硬膜外ブロック注射はどこの痛みを解消する?副作用の心配は?

2019/12/16

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

さまざまな種類がある神経ブロックのうち、硬膜外ブロック注射は背骨があるところに打つものです。この記事では、硬膜外ブロック注射で使われる薬や気になる副作用、万が一副作用が出た場合の対処法を紹介します。

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硬膜外ブロック注射ってどんなもの?

硬膜外ブロック注射とは、頚部から臀部まで、背骨 (脊椎)がある場所に対して行う神経ブロック注射の一種です。背中から背骨の中に針を刺し、脊髄の外側の空間である硬膜外腔に局所麻酔薬を注射して薬を拡散させます。直接脊髄に薬を注入しませんが、脊髄から出ている神経根へしっかりと薬剤が染み渡る仕組みになっています。

硬膜外ブロックはさまざまな疾患に対して行われる治療法ですが、特に椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症、腰部脊柱管狭窄症などでよく行われる治療法です。

硬膜外ブロック注射で使われる薬は?

硬膜外ブロック注射で使用される薬剤として、局所麻酔薬である塩酸リドカイン、塩酸メピバカイン、塩酸ブピバカイン、塩酸ロピバカイン、塩酸レボブピバカイン、塩酸ジブカイン配合剤などが挙げられます。これらのうち、塩酸リドカインが使用されることが多いものの、薬液の濃度や容量に関しては薬液の種類や期待する効果、年齢や全身状態を考慮して決定されます。そのほか、神経の炎症や絞扼症状が強い場合には、少量のステロイドを加えることもあります。

副作用の心配はないの?

硬膜外ブロック注射による副作用として、血圧が下がることが挙げられます。これは、血圧を保つ自律神経にも麻酔がかかるためです。このため、硬膜外ブロックの前後に血圧を測定し、血圧が下がった場合は自然回復するまで1~2時間横になって休む必要があります。血圧低下は一時的なもので、時間の経過とともに回復することがほとんどですが、血圧の低下が大きな場合には、昇圧薬(血圧を上げる薬)を使って治療します。

また、硬膜外ブロックによって運動神経に麻酔がかかると、一時的に手足に力が入りにくくなることがあります。こちらも1時間くらい横になって休めば自然回復します。

また、局所麻酔を使用した後には口の周りや舌のしびれ感やめまい、頭がくらくらする、耳鳴り、目がくらむ、かすんで見える、手足の筋肉が痙攣する、意識消失といった症状が出現することもあります。このような症状がみられた場合、局所麻酔が体から抜けることで自然と回復するため酸素吸入を行い、点滴を打って経過観察をします。

そのほか、まれではありますが、針を刺した部分からの細菌感染や硬膜外空の血管から針を刺したことによる出血がみられることがあります。このような場合、大至急硬膜がブロック注射を行った医療機関に連絡をして受診をする必要があります。また、ステロイドを追加した場合、根動脈への偶発的誤注入によると思われる脳幹・脊髄梗塞といった報告もあります。この場合も医療機関を受診し、適切な処置を受けることが必要になります。

おわりに:神経根ブロック注射は該当する疾患の痛みに効果があるものの、副作用にも注意を

神経根ブロック注射は椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症、腰部脊柱管狭窄症などの疾患に対して効果のある神経ブロック療法の一種です。

局所麻酔を注入して行う治療ですが、ときにさまざまな副作用が現れることがあり、中には経過観察では改善がみられないこともあります。また、症状によってはステロイドを追加することもあり、こちらもステロイド追加によって副作用症状が出現する場合があります。まずは医師の指示をしっかりと聞き、治療を受けましょう。

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