後頭部がズキズキする原因は? 吐き気を伴う場合は危険!?

2019/4/16

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

側頭部だけに痛みが出るものや頭全体が締め付けられるような、もしくは重たい感じに痛むなど、頭痛には原因・体質などによってさまざまな種類の痛みがあります。今回は「後頭部がズキズキ痛む」タイプの頭痛について、一緒に現れる症状から考えられる原因と対処法をご紹介していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

後頭部がズキズキする原因:①ストレスがあり、たまに痛くなる場合

仕事や私生活で多大なストレスを感じていて、後頭部がズキズキ痛むような頭痛を感じているなら、後頭神経痛(こうとうしんけいつう)である可能性が考えられます。後頭神経痛は、後頭部から頭頂部に向けて広がる太い神経・後頭神経のいずれかが痛みを知覚することで、後頭部や耳の後ろなどに痛みを感じる疾患です。

痛みの現れ方には、瞬間的な強い衝撃として「ピリッ」と出ては消える場合もあれば、長時間にわたって慢性的に痛み続けることもあるなど、個人差があります。また、痛みの原因は、ストレスによって過度に緊張・収縮した方や首の筋肉が後頭神経を圧迫している、または、ストレスによる後頭神経の異常な興奮であると考えられています。

周辺筋肉の緊張が影響しているため、ストレス以外にも首・肩のコリや、長時間のパソコン操作などによる体の疲れでも起こることがあるようです。

後頭神経痛の対処法

後頭神経痛を緩和するには、以下の方法が効果的です。

  • 首や肩をマッサージし、後頭神経を圧迫している筋肉を柔らかくほぐす
  • 首や肩を温めて、後頭神経を圧迫している筋肉のハリを解消する
  • 後頭部を冷やして、後頭神経の高ぶりを抑える
  • 痛みを感じている箇所をマッサージする
  • 病院に行き、ビタミン剤やてんかん治療薬などを処方してもらう
  • 耐えられないほど痛みがひどい場合は、神経ブロック注射による治療を受ける

一般的な後頭神経痛であれば、首・肩の筋肉や痛む部分のマッサージなどをすれば数時間以内に痛みが和らぎます。痛みが強く、日常生活に支障が出るようなときだけ病院に行くようにしましょう。

後頭部がズキズキする原因:②後頭部から首筋が締め付けられるように痛い場合

午後から夕方にかけての時間帯を中心に、後頭部から首筋、ひどいときには目の奥や頭全体まで締め付けるように痛む頭痛は、緊張型頭痛である可能性があります。緊張型頭痛は、仕事などで目・体が疲れた状態になることで首や肩の筋肉が緊張し、血流が悪化すると発生します。

首・肩の血流が悪くなると疲労性物質が溜まります。この物質が血管を拡張すると周囲の神経が刺激され、頭痛を生じさせるのです。痛みの種類が「ズキズキ」とともに「締め付けられるような感覚」であること、そして特定の状況下や時間帯に起こりやすいことが特徴です。

緊張型頭痛の対処法

緊張型頭痛の緩和には、以下の方法が効果的です。

  • 長時間同じ姿勢をとり続けることを避け、こまめに体勢を変えたり休息をとる
  • 両肩を上げ下げしたり、首を左右にゆっくり倒す、前屈するなどのストレッチをする
  • 首と肩の筋肉を緊張させてしまう、自分の体に合っていない枕は使わないようにする

仕事中や特定の家事の合間にこまめにストレッチをするようにしたり、朝起きたときに首が痛くならない枕に変えるだけでも緊張型頭痛を解消できます。

後頭部がズキズキする原因:③吐き気を伴う強烈な痛みの場合

後頭部を殴打されたような強い衝撃を感じ、それをきっかけに吐き気を伴うほどの耐え難い頭痛が起こる場合は、くも膜下出血の可能性があります。

くも膜下出血は、脳内の血管の一部が破裂して脳内で出血が起こってしまう病気です。出血の仕方や量、また出血が起こる場所によっても痛みの程度や現れる症状は変わってきますが、嘔吐やけいれん、失神するほどの痛みに見舞われるケースも多いとされます。

出血の量が多いと、意識を消失したまま死に至ることも珍しくありません。一方、出血量が少ない場合は、首の付け根からうなじ・後頭部にかけて痛みや強張り、ひどい肩こりのような感覚が生じるケースが多いようです。

いずれにしても、くも膜下出血の発症後はすぐに医師の診断・治療を受ける必要があります。後頭部への突然の衝撃と吐き気・嘔吐・けいれんを伴うほどの激しい頭痛に見舞われたときは、救急車を呼びましょう。

おわりに:後頭部がズキズキ痛む原因はさまざまだが、嘔吐を伴うときはすぐ病院へ

後頭部がズキズキと痛む頭痛の原因としては、ストレスから後頭部の神経が痛むようになる後頭神経痛、肩・首の疲れやコリが原因の緊張型頭痛、脳の血管が切れるくも膜下出血の3つが挙げられます。後頭神経痛や緊張型頭痛であれば、自宅でのマッサージなどで症状を改善できるケースが多いですが、くも膜下出血は命にかかわります。吐き気を伴う強烈な痛みがあるときは、一刻も早く病院へ行きましょう。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

緊張型頭痛(31) くも膜下出血(35) 後頭神経痛(5) ズキズキ(12) 後頭部のズキズキ(2) 吐き気を伴う頭痛(1)