記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
胃腸炎は「お腹の風邪」とも呼ばれ、多くの人が経験をしたことがあると思います。突然の腹痛や下痢などの症状をともない、胃腸炎を引き起こす原因や感染経路はさまざまです。また、ストレスで発症することもわかっています。この記事では、胃腸風邪の詳しい原因や胃腸炎のリスクを高める食べ物、ストレスとの関係について解説します。
胃腸炎とは、何らかの原因によって胃腸に炎症が生じ、腹痛や下痢、嘔吐などの消化器症状が引き起こされる病気です。胃腸炎は大きく分けると、細菌やウイルス、食品を介しての感染による感染性胃腸炎と、アレルギーや食習慣の異常などによる非感染性胃腸炎の2種類に分類されます。一般的には、非感染性胃腸炎の方が、感染性胃腸炎よりも症状は軽度です。
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌などが付着した手で口に触れたり、汚染された食品を食べたりすることで感染します。以下に、感染性胃腸炎の原因となるものを紹介します。
非感染性胃腸炎は、特定の食品や薬品を摂取したことがきっかけで発症します。
特定の食品に対するアレルギー反応で、胃腸炎の症状が引き起こされます。下痢のほか、食べたものを吐いたり、皮膚に発疹ができたりします。
アルコールや香辛料といった刺激の強い食品によって胃腸の粘膜が荒れ、炎症を起こす場合があります。暴飲暴食も胃腸に負担がかかるので、炎症が起きやすくなります。
感染性胃腸炎のうち、食品や水が原因で発症するのが食中毒です。食中毒を引き起こすリスクのある食品として、以下のようなものがあります。
細菌やウイルスによる感染がなく、ストレスが原因で胃腸炎のような症状が出る病気もあります。
消化器の病気の中でもっとも多くみられる病気のひとつです。女性では20代と50代、男性では30~40代の方に多くみられますが、近年では学校や受験などのストレスの影響なのか、小中学生にも増えています。
腸に何も異常がないのに、便秘・下痢・便秘と下痢を繰り返すような便異常、腹痛や腹部不快感などの症状があらわれます。
排便回数が多いのが特徴ですが、睡眠中はほとんど便意が起こりません。お腹にガスがたまったような感覚を覚える人もいます。ストレスの影響で自律神経が乱れ、自律神経によって支配されている内臓の働きに異常が出ることが原因と言われています。
過敏性腸症候群と同様に、明らかな異常がないにもかかわらず、胃痛などさまざまな症状を自覚する病気です。胸やけやみぞおちの痛み、常に満腹感があり満足に食べられないといった症状があります。胃の運動機能障害、内臓の知覚過敏、心理社会的なストレスが原因と考えられています。
細菌やウイルスに感染するだけでなく、特定の食べ物や薬品、ストレスによっても胃腸炎は引き起こされます。胃腸炎のリスクが高い食べ物は調理の仕方に注意し、特定の食べ物や薬品を摂取する際は、医師に相談するのがおすすめです。また、ストレスをため込み過ぎないように気を付け、胃腸炎の予防に努めていきましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。
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