大動脈解離は2種類に分類されるって本当?治療法はどちらも同じ?

2020/5/9

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

人間の体でもっとも太い血管である大動脈に亀裂が入ることで発症するのが大動脈解離です。ひとくちに大動脈解離といっても、体のどの部分で起こるかで治療方針が異なることをご存知でしょうか。この記事では、大動脈解離の種類とともに、治療法についても解説します。

大動脈解離とは

大動脈は内膜、中膜、外膜の3層に分かれて形成されています。大動脈解離とは、内膜が裂けて入り込んだ血液が中膜を引き裂き、もともと大動脈の壁だった部分に血液が流れ込んでしまうことによって大動脈内に2つの通り道ができる状態です。大動脈解離を発症する原因として、動脈硬化、高血圧、喫煙、ストレス、高脂血症、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、遺伝などが考えられます。

大動脈解離の症状は、解離した部位によってさまざまです。上行大動脈が解離した場合、胸の痛みや血圧低下が、弓部大動脈解離の場合は意識障害や血圧の左右差、上肢冷感がみられます。そして、下行大動脈解離の場合は背部痛がみられ、腹部大動脈の解離では腹痛や腰痛といった症状があらわれます。

大動脈解離の「A型」「B型」とは

大動脈解離は、解離した場所によってスタンフォードA型とスタンフォードB型に分類されます。スタンフォードA型とは上行大動脈に解離があるもの、スタンフォードB型とは下行大動脈のみに解離があるものです。

大動脈解離がA型およびB型であるかどうかは検査によって判断します。大動脈解離の検査は胸部レントゲン、心臓超音波検査(心エコー)、CT、MRIなどを使用して診断します。

どちらのタイプかで治療方針が違うの?

大動脈解離の治療は、スタンフォードA型かB型かによって治療方法が異なります。

スタンフォードA型は極めて予後不良な大動脈解離で、症状の発症から1時間あたり1~2%の致死率があると報告されています。そのため、緊急治療として外科的治療が選択されます。エントリーと呼ばれる解離の起点となった入口の切除を目的として、人工心肺を用いながら上行大動脈人工血管置換を行います。

一方、スタンフォードB型はスタンフォードA型の大動脈解離よりも自然予後が良いため内科治療が初期治療として選択されることが一般的です。主に、降圧剤を中心とした治療が行われます。ただし、破裂した場合や治療抵抗性の疼痛がある場合、臓器虚血等の合併症を来たした場合は極めて予後不良のため、外科治療が必要となります。この場合の外科的治療は人工心肺を用いた人工血管置換術です。また、臓器虚血に対しては、カテーテルか手術による腹部大動脈開窓術や虚血臓器への各種バイパス術が行われます。

大動脈解離は48時間以内に約半数の患者さんが亡くなる、極めて重篤で危険性の高い病気です。そのため、検査などによって正しく分類をして、その状態にあった治療を行うことが必要になります。

さらに、発症から2週間以上経過した慢性期の大動脈解離の場合は予後は良好で、状態が安定している場合にはスタンフォードA型であってもスタンフォードB型であっても内科治療が行われます。

おわりに:スタンフォード分類は治療の方法が異なる!A型の場合は特に注意を

大動脈解離はスタンフォード分類によって上行大動脈に解離があるA型と、下行大動脈のみに解離があるB型の2種類に分類されます。A型とB型で治療方法は異なり、特にA型は緊急手術が必要となるなど救命のために急を要します。一方、B型は内科的治療が選択される場合が多くなります。

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