エレベーターや飛行機で耳の中が痛いとき、「あくび」で治るのはなぜ?

2019/1/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

高層階のエレベーターや飛行機に乗ったとき、耳の中が痛くなった経験はありませんか?このとき、唾を飲んだり、あくびをしたりといった対処法で治す方も多いかと思いますが、なぜこのような動作で耳の痛みが緩和されるのでしょうか。以降で解説していきます。

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エレベーターや飛行機で耳の中が痛くなる理由は「気圧」

そもそも、なぜ飛行機に乗ったり、高層階のエレベーターに乗ったりすると耳がキーンと痛くなるのでしょうか。

その理由は「気圧の変化」です。鼓膜の内側にある中耳には少量の空気が入っており、「耳管」という管でのどへとつながっています。この耳管は普段閉じたままですが、開閉して空気が通ることによって、中耳の気圧と外の気圧を同じくらいに調整するようになっています。

しかし高層階のエレベーターや飛行機の離着陸時は、外の気圧が急激に変化する(気圧は上空に行けば行くほど低下する)ため、耳管が閉じたままの状態になってしまい、鼓膜の外側と内側で気圧差が生じるために耳が痛くなってしまうのです。

あくびをしたり唾を飲んだりすると、耳の痛みが消えるのはなぜ?

ではなぜあくびをしたり唾を飲んだりすると、耳の痛みが消えるのかというと、耳管が一瞬開くからです。耳管が開くことで、中耳の気圧を外気圧と同じくらいに調整することができます。なお、水を飲む、飴を舐める、口を大きく開けるという方法も有効です。

あくびをしても耳の痛みが治らない場合は?

あくびや唾を飲んだりしても耳の痛みが治らない場合は、重度の「航空性中耳炎」になっている可能性があります。航空性中耳炎とは名前の通り、飛行機の搭乗などで鼓膜の内外に気圧差が生じたことが原因で、耳の痛みや低い耳鳴り、重度の場合は鼓膜からの出血、目まいが起こったりする病気です。

この場合は、「耳抜き」を実践してみてください(※強い力でやると鼓膜が傷つく恐れがあります)。

  1. 鼻をかむ
  2. 鼻をつまんで空気を吸い込み、口を閉じる
  3. 吸い込んだ息を耳に送り込む
  4. 耳づまりの改善が実感できるまで数回繰り返す

もしこれを実践しても耳の痛みが改善しない場合は、機内の客室乗務員に点鼻薬を用意してもらうか、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。通常の中耳炎と同じく、基本的には抗生物質や抗ヒスタミン薬、消炎鎮痛薬などで治療していくことになります。

おわりに:「飴を舐める」「ガムを噛む」も有効な予防法!

気圧の変化に伴う耳の痛みは、かなり不快なもの。毎日高層階のエレベーターに乗る人や飛行機に乗る機会の多い人は、あくびや唾の飲み込みなど、できる対策をしっかり行いましょう。また、飴を舐めたり、ガムを噛んだりしながらエレベーターや飛行機に乗るのも、有効な予防法といわれています。ぜひ試してみてください。

厚生労働省 関西航空検疫所 の情報をもとに編集して作成 】

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