妊娠初期の吐き気はいつから?つわりを和らげるにはどうすればいい?

2017/4/20 記事改定日: 2019/9/5
記事改定回数:3回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

これって妊娠?と思う最初のきっかけは吐き気(つわり)かもしれません。ところでこの吐き気、いったい妊娠してからどのくらい経ってから始まるのでしょうか。また、なぜ妊娠初期には吐き気を始めとするさまざまな症状が起こるのでしょうか。

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妊娠中の吐き気(つわり)はいつから始まる?

妊婦さんの多くは、妊娠初期に吐き気(つわり)に悩まされます。

一般に、つわりの症状は妊娠4~9週目頃に始まり、妊娠7〜12週でピークに達します。妊娠初期は嗅覚がとても敏感になっているため、ほとんどの妊婦は特定の食品や匂いに強い不快感持つようになります。

妊娠中の吐き気はなぜ起こる?

つわりが起こる原因はまだはっきりとわかっていませんが、妊娠中に作り出されるホルモン「ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)」の増加が原因ではないかと考えられています。

hCGは、つわりが最もひどくなる頃にピークに達します。また、妊娠ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの上昇が消化管の筋肉を緩め、消化効率を低下させます。

そのほか

  • 子宮筋の急速な伸展
  • 味覚や嗅覚の変化といったほかの体の変化
  • 空腹感
  • ストレスや疲労

などもつわりの原因となる可能性があります。

すべての妊婦がつわりを経験するわけではありません。
また、その症状も、ときどき気持ち悪くなるだけという人もいれば、嘔吐はないけれど吐き気がするという人、ときどき吐く人、頻繁に吐く人など、人によって違います。

つわりに襲われたときの対処法は?

妊娠初期の赤ちゃんは、母体にすでに蓄えられている栄養で育つことができるので、必要以上に心配する必要はありません。

妊娠初期の吐き気がつらいとき、無理をするとかえってストレスになって体に負担をかけてしまう可能性があります。
症状がひどいときは無理をせず、食べられるときに、食べられそうなものを口に入れたり、横になって休んだりすることが大切です。

また、においで気分が悪くなっているときは、周囲に家事を協力してもらいましょう。

つわりのとき食べやすいものは?

つわりの症状は人によって大きく異なり、食べやすいものやにおいを嗅いだだけで気分が悪くなるものもそれぞれ異なります。

一般的には、以下のような「クエン酸を多く含む食べもの」が胃のムカつきを抑えてくれて食べやすいとされていますので、吐き気が強い場合はぜひ試してみましょう。

  • ミカンやグレープフルールなどの柑橘類
  • 酸味のあるアイスクリームやかき氷
  • のど越しのよいゼリー
  • 冷やしたトマトやキュウリ
  • 梅を使ったおにぎりやお粥
  • 酢の物

ただし、なかにはファストフードのポテトのような揚げ物を食べたくなるという人もいます。つわりがひどいときは栄養バランスなどに神経質にならず食べられるものを食べるようにし、水分を多めに摂って脱水にならないよううにしましょう。

ひどい吐き気が続くのは妊娠悪阻かも?

妊娠悪阻とは重度で継続的な嘔吐や吐き気のことで、通常のつわりよりも体が衰弱してしまうものです。

妊娠前期の8週前後から始まり、通常は12~20週目の間に落ち着き始めます。ただ、まれに妊娠中ずっと症状が続くこともあります。

妊娠悪阻の症状

  • ひどい吐き気がずっと続く
  • 1日に何度も嘔吐する
  • 食べ物や飲み物を受けつけない
  • 食欲の減退、または食欲が全くなくなる
  • 意識がもうろうとする、または失神する
  • 脱水の兆候(尿の回数が減る、尿の色が濃い黄色になるなど)
  • 5%以上の体重減少
  • 嘔吐物に血が混じっている

妊娠悪阻になりやすい人の特徴

以下に当てはまる場合、妊娠悪阻になりやすい傾向があると言われています。

  • 初めての出産
  • 年齢が若い
  • 肥満
  • 多胎妊娠している
  • 過去の妊娠で妊娠悪阻を発症した
  • 母親が妊娠悪阻を経験した
  • 極度の精神的なストレスがある
  • ビタミンB欠乏症の人
  • ヘリコバクターピロリ感染者(細菌性の胃の感染症)

妊娠悪阻かどうかわからない場合は、必ず医師に相談してください。
問診の後で血圧と脈を測り、尿検査を行います。また肝臓や胃腸の問題がないことを確認するために、ほかの検査を行うことになるでしょう。

妊娠悪阻の治療法は?

症状が軽い場合は自宅療養で症状を改善できます。ただ、症状が重い場合は体重減少や電解質異常、栄養失調、脱水といったことが起こる可能性があります。

もし、嘔吐が続いたり、体重が大幅に減少したりしている場合は、継続的に嘔吐したり、体重が大幅に減ったりしている場合は、かかりつけの産婦人科医に相談しましょう。

妊娠初期の吐き気以外の症状

妊娠初期の代表的な症状のつわりは、朝方だけでなく、日中や夜間にも起きることがあります。
つわりは妊娠初期にあらわれることが多い症状ですが、それ以降も出てくることがあります。

妊娠初期の吐き気以外の症状として、以下のようなものがあります。

腹痛

足の付け根や下腹部あたりが痛くなることが多いですが、背中が痛くなることもあります。
これは、赤ちゃんが育ってお腹の中で大きくなるにつれて、子宮も大きくなるからではないかと考えられています。
腰まわりを温めて血行をよくすると、痛みがやわらぐことがあります。

頭痛

妊娠すると黄体ホルモンが大量に分泌され、妊娠状態を維持するための環境作りが始まります。
体内で急激なホルモンバランスの変化が起こるため頭痛が起こりやすくなりますが、つわりで思うように食事を摂ることができず、鉄分不足になりやすいことも頭痛の原因と考えられます。

乳房が張る

妊娠中は、体内のエストロゲンが増えていくと同時に、乳房が張ったり、胸がやや大きくなったりすることが起こるようになります。

食べ物の好みが変わる

妊娠前は好きな食べ物だったのに、妊娠したとたんに見るのもいやになってしまうことがあります。また、体が欲しているものを無償に食べたくなることがあります。

特定の匂いが不快に感じられる

妊娠すると、今まではお気に入りだった香水の香りが嫌いになってしまうことがあります。このほか、タバコの煙で吐きそうになったり、焼肉屋のそばを通り過ぎるたびに気持ち悪くなったりすることがあります。

おわりに:症状がひどい場合は医師に相談しましょう

妊娠初期にやってくる、吐き気をはじめとするさまざまな症状はつらいものです。でも、病気じゃないからといって無理をすると、かえって体に負担がかかってしまう可能性があります。周囲の人に助けてもらいながら、妊娠初期の症状を乗り越えましょう。

また、吐き気の症状が長く続いたり、体重が減ったりしているときは、妊娠悪阻になっている恐れがあります。該当する症状がみられたら、かかりつけの産婦人科医に相談してください。

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