アトピー性皮膚炎の症状の特徴とおすすめの対処法とは!?

2017/2/16 記事改定日: 2018/6/21
記事改定回数:1回

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

アトピー性皮膚炎は湿疹の一種で、強いかゆみを伴う点でとてもやっかいな病気です。
完治が難しく、日常生活での注意点が多いのもやっかいな特徴のひとつといえるでしょう。
ここでは、アトピー性皮膚炎の症状と対処法についてわかりやすく紹介しています。

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アトピー性皮膚炎の症状の特徴とは!?

アトピー性皮膚炎はアレルギー反応で生じるものです。
激しいかゆみを伴い、掻くことで炎症を起こします。アトピー性皮膚炎の正確な原因はまだわかりませんが、家族にアトピー性皮膚炎を患っている人がいる場合、子供もアトピー性皮膚炎になる可能性が高くなります。

また、伝染性の病気ではないため、アトピー症状がある人から感染することもありません。

発症時期

アトピー性皮膚炎は乳児期に始まり、小児期へと続きます。
状態が悪化する急性増悪期と呼ぶ時期があり、その過程を経て皮膚は治癒します。アトピー性皮膚炎の兆候がない場合(寛解期)もあります。
寛解期は数週間、数カ月、さらには数年間続くことがあります。発症すると長期的に症状が続きますが、子どもの場合、成長すると症状が改善することもあります。

症状

アトピーの症状は体のどの部分にも生じる可能性がありますが、特に以下の部分に発症することが多いです。

  • 膝の前部または後部
  • ひじの外側または内側
  • 首、手、頬または頭皮のまわり

乾燥した皮膚からかゆみが始まり、その発疹が赤く腫れ、掻いて傷つけるほど悪化します。痛みが出たり、透明な液がにじみ出たりしながら、発疹は拡大していきます。

大人と子供の違い

アトピー性皮膚炎といえば、子供の病気と思われがちですが、子供の頃に発症したアトピー性皮膚炎が大人になっても治らなかったり、稀に大人になってから発症するというケースもあります。
大人の子どものアトピー性皮膚炎には次のような違いがあります。

原因

子供のアトピー性皮膚炎は卵や牛乳、小麦粉を始めとした食べ物のアレルギーが原因であることが多いとされています。食べ物が原因のアトピー性皮膚炎はその食べ物を徹底的に避け、アレルギー反応が生じないように気を付けていれば次第に改善していきます。子供のアトピーの多くが成長と共に改善するのはこのためです。

しかし、中にはホコリやダニといった環境中に多く存在するアレルゲンが原因となることもあり、このようなアトピー性皮膚炎では生活の中からアレルゲンを完全に排除することができないため、大人になっても治らなかったり、稀に大人になってから発症することもあるのです。

湿疹

アトピー性皮膚炎は顔や首、肘などの関節部位にジクジクとした湿疹ができ、やがて赤みを帯びた盛り上がりのある皮疹が形成されます。皮疹部は皮膚が過剰に角化してカサカサとした状態になることも少なくありません。
一方、大人のアトピー性皮膚炎ではこれらの皮疹の他にも強いかゆみを伴う赤く丸い皮疹が散在することもあり、一般的に使用される治療薬が効きにくく、治療が難しいのが特徴です。

発症の原因になるアレルゲン

アトピー性皮膚炎の発症の原因となるアレルゲンには、大きく分けて食べ物と環境からの物質があります。
食べ物は卵、牛乳、小麦粉、甲殻類などが代表的ですが人によってどの食べ物がアレルゲンになるかは異なるため、皮膚科や小児科、内科でのアレルギー検査が必要となります。

また、環境中の物質としては、ダニやホコリといったハウスダスト、花粉などがアレルゲンとなることが多く、アレルゲンの種類によっては発症に季節性があることも少なくありません。

アトピー性皮膚炎の症状を緩和するにはどうすればいい?

アトピー性皮膚炎は、かゆみがあっても、肌をかきむしったり、こすったりして傷つけないようにしてください。引っかき傷は皮膚を壊し、細菌が傷口から侵入する可能性を高めてしまうため、感染を引き起こす可能性があります。

かゆみを軽減する抗ヒスタミン薬を処方してもらったり、肌に潤いを与えたりすると、かゆみを防ぐのに役立ちます。

日常生活で気をつけること

アトピー性皮膚炎を完治させることはできませんが、以下のような方法で症状を抑えることは可能です。

肌を刺激するものに触れない

肌を刺激する可能性のあるものとして、家庭用洗剤、石鹸、アフターシェーブローション、ガソリンなどがあります。このようなものがアトピーの患部に触れないよう気をつけてください。

また、石鹸の中には刺激の強いものがあり、使用すると皮膚刺激を引き起こす可能性があるものもあるので、低刺激で無香料の石鹸を使用し、体を洗った後は完全に乾かすようにしてください。

手袋を着用する

水仕事をする場合はビニールまたはプラスチックの手袋を着用してください。また、皮膚を刺激する可能性のあるものに触れる場合も着用しましょう。

ビニールやプラスチック製の手袋は使っているうちに蒸れてしまうので、手袋の中に綿の手袋を着用して汗を吸収させてください。また、使用後は汗が中に残らないよう、ときどき乾かしてください。

また、冬の間は外出するときに手袋を着用してください。冷たい風にさらされると湿気が奪い取られて肌が乾燥し、その結果湿疹が悪化する可能性があります。

綿素材の服を着る

ウールや合成繊維は肌を刺激するため、綿素材の衣類を着るようにしてください。

お風呂やシャワーでのケア

低刺激で無香料の石鹸を使うことが重要です。
体を洗うときは、ぬるま湯にしましょう。皮膚の表層は水を吸収すると乾きにくくなるため、15〜20分間はお湯に浸かるようにしましょう。

お風呂の後は、柔らかいタオルで肌をやさしく拭きます。そして、肌を乾燥させたら保湿のために皮膚に保湿剤を塗ってください。

保湿用クリーム

保湿用クリームは肌を柔らかく保つだけでなく、肌のひび割れなども防ぎます。

アトピーの場合は添加物が少ないタイプを使い、芳香剤や余分な成分を含むものは避けてください。
おすすめはワセリンが原料のもので、クリームより少し固めのグリース状のものがお勧めです(クリームには、より多くの防腐剤が含まれているため)。
保湿剤を定期的に使用することで、乾燥からも肌を守ることができます。

なるべく汗をかかないようにする

汗をかいて体温が上がると、皮膚が刺激されてかゆくなります。あまり汗をかかないようにしましょう。

ストレスをコントロールする方法を学ぶ

ストレスにさらされると、アトピーがひどくなる可能性があります。ストレスの原因を探ったり、自分に合う対処法を探したりしましょう。

おわりに:ひとつずつ対策に取り組みながら、症状の軽減を目指そう!

アトピー性皮膚炎は強いかゆみを伴うため、日常生活にも支障が出ることがあります。
症状を完全に抑えることは難しいですが、医師の指示通りに薬を使い、刺激物質になるものにむやみに触れないなど、日常生活で気をつければ、その症状を軽減することは可能です。
気をつけないといけないことがたくさんあるので大変ですが、どれも快適な日々を過ごすために大切なことです。ひとつずつ着実に取り組んでいきましょう。

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