記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/10/1
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
動脈硬化になるとどのような症状が出てくるのでしょうか?また、動脈硬化が進行するとどのような病気が発症するのでしょうか?動脈硬化の症状や進行に伴い発症する病気について解説していきます。
動脈の変化は中高年になってから起こると思っている人が多いですが、実際には動脈の「硬化」の初期病変は0歳から見られ、10歳前後から急激に進行していきます。そして30歳頃になった時に、完成された動脈硬化として現れるようになるのです。
このように、動脈硬化は出生した時から一生を通して付き合わなければならない血管の病気ですが、食事や運動などに気をつけて危険因子を避けることで、病態の進行を予防・食い止めることができます。
近年患者数が増加傾向にある、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心臓病の原因の多くは、生活習慣の欧米化に伴う動脈硬化の進行によるものだとされています。そのため、これらの病気を予防するためにも、血管を健康に保つことはとても重要なことなのです。
初期の動脈硬化には自覚症状がありません。
しかし加齢とともに、内膜中にコレステロールなどが溜まることにより脂肪沈着が起こり、症状が進行すると脂肪斑になります。脂肪斑は20~30歳ごろから見られ始めて、徐々に大きくなり、血管の内側に向かい盛り上がっていくようになります。そして、50~60歳になる頃には血管自体が狭まり、血流と内膜の間にストレスが生じることで、内皮細胞が壊れて血栓ができるようになるのです。
このように、血栓ができることで血管が詰まるようになると、急性心筋梗塞などの発作として目に見えて症状が現れるようになります。そのため、自覚症状が出現する前には既に、20~30年間に及ぶ沈黙の動脈硬化の進行があるということになります。
健康な状態の内皮細胞(血管の内膜表面を覆う細胞)の層には、血液中から必要な成分のみを取り込み他の成分は入り込まないようにする効果の他にも、血液の凝固を防いだり、血液が内皮細胞に付着するのを防ぐ働きがあります。
また最近では、内皮細胞の層から生理活性物質と呼ばれる様々な物質が産生・放出されていることがわかるなど、非常に重要な役割を果たしている細胞だとされています。
しかし、高血圧や糖尿病などが原因で内皮細胞が障害されると、血中の単球(白血球)が内皮細胞に付着するようになり、さらに単球が内皮細胞の間から侵入することで、マクロファージという状態に変化します。
血液中のコレステローが過剰に増加すると、マクロファージによって呼び寄せられた脂肪物質が蓄積されるようになり、内膜が厚くなるようになります。そして、時間の経過に伴い呼び寄せ役となっていたマクロファージ自体も壊れて粥状になってしまうのです。
動脈硬化などの血管のトラブルにより血流が悪くなり引き起こされる病気のことを、循環器病と言い、脳血管疾患や心臓病などが代表的な病気として挙げられます。
日本人の約3割はこれらの循環器病が原因で亡くなっており、また、働き盛りの年代に見られる突然死の半数以上は、動脈硬化に関係する病気によるものだといわれています。
脳の血管トラブルにより引きこされる病気で、脳出血と呼ばれる血管が破れるものと、脳梗塞と呼ばれる血管が詰まるものに分けられます。
発症後に早期治療をすることで死亡率は以前と比較すると減少しましたが、発症率は未だに減少していません。また発症後は、半身不随や認知症などの後遺症が残るリスクが高いとされています。
心臓病の中でも患者数が増加傾向にあるのが、狭心症と呼ばれる心臓への血流が一時的に悪くなる病気や、心筋梗塞と呼ばれる冠動脈が塞がることで心筋に血液が流れなくなる病気です。心臓への血流が阻害されると、体に必要な酸素や栄養分が心臓に届かなくなるため、死に至る恐れもあります。
動脈硬化は、血栓ができて血管が詰まるようになると、急性心筋梗塞などの発作として自覚症状が現れるようになります。そのため、目に見えて症状が現れる前には既に、沈黙の動脈硬化の進行があるということになります。また動脈硬化が進行すると、脳血管疾患や心臓病になる恐れがあるため、早期発見・治療が重要となります。
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