高齢出産の芸能人が増えている~ハイリスク妊娠~

2017/4/10

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

各メディアでは高齢出産する芸能人のニュースが話題となっています。芸能人ということで注目を浴びていますが、女性の社会進出の影響を受けて「晩婚化」の傾向は社会全体に広がっています。
日本産婦人科学会では、35歳以上の初産婦を「高年初産」とし、ハイリスク妊娠として定義しています。ここでは、ハイリスク妊娠について触れてみたいと思います。

ハイリスク妊娠とは

ハイリスクという言葉から、パニックになる必要はありません。ハイリスク妊娠=妊娠に障害が起きるということではないのです。実際に、いわゆるハイリスク妊娠と診断された女性の大多数は、妊娠生活に何の問題も起きることなく、元気な赤ちゃんを出産しています。ハイリスク妊娠とは、以前から存在する健康上の問題や、あるいは妊娠中に発症した症状が原因で、妊娠合併症のリスクがより高くなるかもしれない、ということになります。

医師からハイリスク妊娠を示唆されたならば、妊娠中にあなた自身やおなかの子どもに何事も起こることのないよう、特別に経過観察や治療介入を行う可能性があります。健康的な妊娠生活をおくるために特別に注意を払い、リラックスして休養をとるようにしましょう。

ハイリスク妊娠をみつけるために、医師は生活環境,生活習慣,遺伝的素因,既往歴など自己記載型の問診票に妊婦自身が記入したものをもとに入念な問診を行います。ハイリスク要因には、以下のものが挙げられます。

ハイリスク妊娠の要因

・心臓病
・高血圧
・腎臓疾患
・HIVを含む性感染症(STD)
・糖尿病
・がん
・自己免疫性疾患(ループス腎炎など)
・血液疾患
・太りすぎ、あるいはやせすぎ
・過去の妊娠に問題があった場合
・不妊経験
・年齢が18歳未満、または35歳以上

妊娠中に発生するハイリスク要因

・子癇前症(妊娠中に発症し、肝臓や腎臓、脳に影響を及ぼす高血圧症のひとつ)
・妊娠糖尿病(GDM)
・早産(妊娠37週よりも早い段階で始まる出産)
・前置胎盤
胎盤が分娩の際に開いてくる子宮口近くに付着している状態で、出血や早産の原因となります。また、分娩の際には帝王切開が必要となります。
・HELLP 症候群(ヘルプ症候群)
妊娠中に突然肝臓や血液凝固の異常を起こす病気で、妊娠高血圧に合併しやすいことがわかっています。
・多胎妊娠

ハイリスク妊娠と診断されたら

ハイリスク妊娠といわれたら、その原因は何であるかの説明を受けましょう。たとえば、妊娠以前から糖尿病を患っているときには、内分泌科と産科の両方での診療を受ける必要があります。あるいは心臓に疾患を抱えている場合は、妊娠の段階が進むごとに心臓の専門医による定期的なチェックを受けることで、よりよいサポートが期待できます。

ハイリスク妊娠では、それぞれのリスクに詳しい医師のサポートを得る必要があります。専門領域の医師に相談することで治療が必要かどうか、薬剤治療が必要な場合、妊娠期間に摂取しても安全な薬はどれかなどのアドバイスを受けることができるでしょう

ハイリスクとは、体調管理に気をつけるということ

ハイリスク妊娠には、最も適した医師と病院をみつけることです。35歳以上、多胎妊娠、妊娠糖尿病といった病気があるなどの場合は、「病院出産」が最善の選択肢です。ハイリスク妊娠では医療的な介入を必要とすることが多く、各専門医が所属する病院でのお産がより安全です。

通常のお産であれば、助産院や自宅で助産師に助けてもらいながら十分に安全で満足のいくお産ができますが、ハイリスク妊娠ではより安全な病院でのお産が望ましいでしょう。

そして自分自身で、万全の体調を維持できるよう最善を尽くすことが大切です。妊娠中の体調をベストな状態に保つために、真剣に体調管理に取り組むときです。必要な検診を受け、きちんとした食生活を送り、妊婦用のビタミン剤など必要なサプリメントを飲み、からだを動かすことについて問題ないとされたときは適度な運動と十分な休息をとることが重要です。

おわりに:増えている高齢出産

日本産婦人科学会は、1991年以前は30歳以上としていた「高齢出産」を現在では35歳以上としています。出産の高年齢化は1980年代から90年代にかけてすすみ、2000年以降ではすべての初産のうち1割を超え,晩産化がすすんでいます。40~50代で妊娠・出産する芸能人のニュースは、不妊に悩む夫婦には朗報でしょう。医療技術が大きく進歩した現在では、高齢出産でも健康に妊娠生活を過ごし出産することが、いままでよりも楽に実現できるようになっています。しかし、高齢出産にはいろいろなリスクを伴います。あなたが無事に元気な赤ちゃんを産むことができるように、妊娠生活には最善の注意が払われなければなりません。

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