妊娠中のセックスのリスクとメリットを知りたい!

2017/4/7

前田 裕斗 先生

記事監修医師

東大医学部卒、産婦人科勤務医(神戸市)

前田 裕斗 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

妊娠中にセックスをしても問題はないと言われますが、お腹の赤ちゃんのことや感染症のことを考えると心配になりますよね? そこでこの記事では、妊娠中のセックスにどんなリスクがあるのか、どんなメリットがあるのかを紹介します。

妊娠中に性行為をしても大丈夫?

まず、医師から特別な忠告を受けない限りは妊娠中にセックスをしても問題ありません。性行為中のペニスが赤ちゃんの頭に届くことはありませんし、オーガズムを迎えたとしても赤ちゃんに危険が及ぶことはめったに無いからです。
また、リスクを伴う妊娠や早産などの理由でオーガズムが禁止されていない場合には、マスタベーションをすることも可能です。むしろ、マスターベーションをすることは妊婦にとってストレス発散になると考えられています。
ただし、妊娠後期のセックスは出産を早める可能性があるため注意が必要です。これは、精液に含まれたプロスタグランジンという化学物質に子宮頸管を軟らかくする作用があるためです。また、オーガズムによって起こる子宮収縮やオキシトシンの放出も出産を早める要因であると考えられています。

オーガズムの許可は出たけどペニスを挿入できない場合のセックスについて

ペニスの挿入が禁止された場合は、オーラルセックスやバイブレーターを使ってセックスをしても構いません。ただし、膣の中に入れるものを清潔にする必要があります。振動しないシリコン製の玩具は10分間煮沸するなどして消毒し、振動するものは20秒ほど抗菌石鹸を溶かしたお湯の中で洗って乾かしてから使用してください(硬いプラスティック、ゴム、ナイロン、革などの素材は手入れの仕方が異なるので、お持ちの玩具に応じて調べてください)。
なお、赤ちゃんは子宮頸管によって守られているので、玩具を挿入したら胎盤を貫通してしまうのではないかと心配し過ぎる必要はありませんが、腟の深すぎるところまで挿入したり、先端が尖ったものを使ったりすると痛みを引き起こす可能性があるのでやめたほうが良いでしょう。

妊娠中のセックスによって起こり得るリスクとは?

上の項目で説明したように、医師の許可が出ていて、性器やセックスの器具を清潔な状態にしていれば妊娠中のセックスは基本的には安全です。しかし、以下のようなリスクが伴う可能性があることも理解しておきましょう。

出血

妊娠中は子宮頸部が傷つきやすく血管が充血しているため、セックスによって出血を引き起こすことがあります。出血してしまった場合は病院を受診し、医師から許可が出るまでセックスを避けるようにしてください。

尿路感染症

セックスによって生殖器近くのバクテリアが尿道に押し込まれ、尿路感染症を引き起こすケースもあります。尿路感染症を予防するには性行為の前後に排尿することが大切です。

性感染症(STD)

妊娠中に不衛生な性行為を行ったり、性感染症を持つ人と性行為をしたりすると、クラミジア、性器ヘルペス、ヒトパピローマウイルス、淋病、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、梅毒、トリコモナス症などの性感染症に感染する可能性があります。
それぞれの感染症によって起こり得るリスクは以下の通りです。

◆クラミジア
早産、流産、赤ちゃんの眼病や肺炎を引き起こす可能性があります。

◆性器ヘルペス
ウイルスの母子感染(可能性は低い)、胎児または新生児の脳の損傷や網膜症を引き起こす可能性があるため、出産時に性器ヘルペスにかかった場合、日本では帝王切開をする必要があります。

◆ヒトパピローマウイルス
妊娠中にヒトパピローマウイルスに感染すると、尖圭コンジローマ(ウイルス性性感染症の一種)を発症する可能性があります。また、出産時に胎児へ感染すると咽頭や喉頭に再発性若年性呼吸乳頭腫症という良性腫瘍を発症するリスクも生じます。
帝王切開以外の出産方法も可能ですが、分娩前に手術で患部を切除したうえで経腟分娩を行うことが多いです。

◆淋病
淋病を治療せずに放置した場合、流産や早産などのリスクを高め、目や関節の病気、さらには血液感染を引き起こす危険性があります。

◆ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
HIVに感染すると後天性免疫不全症候群(AIDS:エイズ)を発症する可能性があります。HIV感染者の妊婦から生まれた赤ちゃんはお腹の中でHIVに感染してしまう可能性がありますが、妊婦に投薬を行うことで、AIDSの発症をある程度予防することができると言われています。

◆梅毒
梅毒は妊婦が抗生物質を服用することで治療可能で、特に妊娠初期で判明して治療を開始できた場合の予防効果は高いことが知られていますが、胎盤を通過して赤ちゃんに先天性欠損などの病気や死産を引き起こしたりする可能性があるので注意が必要です。
最近は男性だけでなく女性にも罹患者が増えています。日本では妊娠初期の検査に必ず含まれているので、感染予防のためにも必ず初期検査を受けてください。

◆トリコモナス症
子宮の膜を弱くして早期に破裂させる(前期破水)、早産のリスクを増加させる危険性があります。

妊娠初期検査の際に性感染症の検査を受けるケースが多いので、その後発症する可能性は低いと考えられますが、もしも性感染症が疑われる場合は速やかにかかりつけ医に診てもらいましょう。検査・診断・治療開始が早いほど、赤ちゃんを病気から守ることができるからです。

妊娠中のセックスにはどんなメリットがあるの?

上の項目ではリスクについてお話しましたが、妊娠中のセックスには母親にも赤ちゃんにも多数のメリットがあります。

セックスに関するメリット

妊娠中は血流が良いためか、妊娠中のセックスで初めてオーガズムに達したという女性も少なくないと言われています。また、性行為によってオーガズムが生じるとオキシトシンというホルモンが分泌されて痛みの耐性が高くなる・パートナーとの親密度が増すなどの効果や、エンドルフィンというホルモンが放出されることで幸福感が増す効果があることがわかっています。

その他のメリット

セックスによってリラックスをすると睡眠の質が上がり、良い睡眠をとることができます。また、セックス中の振動による揺さぶりは赤ちゃんにとってもよい睡眠をもたらす可能性があると言われています。
また、セックスには血圧を低下させる効果や免疫力を高める(免疫グロブリンAという風邪や感染症を予防する抗体が強化される)効果があることがわかっています。
さらには、オーガズムを得ることで出産のための骨盤床の準備ができるので、産後の回復が早まる可能性があると考えられています。

おわりに:妊娠中のセックスにはリスクもメリットもあることを理解しましょう。

医師の許可が出ていれば、妊娠中にセックスをしても赤ちゃんや母体に悪影響が及ぶことは基本的にはありません。ただし、痛みを伴うような激しすぎる行為や感染症の予防には注意を払いましょう。
パートナーとセックスをするときは、妊娠中にセックスをすることのメリットとリスクを正しく理解して行いましょう。

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