記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2019/2/3
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
何らかの原因で発生した血の塊が血管をつまらせる「血栓症」は、早期治療が必要な病気です。血栓症の自覚症状はほかの病気や不調と間違えられることもあるため、受診が遅れてしまうケースがあります。この記事では、血栓症でみられる痛みや間違えやすい症状を紹介します。
血栓症は体のさまざまな場所で発生します。血管は全身に張り巡らされていますので、血栓がどこに流れていくか予想しづらいといえます。
血栓症は大きく分けて、動脈に発生する「動脈血栓症」と、静脈に発生する「静脈血栓症」の2種類に分けられます。
血栓症は、生活習慣や既往歴、環境などによって引き起こされます。
生活習慣
既往歴・基礎疾患
環境要因
血栓症のなかでも「エコノミークラス症候群」の発症は比較的多くみられ、血栓は主に足(下肢)や手の静脈にあらわれます。長時間同じ姿勢でいたことによる血行不良、外傷や手術など何らかの原因でできた血管壁の傷、がんなどの病気、経口避妊薬の服用などさまざまな原因が考えられますが、血栓症の原因はまだはっきりとわかっていません。発生した血栓が小さいうちは自覚症状がありませんが、血栓が大きくなったり増えたりすると足の痛みなどの症状があらわれます。そのほか注意したい症状を以下で紹介します。
エコノミークラス症候群の症状は主に足の痛みですが、初期の痛みを筋肉痛と間違う人もいます。症状は片方の足に発生し、両足にあらわれることはまれです。筋肉痛のような痛みでも、片足のみに症状が発生しており、むくみを伴っていたら病院を受診しましょう。
超音波検査やCT検査を行い、血栓が血管をつまらせていないかを注意深く検査します。血栓を発見したら「抗凝固剤」で血栓を溶かし、その後に経口薬「ワーファリン」の服用をすることもあります。
エコノミークラス症候群を発症していたのに放置していると、血栓が肺や心臓に流れ込み命に関わる状態を招きます。血栓が大きかったり、発生した場所が肺や心臓に近い場合は手術を行い、血栓が重要な血管をつまらせないように処置します。
足などに発生した血栓が血液と一緒に肺に流れ込み、肺の動脈をつまらせた状態が「肺塞栓症」です。血栓が小さくて血管の流れをさほど遮っていない場合は自覚症状があまりみられません。しかし大きな血栓が血管の流れを悪くすると、息を吸うときに胸の痛みなどの症状があらわれます。さらに太い肺動脈が血栓でつまると、突然死のおそれがあります。
血栓が脳の血管をつまらせる「脳梗塞」を引き起こすと、腕などに痛みや腫れがあらわれます。脳が正常に機能するためには酸素と栄養が不可欠ですが、血栓によって血管がつまり酸素が脳に行き届かなくなると脳細胞が壊死し、脳の機能が失われる場合があります。脳梗塞は早期発見・早期治療を目指します。
脳に広がる静脈にとって重要な部位が「静脈洞」で、静脈血が集まります。静脈洞に血栓がつまる「静脈洞血栓症」を発症すると、急な頭痛に襲われます。静脈洞血栓症は女性に多くみられ、特に下記の項目に当てはまる人は医師への相談や定期的な受診をおすすめします。
上記のほか、家族で血液疾患に罹っている人がいる場合は自分では気づいていないものの静脈洞血栓症のリスクを有している可能性があります。若くて健康な人でも発症するケースがありますので、気になる症状があらわれたら医師に相談してみましょう。
血管がつまる血栓症は、あらゆる部位に痛みが生じる可能性があります。痛みを感じても「大丈夫だろう」と思うかもしれませんが、血栓症は緊急手術や突然死の可能性もある病気です。特徴的な症状であるむくみや腫れ、皮膚の変色などがみられたらすぐに病院を受診することをおすすめします。
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