記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2020/1/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腰痛や首・肩の痛みなど、つらい痛みを和らげるためにブロック注射を行うことがあります。注射と聞くとなんとなく痛そうなイメージが浮かんで、できれば打ちたくないなぁ…と気が引けてしまうかもしれません。この記事では、ブロック注射がどのようなものかや痛みの程度、どのくらいの回数打つ必要があるのかなどを解説します。
ブロック注射は、痛む部位の神経付近に麻酔薬を注射して痛みを取り除くものです。一時的に痛みをごまかすものと思われがちですが、そうではなく、興奮して過敏になった神経を落ち着かせて、痛みの根本的な原因を取り除くこともできます。特に、痛みの悪循環を断ち切ることができる効果は重要だといえます。
痛みの悪循環とは、痛みが引き起こす炎症や血行不良がさらに痛みを増幅させてしまう現象です。痛みを感じると神経が興奮し、血管や筋肉が緊張状態になります。そうなると血行が悪化し、さらに痛みが増すというスパイラルが起こります。
しかしブロック注射を打つと、炎症部位に薬液が届いて炎症が沈静化されます。すると血流が改善されて痛みが和らぎます。そのため、痛み止めの効きにくい腰痛などには、痛みの一時的な緩和のためだけでなく、根本的な治療の選択肢としてもブロック注射が使用されます。
痛みを解決する方法として有効なブロック注射ですが、必ずしも1回の注射で症状が改善されるわけではありません。神経ブロックを何回か繰り返すことで、神経や筋組織のダメージが回復していくためです。もちろん、1回で痛みが改善される場合もありますが、大体は4~5回を目安に繰り返し注射をすることになります。慢性的な痛みの場合は、もっと回数が必要なこともあるでしょう。
注射をするペースの目安は、週1回程度です。そのなかで症状をみながら、痛みがひどいときは週2回に増やすなど、回数やペースを調整していきます。
痛む部位にさらに注射をするということで、注射をしたとき痛いのではないかと心配する患者さんも多くいらっしゃいます。痛みは人の感じ方や注射する部位によっても変わってくるので一概には言えませんが、実際に注射を受けると「思ったより痛くなかった」という感想をもつ方も多くいらっしゃいます。
もちろん、針を刺すので全く痛くないということはありませんが、通常の採血や筋肉注射よりは痛くない場合がほとんどです。病院側も、痛みを軽減するための工夫をしてくれます。たとえば、点滴や採血よりも細い針を使用したり、皮膚麻酔をしてから実施したりすることで痛みを感じずに注射を受けることができます。
また、患者本人の痛みの感じ方にあわせ、ブロック注射の中でも痛みの少ないものを選んでもらうこともできます。不安な場合は、主治医に相談しましょう。
ブロック注射を打つと、痛む部位神経やの神経付近に麻酔薬が注入され、痛みを取り除くことができます。この効果は一時的なものではなく、興奮して過敏になった神経を落ち着かせ、痛みの根本的な原因を取り除くことにもつながります。特に、炎症を鎮静化し、血流を良くすることができるため「痛みの悪循環」を断ち切ることができる点は大きなメリットです。