記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/1/29
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肺の中にある気管支やその先にある肺胞(はいほう)の細胞ががん化したものが肺がんです。がんは早期発見・早期治療が肝心と言われているため、自覚症状をできるだけ早くキャッチすることが大事になります。それでは肺がんの場合、どんな自覚症状が出てくるのでしょうか。
「肺がん」とは、体の中に酸素を取り入れ二酸化炭素を排出する、肺の中の気管支やその先にある肺胞(はいほう)の細胞が、何らかの原因でがん化したものです。
早期ではほぼ無症状で、病状の進行とともに、咳、痰、血痰、発熱、呼吸困難、胸痛、声のかすれなどの呼吸器症状があらわれますが、ほかの呼吸器疾患と区別がつきにくいものです。複数の呼吸器症状がみられたり長引く場合は、早めに医療機関で受診することが大切です。
また、肩の痛みや凝り、しゃっくりなど呼吸器以外の症状があらわれることもありますし、腫瘍随伴症候群とよばれる腫瘍の影響で起こる肥満、ムーンフェイス(顔が満月のように丸くなる)、食欲不振、神経症状、意識障害なども比較的多く発症します。反対に、進行の程度に関わらず症状がほとんどみられない場合もあり、転移した場所の症状が先にあらわれることもあります。
肺がんが疑われるときは、まず胸部X線検査(レントゲン)、CT検査、喀痰(かくたん)細胞診などを行い、病変の有無や場所を調べます。
もっとも簡便で広く普及し集団検診などでも用いられているのが「胸部X線検査」で、正面像や側面像を撮影し、肺にがんが疑われる影があるかを調べます。
「胸部CT検査」では、体の組織がX線を吸収したり透過させたりする度合いをコンピュータで処理して体の断面を画像化します。単純なX線写真では難しい5mm以下の病変や、心臓の陰に隠れた病変も探し出し、大きさや性質、周囲の臓器への広がりなども調べられます。
「喀痰細胞診」では、数日かけて何回か繰り返し痰を採取し、がん組織からはがれ落ち痰に混ざって出てきたがん細胞を検出し検査します。その後、確定診断のために病理検査や詳細な画像検査などを行うことになります。
予防でもっとも重要なのは、たばこを吸わないことと、他人のたばこの煙(受動喫煙)を避けることです。喫煙は肺だけでなくほかの多くのがんのリスクを上げるといわれています。たばこのほかには、仕事などで接触・吸入してしまう石綿(アスベスト)をはじめ、クロム粒子、ラドンガス、ディーゼル粒子なども肺がんのリスクを高めます。
アスベストは繊維状の天然鉱物で建物や工業製品の材料として多く使われてきましたが、現在では使用は全面的に禁止されています。しかし潜伏期間が15~40年もあります。もし、生活環境にアスベストが存在していた場合は、1年に1度は胸部X線検査を受けるようにしましょう。
そのほか、過度の飲酒や偏食、塩分の取り過ぎを避け、野菜や果物などでさまざまな栄養素をバランス良くとるようにし、適度な運動習慣をつけて適正体重を維持するようにしましょう。
肺がんは、早期ではほぼ無症状で、病状の進行とともに呼吸器症状などがあらわれますが、全くない場合もあります。複数の呼吸器症状がみられたり長引いたりする場合は早目に医療機関で受診し、肺がんが疑われるときは、まずは胸部X線検査、CT検査、喀痰細胞診などで調べてもらいましょう。
この記事の続きはこちら