大動脈瘤の予防のポイントは動脈硬化の改善?何をすればいいの?

2019/3/10

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

大動脈瘤は動脈硬化が主な原因とされています。加齢などで動脈を形成する血管が硬くなり、血液の循環が悪くなった状態を「動脈硬化」と呼びます。
今回は動脈硬化のプロセスや予防方法などをまとめました。動脈硬化を防ぎ、大動脈瘤を防ぎましょう。

動脈硬化とは

動脈硬化は動脈(血管)の壁が硬くなったり厚くなったりして、本来の血管の働きが悪くなる症状の総称です。

病理学的には大きく3種類

  1. 粥状動脈硬化(アテローム性動脈硬化)
  2. 細動脈硬化
  3. 中膜石灰化硬化(メンケベルグ硬化)

この3種類に分けられますが、一般的に動脈硬化といえば「粥状(じょくじょう)動脈硬化」のことを指すことが多いです。

「粥状動脈硬化」は、動脈の内壁に悪玉(LDL)コレステロールなどの脂肪がお粥のような状態でドロドロとたまり、「粥状硬化巣」ができた状態です。それが徐々に大きくなり、動脈の内側が狭くなります。それが潰瘍や血栓ができる原因となりますし、動脈硬化を促してしまうので注意が必要です。

さらに、そういった状態が大動脈瘤や心筋梗塞、狭心症、脳梗塞などを引き起こします。

大動脈瘤になるのはどうして?

動脈硬化の原因は色々ありますが、大きな原因として加齢や糖尿病、糖尿病予備軍群などが挙げられます。

糖尿病などで血糖値が高い状態が続くと、動脈硬化を防ぐ善玉(HDL)コレステロールが減少します。善玉(HDL)コレステロールは、血管壁から不必要な悪玉(LDL)コレステロールを肝臓に運ぶ役割を果たしています。しかし、善玉(HDL)コレステロールが減少すると、コレステロールが血液中に停滞し、血液の流れが滞ります。その状態が続くと、血管の内側の「内皮細胞」が傷つきます。

もともと内皮細胞は血管の収縮・拡張を調節する役割を担っており、血栓の形成を防いでいます。しかし、内皮細胞が傷つくと、この調整ができなくなるため、動脈硬化が進行します。そして、動脈硬化や内皮細胞の炎症が進行すると、血管の内壁が弱くなり、もろくなった部分に大動脈瘤ができやすくなります。

動脈硬化になるプロセス

  1. 加齢やHDL(善玉)コレステロールの減少などにより血流が悪くなる
  2. 血管の内側の「内皮細胞」に傷がつく
  3. 血管の収縮・拡張の調節が難しくなる
  4. 血管の内側に脂肪などがお粥のような状態で溜まる
  5. 血栓や潰瘍などが形成されやすくなる
  6. 血管が徐々に硬くなる
  7. 動脈が硬化する

動脈硬化を引き起こす原因は?

動脈硬化を進める危険因子は色々あり、比較的、女性よりも男性の方が動脈硬化になりやすい傾向があるとされています。

動脈硬化の危険因子

  1. 加齢
  2. 男性である
  3. ストレス
  4. 糖尿病
  5. 肥満
  6. 高脂血症
  7. 高血圧
  8. 肥満
  9. 喫煙……など

特に重大な危険因子

  1. 糖尿病
  2. 高血圧
  3. 喫煙

これらは動脈硬化も含め、大動脈瘤や狭心症などの心臓疾患を引き起こす頻度が高いことが調査でわかっています。年齢や性別はコントロールできませんが、これら重大な危険因子は日頃の心がけで回避できるでしょう。

動脈硬化の予防が、大動脈瘤の予防につながる

糖尿病などの危険因子が動脈硬化につながることがわかりました。健康的な生活を送り、動脈硬化の危険因子を減らしましょう。

動脈硬化の危険因子を減らすための生活習慣

適度に運動する

重要なのは肥満を防ぐことです。特に内臓脂肪型肥満になると、動脈硬化の危険因子となる糖尿病や高血圧などの病気になる危険性が高まります。

定期的な運動は肥満の解消だけでなく、高血圧や脂質異常症などの予防や改善にも役立ちます。軽めの有酸素運動が効果的ですので、体力や体調などを見ながら、散歩や水泳などをコンスタントに行うと良いでしょう。

すでに動脈硬化の症状がある人は、急激に運動をすると血管や心臓に負担がかかる可能性があります。病院で医師の指導を受けながら、運動をするのが大切です。

食生活に気をつける

肉類に多い動物性脂肪を過剰摂取すると、血液中の悪玉(LDL)コレステロールなどの脂質が増えます。

悪玉(LDL)コレステロールなどの脂質 は、血管内壁にとり込まれると、酸化します。酸化するとますます血液中に停滞しやすくなり、粥状動脈硬化を促進する危険性があるため、動物性脂肪を減らすことが大切です。

野菜は脂質の酸化を防ぎ、動脈硬化を予防する効果も期待されています。さらに、野菜には塩分を排出し、血圧を下げる力があります。高血圧も動脈硬化の危険因子ですので、野菜を積極的に食事に取り入れましょう。

禁煙する

タバコの活性酸素は、悪玉(LDL)コレステロールの酸化を促進します。そうすると動脈硬化が進んでしまうので、喫煙習慣のある方は禁煙を始めることが肝心です。

おわりに:日頃から運動と食事に気を遣うことが大動脈瘤の予防のポイント!

大動脈瘤を防ぐためには、動脈硬化を予防することが大事であることがわかりました。特に内臓脂肪型肥満は動脈硬化の症状を進めかねないので、体重管理をしっかり行いましょう。

なお、動脈硬化を防ぐためには運動も重要ですが、階段を上がったり、少し走ったりしただけで息がきれる人は無理をせず、医師の指導を受けましょう。適切な運動と食事を心がけ、大動脈瘤の危険を回避したいものです。

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