記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/3/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脳出血は、高血圧や動脈硬化などにより、脳の血管から出血してしまう病気です。発症すると後遺症が残るといわれていますが、どの部分で出血が起きたかによって、その症状が異なります。この記事では、脳出血の症状とともに、後遺症についても解説します。
脳出血とは、さまざまな原因によって脳の血管が破れてしまい、脳の実質内に血液が流出する状態のことをいいます。脳卒中のうち、約2割弱の頻度で出現します。動脈硬化と高血圧が大きな要因で、これらの疾患によって脳の血管が弱くなって出血しやすい状態になります。脳出血が起こりやすい部位は被殻(ひかく)が39%、視床が28%、皮質下13%程度の割合で、そのあとに橋(きょう)、小脳と続きます。
脳出血が起こったときの症状は、出血部位によって異なります。
被殻が出血しても、小さな出血であれば麻痺などの症状は起こりません。しかし、被殻から少し外側の内包へ出血すると、出血部位と逆側の四肢麻痺、感覚障害が出現し、重症の場合だと意識障害もみられます。また、利き手と逆側に出血が起こると言語障害、利き手側なら失行、失認も起こります。さらに、眼球が病巣への共同偏視、対側の同名半盲もみられます。
視床が出血すると、運動麻痺、感覚障害がみられたり、眼球の内下方偏位や対光反射の減弱がみられます。また、利き手と反対側の脳の出血なら失語、利き手側の出血なら失認や失行がみられます。高齢の方や、抗血小板療法を受けている人に多くみられる脳出血です。
橋が出血するときは重症の場合が多く、意識障害、呼吸障害、四肢麻痺が早期より起こります。また、縮瞳や対光反射の消失も見られます。
小脳が出血すると、突発する頭痛、嘔吐、めまいが起こります。そして徐々に意識障害が起こり、呼吸状態が悪くなります。
脳出血発症後の治療は、手術による治療と薬物による治療があります。中等度の重症度で、機能予後や意識障害の改善が見込まれれば外科的治療法が選択されることが多いです。頭の骨を外す開頭術か、頭蓋骨に小さな穴をあけて内視鏡を挿入する内視鏡手術で血液を取り除きます。
薬物治療では、降圧薬を使用して血圧をコントロールしたり、止血薬を用いて出血を止めたりします。ほかにも合併症として脳の腫れが起きた場合は、脳の腫れをとる薬を使用したり、呼吸の状態が悪い場合は人工呼吸器を使用したりします。
前述したように、脳出血は出血する部位によって症状が異なります。また、出血した量によっても脳へのダメージが異なるため、症状の程度が異なります。そのため、脳出血の後遺症は出血した部位や出血量によって症状が異なります。
たとえば被殻出血や視床出血の場合は片麻痺や感覚障害が起こり、皮質下出血では失語や失認が起こります。また、橋出血の場合は重症化することが多く、もしも助かったとしても長い期間の寝たきりによる廃用症候群などになる可能性もあります。
脳出血は出血部位や出血量によって後遺症が異なります。そのため、後遺症を最小限にとどめるためには早急な対応がカギとなります。もしも脳出血と思われる症状がみられたときは、早急に医療機関を受診しましょう。