記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
食欲不振が起こっている場合、その原因はさまざまです。真っ先に考えられるのは胃や腸など消化器の疾患、内分泌系の疾患、そして精神的な疾患などですが、それだけではなく、服用中の薬剤の副作用によって食欲不振が起こることもあるといわれています。
食欲不振は薬で起こることもあるのでしょうか?また、症状を和らげるためにはどのような工夫をすれば良いのでしょうか?
食欲不振の原因はいろいろなものがありますが、大きく分けて疾患から来るものとそれ以外のものに分けられます。
まず、疾患から来る食欲不振は、さらに肉体的な原因と精神的な原因の2つに分けられます。
これらの疾患によらない場合は、加齢・ストレス・不規則な生活習慣・飲酒などが考えられます。また、運動不足や睡眠不足など、不規則な生活を続けると自律神経のバランスが崩れるため、食欲が低下することがあります。特に、運動不足だと食事からエネルギーを補給する必要がなくなるため、食欲が低下します。
そして、飲酒は一見食欲が増加するように思われますが、飲みすぎによって肝臓に大きな負担がかかると肝臓の解毒作用などの機能が低下します。すると、体のだるさなどとともに、食欲の低下が起こることがあります。また、年齢を重ねていくと若い頃と比べて食欲がなくなるという人も少なくありませんが、これは疾患などの異常ではありませんので、特に心配する必要はありません。
こうした疾患や生活習慣のほかに、薬の副作用で食欲不振となることがあります。痛み止め・強心剤・抗がん剤・向精神薬・抗生剤などの薬が原因となる可能性があります。また、西洋薬だけでなく、漢方薬が原因となることもあります。漢方薬は西洋薬と違って副作用がないと誤解されることもありますが、西洋薬に比べて副作用の割合は少ないと言われているだけで、漢方薬で副作用が起こることもあります。
漢方薬も医薬品ですから、必ず添付文書を読み、用法・用量を守って正しく使用しましょう。特に、もともと胃腸の弱い方の場合、漢方薬でも副作用が現れやすいと考えられます。胃腸が弱い方は漢方薬を購入・使用する前に必ず薬剤師や医師に相談し、食欲不振・胃のもたれ・腹痛・軟便・下痢などの副作用が起こった場合は医療機関を受診しましょう。
薬の副作用で食欲不振になっている場合は、飲んでいるお薬が合わないことも考えられます。まずは医師や薬剤師に相談しましょう。しかし、症状が軽い場合は、食欲不振は少し我慢しながら薬を飲み続ける必要があることもあります。その場合、以下のように対処していくのがおすすめです。
食欲不振がある場合、消化・吸収機能が弱っている可能性が高いです。そこで、胃腸に負担をかけないために、刺激物を控え、消化の良い柔らかめの食品を食べましょう。食物繊維が多い根菜などの固い野菜や、消化に悪い脂身の多い肉や揚げ物、刺激物である香辛料の多いカレーなどの食事は避けましょう。
しかし、食物繊維は体に必要な成分でもあるため、全く取らないというわけにもいきません。そこで、ごぼうやれんこんといった根菜類を食べたい場合は、切れ目を入れる、面取りをするなどのひと手間を加え、食べやすくしましょう。また、消化に悪い油をできるだけ避けるため、どうしても肉類を食べたい場合は油をできるだけ削ぎ落としたり、あらかじめ下茹でしたり、焼いて脂を落としておくといった、脂を減らす工夫をするとよいでしょう。
食欲不振の原因は体の不調だけとは限らず、服薬中の薬の副作用によって起こることもあります。薬の副作用で食欲不振になる場合、胃や腸などの消化・吸収機能が弱っている可能性があります。消化器官に負担をかけないよう、刺激物を控えた消化に良い食事を心がけましょう。また、同じ食材でも調理前に一手間加え、繊維を切ったり油を落としたりしておくことで、胃腸に負担をかけにくくすることができます。