記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/21
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
心タンポナーデとは、心臓の周囲に大量の液体がたまってしまったために、心臓の動きが制限されてしまう状態です。この記事では、心タンポナーデになった場合の症状や対処法を解説します。
心タンポナーデとは、何らかの原因で心臓の周りに液体がたまって心臓が抑え込まれた状態です。心タンポナーデが起こると、心臓のポンプ機能が働かなくなってショック状態を起こしてしまいます。進行すると急速に命にかかわりますので、すぐに処置を行わなければなりません。
心タンポナーデは、心臓を取り巻く2枚の心膜の間のスペースである「心嚢(しんのう)」にもともとある液が急激に増えて起こる場合と、心臓が破れるなどして心のうに血液が溜まってしまう場合とがあります。どちらの場合も、液が溜まっている部分に針を刺して排出すれば症状が改善します。
心タンポナーデの原因には、急激に起こるものと慢性的に起こるものとがあります。急激に起こる原因には、主に次のようなものが考えられます。
慢性的に起こる場合には、症状が徐々に進行します。慢性的な心タンポナーデの原因には次のようなものがあります。
心タンポナーデを発症すると、全身へ送られる血液の量が不安定になるため、血圧が低下します。血圧が低下すると意識障害や呼吸困難、胸の苦しさなどの症状が現れます。上半身を起こした姿勢の方が呼吸が楽になる症状(起坐呼吸)がみられることもあります。
ただし、外傷性や心筋梗塞後の心破裂の場合、症状が急速に進んであっという間にショック状態となって命を落としてしまうことも考えられます。一方、慢性的に進行する場合には、初めは無症状のことが多いです。液体が増えてくるにつれて、ゆっくりと症状があらわれるようになります。
心タンポナーデと思われる症状がみられたときや、心臓付近に強い衝撃を受けた直後などにはすぐに病院を受診してください。特に、意識障害や呼吸困難の場合には、救急車を呼んでも問題ありません。
病院では、ベッドサイドで簡単に行うことができる心臓超音波検査が行われます。心臓超音波検査では、心臓の周りに貯留する液体成分をリアルタイムで確認できるため、診断しながら治療効果を目の前で観察することが可能です。また、胸部レントゲンを撮影して心臓の大きさで診断することもあります。心タンポナーデの原因がウイルスや細菌などの感染症と考えられる場合には、血液検査や培養検査も行います。治療で行った穿刺の時に吸引した液を検査することもあります。
SLE(全身性エリテマトーデス)などの膠原病が原因の可能性があるときには、血液検査や尿検査などが追加されます。
心タンポナーデは急速に症状が進行して命にかかわることもある緊急度の高い病気です。胸が苦しくなるなどの症状がみられたら、すぐに病院を受診しましょう。特に、呼吸困難や意識障害がみられるときには、急いで救急車を呼ぶようにしてください。