記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/3/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
大動脈解離(解離性大動脈瘤)とは、人間の体の中で一番太い大動脈に裂け目ができることで発症する病気です。この病気は自覚症状がないこと、そして、いったん発症すると早急な処置が欠かせないという特徴があります。この記事では、大動脈解離の原因や症状、予防法を解説します。
「大動脈解離(解離性大動脈瘤)」とは、体のすみずみに血液を送り込む最も太い血管である大動脈が裂ける病気です。
大動脈は、外膜、中膜、内幕の3層構造となっており、通常は十分な強さと弾力を持っています。しかし、なんらかの原因で内側にある内膜に裂け目ができると、その外側の中膜の中に血液が一気に流れ込んで新たな血液の流れ道(解離腔または偽腔)をつくり、それによって血管が膨らんだ状態となります。その外側には外膜一枚しかないため破裂の恐れがあり、もし破裂してしまうと大出血を起こすこともあります。
大動脈解離には、突然、胸あるいは背中に杭が刺さったような激痛が起こり、病状が進展するにつれて痛みが胸から腹、さらに脚へと下向きに移っていくという特徴があります。ショック状態や体内の血液の循環がなくなるといった症状が一瞬のうちに起こる、致死率の高い急性の病気です。
大動脈解離の原因は明らかではないものの、高血圧、動脈硬化、喫煙、ストレス、高脂血症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、血管の壁が弱くなるマルファン症候群、ロイス・ディーツ症候群、エーラースーダンロス症候群、梅毒などの血管の病気、大動脈二尖弁などの先天性の異常など、さまざまな要因が関係すると考えられています。
また、妊娠中にホルモンが大動脈壁に変化を起こすことも知られています。特に妊娠後期(25週以降)と出産後に起こりやすいほか、事故などによる間接的な衝撃や外傷によって引き起こされる場合もあるといわれています。
大動脈解離が多くみられるのは、男女とも70代とされていますが、40代や50代での発症もまれではありません。
大動脈解離は大変危険な病気ですが、大出血を起こすまでは目立った自覚症状がないため気づきにくいものです。この病気を予防するためには、日常の血圧管理がとても重要です。急性大動脈解離を発症した人うち、70%に高血圧があったことから、まずは高血圧を予防することが大事といえます。血圧が高いとそれだけ血管への負担が大きくなり、内膜に傷ができやすく亀裂も起こりやすくなるためです。
また、高脂血症や糖尿病などを併発していて動脈硬化を起こしやすい人は、血圧を中心にコレステロールや血糖値を含めてきちんとコントロールしていくことが大切です。動脈硬化が進むと、血管内膜の弾力性が低下して異常が起こりやすくなります。食生活習慣を見直すとともに適度な運動を行いましょう。
また、過度の飲酒や喫煙を控えることも必要です。動脈硬化のある人は、医師の指導を受けて生活全般の習慣を見直すようにしてください。
大動脈解離の原因は解明されていませんが、高血圧をはじめとして、動脈硬化、糖尿病や高脂血症、喫煙、ストレス、睡眠時無呼吸症候群、血管の病気、先天性の異常のほか、妊娠・出産や外傷など、さまざまな要因が関係すると考えられています。動脈硬化を起こしやすい人などは、早目に医師の指導を受けて生活習慣を見直すようにしましょう。