気管支サーモプラスティってどんなことをする治療なの?

2019/1/15

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

喘息の治療では吸入ステロイド薬の使用が基本ですが、近年新しい治療法「気管支サーモプラスティ」が登場したことをご存知でしょうか。いったいどんな治療法か、以降で詳しくご紹介していきます。

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気管支サーモプラスティとは

気管支サーモプラスティとは、18歳以上の人を対象にした新しい喘息治療です。複数の薬剤を使用しても症状が出てしまう重症の喘息を患う人を対象としています。

気管支サーモプラスティは、薬物を使わず、体に負担の少ない方法で行われます。具体的には、麻酔をかけて気管支の中に内視鏡を入れ、電極のついたカテーテルで気管支の内部を65℃に温めます。気管支は温めると筋肉が薄くなるため、気管支が狭くなりにくく症状がでにくくなるという効果があります。

重症の喘息を患う人の場合、1年以上にわたって治療を継続する必要があり、医療費も高額になってしまいます。しかし、気管支サーモプラスティの場合は、高額であるものの期間は約2か月と短期間で治療効果が得られます。

気管支サーモプラスティの手順は?

気管支サーモプラスティは、入院して治療を行います。まず、気管支サーモプラスティの治療3日前から全身ステロイド剤を投与し、喘息発作が起きにくいよう体調を整えます。

前日から入院し、翌日には呼吸機能検査をした後で気管支拡張剤を吸入します。そして、静脈麻酔もしくは全身麻酔を行い内視鏡を気管支内に挿入、65℃で10秒間通電して気管支を温めます。1回の治療は約1時間で終わります。入院3日目に再度呼吸機能検査を行い退院となります。

気管支サーモプラスティの治療は、3回に分けて行われます。1回目は右下葉気管支、2回目は左下葉気管支、最後に両上葉気管支で、治療の間隔は3週間以上開けなければなりません。
なお、治療にかかる費用は入院費も含めて1回約50万円となるため、高額療養費制度を利用することをおすすめします。

治療後に想定される副作用は?

気管支サーモプラスティの治療後のリスクとしては、経口ステロイド薬の副作用があります。治療の3日前から服用するステロイド薬は、日常的な治療で服用する量よりも多くなります。そのため、ステロイド剤の副作用が普段よりも出現しやすくなります。

また、気管支サーモプラスティの治療中にも薬剤をいくつか使用するため、薬剤アレルギーの症状を過去に起こしたことがある場合には、事前に医師に相談してください。
さらに、一時的に息切れや喘鳴、咳などの喘息症状が出現することもあります。多くの場合、治療後1日以内に現れ、1週間以内に改善することが多いでしょう。まれに、血痰が出ることもありますが、一時的な症状のことが多いです。ただ、念のため医師に相談することをおすすめします。

おわりに:気管支サーモプラスティは短期間で行える体に負担の少ない新治療法

気管支サーモプラスティは、重症喘息を患っている人にとっては短期間で症状を緩和できる治療法です。世界ではすでに4000例以上の治療が行われており、喘息発作や救急外来の受診数ともに減少しています。また、治療の効果は5年続くことが確認されており、治療効果が期待できる治療法といえるでしょう。

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