食品を積極的に摂る

コレステロールには様々な種類がありますが、特にLDLコレステロールは心筋梗塞発症に大きく関与しています。青魚などに多く含まれるDHAやEPA、食物繊維はLDLコレステロールを排出する作用がありますので、これらの食材を積極的に摂るようにしましょう。

おわりに:心筋梗塞は手術が必要になるケースが多い。日ごろから発症予防に努め、症状に気づいた段階ですぐに病院へ行こう

心筋梗塞は心筋に全く血液が流れていない状態のため、いつ心臓が止まってもおかしくない危険な状態になります。
薬での治療で回復する可能性が少ないため、手術が必要になるケースが多いです。どの治療もメリットとデメリットがあり、重度の心筋梗塞には適応できないものもあります。生活習慣に気をつけて心筋梗塞を発症しないように予防し、万が一症状が出たときはすぐに病院に行くようしましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

狭心症(45) 心筋梗塞(79) 冠動脈(10) 冠動脈カテーテル治療(2) 抗血小板療法(2) 抗凝固療法(2) グラフト(1)