後頭部のズキズキ、高熱の原因「髄膜炎」に要注意!

2019/4/5

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

後頭部が痛む頭痛のうち、いつもと違う痛みや首筋の硬直、吐き気などの症状を伴う場合は、ただの頭痛ではなく「髄膜炎(ずいまくえん)」かもしれません。今回は、後頭部がズキズキと痛む一因となる恐ろしい病気・髄膜炎について、症状や原因、治療法などをまとめて解説していきます。

後頭部のズキズキ、高熱、首筋の硬直が加わると危険!?

ズキズキとした後頭部の強い痛みに加え、以下のような症状が出ているときは、髄膜炎を発症している疑いがあります。

  • 38~39度の高熱
  • 吐き気や嘔吐
  • 後頭部から首筋にかけて硬直している
  • 体を動かしたり、頭を振ったりすると、頭痛が少し改善する

髄膜炎は、脳を包むくも膜や軟膜などが炎症を起こしている状態です。発症の原因はいくつか考えられますが、仮に細菌性の髄膜炎による頭痛だった場合、治療が遅れると死に至る恐れもあります。

髄膜炎の原因は?風邪がきっかけのこともある!?

ここからは、髄膜炎を引き起こす原因について詳しく解説していきます。髄膜炎の原因は、ウイルスや細菌などが脳を包む膜に感染することで炎症を起こす「感染性」と、がんなどの疾患をきっかけに発症する「非感染性」の2つに大別できます。
感染性と非感染性、それぞれの髄膜炎の特徴と発症のもととなり得る細菌・ウイルス・疾患の具体例は以下の通りです。

感染性髄膜炎

細菌性髄膜炎

細菌性髄膜炎は、ウイルス性のものに比べて発症頻度は低いものの、重症化や合併症の併発を起こしやすく、死に至る可能性が高いのが特徴です。発症させる細菌は患者の年齢によって異なり、新生児ならB群溶連菌や大腸菌、乳幼児期から成人にかけては肺炎球菌など、高齢になると大腸菌・緑膿菌なども原因となります。

そのほか、極端に免疫が弱った状態であれば、カビの一種であるカンジダ菌や結核菌なども、細菌性髄膜炎の原因菌となり得ます。

ウイルス性髄膜炎

感染性髄膜炎のなかでも、風邪などをきっかけに比較的発症しやすい髄膜炎です。夏風邪の代表的なウイルスであるエンテロウイルスを筆頭に、おたふくかぜの原因であるムンプスウイルスやヘルペスウイルス、HIVなどが原因になり得ます。

特に、性感染症の原因となるヘルペスウイルスやHIVによる感染性髄膜炎は重症化しやすいため、慎重な治療対応が必要になることがあります。

非感染性髄膜炎

細菌やウイルスへの感染が原因ではない、非感染性の髄膜炎を生じさせる原因として、以下のような疾患が考えられます。

  • 白血病やリンパ腫などを含む各種のがん(悪性腫瘍)
  • 全身性エリテマトーデス(SLE)やベーチェット病といった各種の自己免疫疾患
  • 抗生物質や抗けいれん剤、免疫抑制剤など薬剤による影響・副作用

髄膜炎はどうやって治療する?

髄膜炎の適切な治療方法は、髄膜炎の原因によって変わります。細菌性髄膜炎、ウイルス性髄膜炎、疾患などを原因とする非感染性髄膜炎の一般的な治療方法を以下にご紹介します。

細菌性髄膜炎の治療方法

患者の年齢などから原因となっている細菌を想定し、その細菌に効果的な抗生物質を点滴で投与する薬物療法が主流です。また、髄膜・軟膜などの組織が炎症で破壊されるのを防ぐための措置として、ステロイドの投与が一緒に行われるケースもあります。

ウイルス性髄膜炎の治療方法

発熱や頭痛を抑えるための解熱鎮痛剤の投与、脱水症状を防ぐための点滴など、薬剤を使った対症療法がメインとなります。ただし、原因ウイルスがヘルペスウイルスだと特定されている場合は、抗ウイルス薬を投与して治療していくのが一般的です。

非感染性髄膜炎の治療方法

髄膜炎による痛みなどの症状を抑えるとともに、原因となっている疾患を特定し、これらを緩和するための治療を行っていきます。ただし、髄膜炎と原因となっている疾患の治療のどちらを優先させるかは、医師の判断や患者の状態によっても変わってきます。

おわりに:髄膜炎による後頭部通の治療方法は、発症原因によって異なる

痛みが強く、高熱を伴う後頭部の痛みは、髄膜炎である可能性があります。髄膜炎は、細菌やウイルスの感染、または疾患・薬剤の影響で脳を包む膜に炎症が起こる病気です。特にウイルス性のものは風邪をきっかけに発症することも多く、早期に適切に対処しなければ、重症化する可能性もあります。髄膜炎を疑うような高熱、首筋の硬直を伴う後頭部通が出てきたら、すぐに病院で原因を特定してもらい、原因にあった治療を受けてください。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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