心タンポナーデになると、どんな症状が出てくるの?

2020/3/13

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

心タンポナーデとは、心嚢内に大量の液体もしくは気体がたまってしまった状態です。この記事では、心タンポナーデの原因や症状、治療法とともに、予防は可能かどうかについても解説します。

心タンポナーデの症状は?

心タンポナーデとは、心嚢(心臓を覆っている心膜の間)内に多量の液体(もしくは気体)が貯留してしまった状態です。心嚢内圧が上昇し、心臓が十分に拡張することができなくなるため、拡張障害から心拍出量低下によるショックと冠血流低下による突然の心停止を引き起こします。特に、進行すると急速に死に至ってしまうため、 緊急度の高い病気とも言われています。

心タンポナーデとなる原因は、どのような経緯で発症したかによって異なります。たとえば、突然心タンポナーデとなった場合は原因不明と言われています。

一方、感染性の場合、ウイルス性、結核性、細菌性、真菌性による急性・慢性の心膜炎が原因とされ、感染性でない場合には急性大動脈解離、急性心筋梗塞、悪性腫瘍の心膜浸潤、尿毒症、膠原病、薬剤性などが考えられます。また、外傷性の場合には交通事故などによって胸部を打撲することが原因となります。

症状に前兆はある?

心タンポナーデは原因によって発症前の症状が異なるため、心タンポナーデ全てに類似した前兆が見られるわけではありません。しかし、感染性の場合は先行症状として、発熱、鼻づまり、咳などのかぜの症状が出る場合がありますし、大動脈解離、心筋梗塞の場合は胸部もしくは背部の突然の痛みを感じることが多くなります。また、Beckの三徴といい、頸静脈怒張や低血圧、心音減弱という症状が見られることもあります。ただ、心嚢に徐々に液体がたまって引き起こされる心タンポナーデの場合には無症状である場合が多いのも特徴です。

心タンポナーデを治すには?

心タンポナーデを治療するには、心嚢穿刺や心膜開窓術を行います。心嚢穿刺とは、心嚢に直接針を刺して心嚢内の液体を排除するものです。急性の心タンポナーデのときなど、救命処置の一環として行われることが多い治療法で、心嚢内の血液を排除することで減圧をすることができ、心臓への負担をへらすことができます。

心膜開窓術とは、心膜の一部に窓(穴)を開けて水や液体などを胸やお腹へ逃がすという方法です。心嚢穿刺でも改善が見込めない場合に行われます。

心タンポナーデの予防法は?

突発性の心タンポナーデの場合、予防は難しいです。しかし、原因がはっきりとわかっている場合はその原因を取り除くことで予防できます。たとえば、高血圧、脂質異常がある場合にはその疾患の治療、もしくは定期的に検査を受けるなどしてこれらから身を守ることが大切です。

心タンポナーデは治療すれば回復するものの、原因疾患を取り除かないと再発する恐れがあります。心タンポナーデが急激に悪化すると命に危険が及ぶ可能性もあるため、思い当たる疾患がある場合はその疾患の治療にも取り組みましょう。

おわりに:命の危険もある心タンポナーデ。心当たりの疾患があるなら予防を

心タンポナーデとは心臓を覆っている心膜の間のスペースである心嚢内に多量の液体(もしくは気体)が貯留してしまった状態で、症状が進むと命への危険を及ぼすこともあります。原因によっては前駆症状が見られるものの、突発的な場合などは前駆症状もなくある日突然症状が出現することもあります。

治療では、心嚢にたまった液体を穿刺もしくは手術にて取り除きます。突発的な心タンポナーデは予防できませんが、心タンポナーデを引き起こす病気を発症している場合、その疾患を治療することが予防につながることもあります。心当たりがある場合には、しっかり治療しましょう。

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