心臓神経症を治すために処方される薬ってどんなもの?

2019/1/31

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

心臓に関する症状の一つに、心臓神経症というものがあります。この病状は心臓疾患とよく似ているのですが、基本的に生命に関わる症状ではありません。心臓疾患と心臓神経症を分けるポイントにはどのようなものがあるのでしょうか?また、この症状を改善するために処方されるのはどんな薬なのでしょうか?

心臓神経症ってどんな病気?

心臓神経症とは、胸の痛みや動悸など心臓病によく見られる症状が起こっているものの、心臓の検査を行っても何も異常が見つからない状態のことです。狭心症などとは違い、症状が長時間連続して何回も繰り返し起こります。

身体疾患ではないため、一定の運動などで心臓に負荷がかかったから起こるというものではなく、安静にしていても起こります。そのため、ずっと安静にしていても症状が落ち着くとは限らず、頭痛・めまい・耳鳴り・不眠などの症状が合併して起こることも少なくありません。イライラやため息が増え、覇気がなくなってしまうこともあります。

心臓神経症の原因ははっきりとは解明されていませんが、ストレスや過労、心臓病に対する極度の不安などが原因であると考えられています。そのため、神経質な人、親しい人を心臓病で亡くしたために心臓病に対して不安感を抱いている人などによく見られます。

ストレスや過労、不安感は交感神経の働きを活発にします。交感神経とは人が活動する際に活発になる神経で、心拍数を増やしたり拍動を大きくしたりします。また、末梢血管を収縮させて血圧を上げる働きもあります。これらの働きによって、心臓疾患とよく似た症状が現れるのです。そして、一度症状が現れると不安感が強化され、症状をより強く感じるようになる悪循環を生んでしまうのです。

心臓神経症の症状は狭心症と間違われやすいの?

心臓神経症では、以下のような症状が現れます。

  • 胸痛
  • 動悸
  • 息切れ
  • 呼吸困難
  • めまい

特に、胸痛はほとんどの患者さんが訴えるもので、狭心症による痛みと一見よく似ています。その他の症状も狭心症の症状と近いため、一見すると狭心症と間違われやすいです。

しかし、心臓神経症で感じる胸痛は「ズキズキ」「チクチク」といった刺激のような痛みですが、狭心症の痛みは締めつけられるような圧迫されるような痛みと、少し違いがあります。その他にも、心臓神経症と狭心症は以下のような点に違いがあります。

症状の種類 心臓神経症 狭心症
痛みの感じ方 ズキズキ、チクチクとした痛み 締めつけられるような痛み
痛みの範囲 左胸のごく一部 胸部全体
症状の現れるとき 一人でいるときなど、安静時が多い 歩行・入浴・食事など活動時が多い

ただし、これらの症状があるからといって、自己判断で「心臓神経症ではない」「狭心症ではない」などと決めつけてしまうのは危険です。たとえ心臓神経症や狭心症でなくても、心臓に何らかの疾患が隠れている可能性もあります。そこで、このような症状が現れた場合は、医療機関できちんと検査を受けることが大切です。

医療機関では、問診・身体所見・心電図・運動負荷心電図・心臓超音波検査などが行われます。これらの検査で心臓疾患の可能性がないと判断されれば、心臓神経症ではないかという診断が下されます。また、不整脈や狭心症の場合、発作時の心電図が取れないと異常が現れず診断が下せない場合もありますので、24時間心電図を記録できるホルター心電図などを利用することもあります。

心臓神経症の治療にはどんな薬を服用するの?

さて、前述の検査や診察で心臓神経症と診断された場合、医師の指示に従い、症状の起こった背景や誘因などを考え、これらの原因を取り除く、または軽快できるような精神療法を行っていく必要があります。場合によっては、精神科や心療内科などで専門医に治療を受ける必要があることもあります。

心臓神経症は心臓に何らかの病変があって起こる疾患ではないため、心臓そのものに作用する薬は処方されません。薬剤を利用する場合は、主に精神安定剤を使用します。また、カルシウム不足によって全ての神経刺激が鋭敏に感じ取れて脈を大きく感じてしまう場合もありますので、カルシウム剤を服用することで動悸などの症状を抑えていきます。

おわりに:心臓神経症に処方されるのは精神安定剤やカルシウム剤

心臓神経症は、心臓疾患とは違い、心臓に何らかの病態があるわけではありません。主な原因は精神的な不安感やストレスです。そこで、処方される薬は主に精神安定剤で、場合によっては心療内科でのカウンセリングが必要となる場合もあります。

また、脈を大きく感じて動悸が生じる場合、カルシウム剤で神経の感覚を抑え、症状を軽減する場合もあります。いずれの場合も、医療機関できちんと検査を受けて治療しましょう。

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