尿路結石を治療するには入院が必要?薬で治すことはできないの?

2019/1/6

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腎臓から膀胱、膀胱から体外に排出されるまでに尿が通るルートを尿路といい、このいずれかにシュウ酸カルシウムが結晶化することを、尿路結石といいます。
石の大きさや位置によっては激痛を伴う病気ですが、どのように治療するのでしょうか。今回は尿路結石の治療の方法と入院の必要性、予防法などを解説していきます。

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尿路結石を薬で治すことはできる?

尿路結石自体がそんなに大きくなければ、排石や石の溶解を促進する薬や、痛みが強い場合は鎮痛薬も投与して治療していきます。

個人差もありますが、尿路結石が1cm以下と大きくない場合であれば、だいたい1か月くらいで石が自然に体外に排出されて、尿路結石を治すことが可能です。

また薬で石を出そうとする場合、投薬とあわせて水分を多めにとって体を動かすことで石を砕きやすく、移動しやすい状態を作って石の排出を促します。

結石が自然に出ないときの治療法は?

尿路結石が1cm以上の大きさになっている、または一定期間投薬や運動で自然排出を促しても効果が得られない場合は、入院して手術で石を砕いて治療することになります。

尿路結石の治療のために行われる手術は、主に「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」「経尿道的結石破砕術(TUL)」「経皮的結石破砕術(PNL)」の3種類です。

以下に、それぞれの手術方法と特徴を簡単にまとめましたので、参考にしてください。

体外衝撃波結石破砕術(たいがいしょうげきはけっせきはさいじゅつ)

約3日間の入院期間で、保険適用で受けられる手術です。
主に腎臓や尿管上部に結石があるときに用いられる方法で、体の外側から専用の医療機器で衝撃波を当て、結石を細かく砕いて尿と一緒に排出させます。

経尿道的結石破砕術(けいにょうどうてきけっせきはさいじゅつ)

約5日間の入院期間で、保険適用で受けられる手術です。
主に尿管の中部・下部、または膀胱に結石がある場合に用いられ、尿道から内視鏡とレーザー破砕機を挿入して医師を砕き回収、または尿とともに排出させます。

経皮的結石破砕術(けいひてきけっせきはさいじゅつ)

約7日間の入院期間で、保険適用で受けられる手術です。
尿路結石が2cm以上と大きく、かつ腎臓にできているときに積極的に行われる方法で、おなかの側面から腎臓に穴を開けて、内視鏡とレーザー破砕機を挿入して石を砕きます。

尿路結石の再発予防のためにできることは?

尿路結石は、日ごろの飲食習慣に気を付けることである程度予防できます。

以下に、尿路結石予防のために気を付けるべきポイントをご紹介しますので、ぜひお役立てください。

1日2Lを目安に水分を摂り、尿の量を増やす

水分の摂取量が増えると生成・排出される尿の量も増え、尿が薄くなって結石ができにくく、尿と一緒に排出されやすくなります。食事以外の飲み物として、水をはじめ番茶、麦茶、ほうじ茶など糖分やシュウ酸が少ないものを中心に、こまめにたくさん飲むように習慣づけてください。

カルシウムはしっかり、シュウ酸の摂取は控えめに

尿路結石の正体は、結晶化した「シュウ酸カルシウム」という成分です。
シュウ酸カルシウムが尿路で結晶化しないようにするには、シュウ酸と結合して便として排出されるのを促してくれるカルシウムを、豊富に摂ると効果的です。

一方、シュウ酸を含む食材を摂りすぎると、尿路結石が再発しやすくなります。
以下を参考にカルシウムを多く含む食品はたくさん、シュウ酸を多く含む食品は控えめになるよう、意識しましょう。

たくさん食べるべき、カルシウムを多く含む食品
牛乳をはじめ乳製品、海藻類、小魚類、大豆食品、春菊、小松菜  など
食べる量を少なめにすべき、シュウ酸を多く含む食品
ホウレン草、たけのこ、タコ、チョコレート、ココア、紅茶  など

なお、前述したようにカルシウムはシュウ酸と結合して便として排出されるのを促すため、シュウ酸を多く含む食品はカルシウムと一緒に摂ることをおすすめします。

おわりに:尿路結石は、小さいうちなら入院なしの投薬で治せる!

尿路結石に必要な治療は、結石ができる位置や石の大きさによってもかわってきます。一般的に、医師が1cm以下の小さいものであれば薬と水分摂取、運動で石が尿と一緒に自然に排出されるのを待って治療していきます。自然な排出が難しかったり、石が2cm以上と大きくなっている場合は、だいたい3日~1週間の入院をして手術で治療することになります。詳しくは個人の症状によって変わりますので、主治医に相談してください。

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