記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/4/7
記事監修医師
前田 裕斗 先生
月経が来ない・・・もしかして妊娠したかも?!
妊娠しているかどうかを確実に確かめる方法は「妊娠検査」です。妊娠検査は、妊娠ホルモンであるヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)を検出することで判定されます。
ここでは、妊娠検査と妊娠中に行う妊婦検診について解説します。
多くの女性が「妊娠したかも?」と思うのは、月経予定日が過ぎても月経が来ないときでしょう。妊娠している場合、体内のHCGの量は、初期の数日、数週間で急速に上昇します。市販の簡易妊娠検査キットを使えば、自宅でかんたんに検査することができます。
妊娠検査は、次の月経予定日の1週間後に行うことができます。
次の月経がいつ来るのかわからないときは、避妊しないでセックスをしてから少なくとも21日後に検査を行えばいいでしょう。月経予定日前でも、受胎後8日目からは精密な妊娠検査を行うことができます。
すべての女性にあてはまるわけではありませんが、次のような症状があるときは、妊娠している可能性があります。
・乳房の腫れまたはチクチクした痛み
・悪心(気分が悪い)
・倒れそうになる
・口の中で金属のような味がする
・月経が始まるような気がする
妊娠している可能性があると思われる場合は、どんな避妊方法をしていても妊娠検査を受けてください。
ホルモンのバランスを変えることで避妊を可能にする薬で、低用量ピル(OC)、アフターピル(緊急避妊薬)、インプラント、注射などがあります。これらのホルモン避妊薬を使っていたとしても、妊娠検査の結果には影響しません。
妊娠検査キットを使って、自宅で検尿をするところから妊娠検査は始まります。妊娠検査キットは、試験薬1本入りと2本入りが市販されています。
試験薬の先端に尿をかけ、数分後、判定窓に赤いラインが出たら「陽性」です。市販の妊娠検査キットは種類もいろいろあり、若干異なるので使用方法などを薬剤師に聞いて選びましょう。
妊婦検診のたびに毎回検尿します。それはなぜでしょうか? 検尿をすることによって、危険な妊娠合併症を検査することができるからです。
尿検査でわかる危険な妊娠合併症とは、妊娠高血圧、妊娠高血圧腎症(子癇前症)、妊娠糖尿病です。これらは治療することができますが、病気が特定されない場合は母体や胎児が危険に曝されるおそれがあります。
検尿をすることのリスクはまったくありませんので、妊婦検診のときにはたくさん水を飲んでいくようにしましょう。最初の妊婦検診で行う血液検査では、妊娠や出産に影響する可能性のある健康状態を検査することができます。
子宮頸部細胞の異常を調べるために細胞診検査(パップテスト)を行います。また、クラミジア、梅毒(ばいどく)、B型肝炎、C型肝炎、HTLV検査、HIV検査などを受けます。
細菌性感染症が陽性だった場合は、妊婦でも安全な抗生物質が処方されます。この抗生物質はパートナーにも処方される可能性があります。治療されていない感染症をもったまま出産をした場合、胎児に肺炎などの危険な感染症にかかるリスクが高くなってしまうためです。
妊娠中期になると、毎回超音波検査を実施します。超音波検査ではおなかの胎児が順調に成長しているか、そしてお望みであれば性別も調べることができます。
超音波検査によって心臓欠損などの出産前に検査されるべき症状も発見することができます。35歳以上の高年妊娠では、頻繁に超音波検査を受けることになるかもしれません。
妊婦のおよそ10%が妊娠糖尿病にかかっています。妊娠24~28週の間に、施設によって、空腹時の血糖値をみるか、グルコースチャレンジテスト(GCT)と呼ばれるスクリーニング検査を行います。
これらの検査で血糖値が予期していたものよりも高いことが明らかになった場合は、さらに経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を受けて診断を確実なものにします。
女性のおよそ10~35%の腟や直腸には、B群連鎖球菌(GBS)が住み着いています。GBSが体内にあっても害を及ぼすわけではありませんが、分娩時に胎児が感染症にかかってしまう可能性があるので妊娠終期でGBS検査を実施します。これは、内診で腟内や直腸内に綿棒を入れ、検体を拭き取ることによって行われます。
妊婦でなくても、検査はストレスがたまります。しかし、妊娠というはじめて経験する症状と、まだ見ぬ赤ちゃんの健康管理には必要不可欠です。予想外の結果でもそれを乗り越えるための治療を受けることができます。医師に、どのような検査を、いつ行う予定なのか尋ねましょう。どの検査が定期的なもので、どの検査が任意なのかをしっかりと理解しておけば、ストレスなく検査を受けることができます。